生きてるんだから、夢は見ていいんですよ。 | 劔樹人の「男のうさちゃんピース」

生きてるんだから、夢は見ていいんですよ。

こないだ、鬼束ちひろさんと僕とでやっているニコ生の番組が、鬼束さんの人間力のおかげでYahoo!のトップニュースになりまして、やっぱり僕にとってはそれはほんとにすごいことなんで、年に一度くらいしか会わない弟とさすがにそのことについて電話で話す機会があったんです。

芸大で絵を学んだうちの弟は、映画秘宝と紙のプロレスにイラストを投稿することだけがライフワークというまた筋金入りのボンクラなのですが、そんな弟の持論があって、有名になった男は、一般女性と結婚するのが好ましいっていうんですよ。


確かに、僕の周りなら宇多丸さんとか、一般の方とご結婚されてます。
つんく♂さんなんて、お見合い結婚ですから。これはかなり好感が持てますよ。
プロデュースしていた高井麻己子さんを奥さんにもらった秋元さんとはだいぶ印象が変わるわけですよね。


でも、まあ、僕は好感度とか気にする程の有名人でも人気者でもないし、恋愛なんてそんなこと気にするものかとも思うわけです。



以前、配信かなにかで、「ちばぎんと本気で付き合いたいのですがどうしたらいいですか」みたいな質問を受けまして、僕は、「ちばぎんは実在する人物で、あなたも会えるかも知れない。可能性があるんだから諦める必要なないでしょ、がんばったらいいんですよ」みたいなことを言ってしまったんですよ。
そしたら、変なトラブルを生むかもしれないような、そんなこと言うもんじゃないって、いろんなとこから怒られたんですが。でも僕は本当にそう思っているんです。



僕の友人で、去年の春にガンで亡くなったコツリさんという人がいるのですが、彼は生前アイドルとかAV女優とかすごく大好きでして、僕もアイドルやAV女優さんの握手会によく一緒に通っていました。

彼は交際している彼女こそ長いこといませんでしたが、発病してからも女の子に対する気持ちは変わらず前のめりで、入院してるときも気合いで無理矢理白血球を増やしてPerfumeのコンサートに外出したり、退院した日に風俗に行って、「俺、ガンやねん」というアピールで女の子にサービスを要求したりという、まあそんな人だったんですが。

コツリさんが亡くなって、お通夜の日のこと。
僕はもう泣いてしまっていて、辛かったんですけど、お棺から顔を見たわけです。
そしたら、胸の上に、「一騎当千」の、爆乳がこぼれ出したような美少女フィギアがそっと置いてあってですね、びっくりしたというか、もう吹き出してしまいまして!

これは一体なんなんですかとご家族にきいてみると、生前本人が、通販で頼んでいたフィギアが死後届いたので、一緒に入れたって言うじゃないですか!
僕、だから言ったんですよ!「コツリン、こんな趣味なかったじゃないですか」って!


しかしどうも、コツリさんは具合が悪くなるにつれて、アニメやゲームの2次元の女性に傾倒していったらしくて。

やっぱり自分の死を意識してから、実在の女性に対する諦めの気持ちが芽生えていたんでしょうか。それなら、実在しない2次元の女性を求めたほうが気が楽だったんですかね。

意識的にか無意識にかはわかりませんが、寂しかったんだろうな、と思います。



そこで思うわけですが、僕らは、この現実世界に、こうして生きてるわけです。

「一騎当千」の皆さんには、どんなに好きでも、やっぱり会えないです。触れることはできない(ただこれは本当に会えると思ってらっしゃる方もいるかもしれないので、イチ意見として受け止めてください)。

でも、実在している人には、どんな遠い世界の憧れの人でも、会える可能性がないなんて絶対ないですよ。

その人は、あなたがTVモニターの向こうやステージの向こうに見ているのと同様、素晴らしい人物かもしれない!そしてまかり間違ってあなたと結ばれるかもしれないわけですよ!


もちろん、その人の住所突き止めたり、ストーカーしたり、迷惑になることはしたら絶対ダメです。好かれるものも好かれません。


自分が何かひとつでもいいから頑張って、その憧れの人に届く所まで行くしかないんですよ。可能性は「ゼロ」じゃない!!




コツリさんの死後、僕は一層、そういういわゆる、不純な中二みたいな「夢」を見ることは、ばかばかしいことだと思えなくなりました。
むしろ素敵じゃないかとくらいに思いますよ。