国会が閉幕いたしました。わずかに五日間。

議題とすべき法案がなくとも、年金や教育、外交防衛や成長戦略など議論し、詰めておかねばならないことはたくさんあるはずで、これらを無視していきなり「夏休み」というのでは、国会議員の歳費の日割り支給よりも、もっと大きな無駄遣いです。
そして、「ゆでガエル」の状態でひたひたと迫ってくるこの国の不安感の増大は少しも変わってはいません。


そんな中、参議院自民党では、この11日に、史上初めて(?)(少なくとも私の知る限りはありません)参議院会長選挙が行われることになりました。

谷川秀善前幹事長と、中曽根弘文元外務大臣の二人が立候補の表明をされていますが、この二人の争いのために、ここ数日は各派閥の締め付けや脅しが横行する状態になってきました。

「君が○○候補を応援してくれたら、何々のポストをあげるから」などと言ったとか言わないとか。
「○○候補はとてもその器じゃない。君は知らんだろうが、こんな悪い奴らしい。」と伝聞の噂話を広めるに至っては、今どきの地方選挙でも流行りません。

私のところへは誰もそんなおいしい話は持って来てくれないから言うのではありませんが、やめてくれ、というのが正直な感想です。

派閥政治には政治家が情報を集めたり、常に政治的な行動をサポートしてくれる仲間がいるという点では利点もあります。したがってその存在を否定するつもりはありません。

しかし政治家には、譲れない理念や理想があるはずです。
また、それがなければ政治家になってはいけません。
その実現のために、どの候補者を選ぶかは、派閥の判断ではなく、政治家自身の重要な判断のはずです。

選んだ総理総裁が(たとえその総裁に投票していなくとも)「へま」をして、党の一員としての結果責任を負わされることを思い知らされた政治家諸氏は少なくないはずです。その意味で自身の判断こそが大切なのです。

しかし今回はその判断材料を与えるための党内の立会演説会や討論会をしないことを、早々と現執行部が決めてしまいました。
新しい自民党に変わるということは、こういう基本的なことを一つ一つ積み上げていくことではないでしょうか。


冒頭に述べたように、国民は国会議員さんのポストより、何をしてくれるのか、と言うことに厳しい目を向けています。


もう駄目です。
私はこの意味で、派閥体制にのっかかった現執行部が推す谷川さん(というより執行部そのものですが)を推薦するわけにはいかない。

状況は厳しいですが、あとは議員各位の良識に期待したいと思います。