こんな時期に手が伸びるのが、重厚なウール生地のアウターです。
多くの人がまず思い浮かべるのは、フィルソンのマッキーノクルーザー。
しかし実は、マッキーノ生地を使ったアウターはフィルソンの専売特許ではありません。
今回紹介するのは、知る人ぞ知る名作──
ウールリッチのハンティングジャケット「503」です。
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ウールリッチ 「503」とは
見た目はシングルマッキーノに近く、
・厚手ウールの表地
・大きなフロントポケット
・背面のゲームポケット
と王道の仕様。
ただし細部には独自の個性があり、「似ているけど別物」と感じさせます。(どうやらフィルソンのマッキーノクルーザーより歴史があるっぽい…)
表地はやや荒々しい質感で、使い込んだ道具のような雰囲気も魅力。
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フィルソン・マッキーノクルーザーと違うポイント
1. 裏地がコットン
ウール一枚仕立てが多いフィルソンに対し、内側にコットン裏地を採用。体温が逃げにくく暖かい。
2. 袖口がリブ仕様
手首からの冷気をしっかり遮断。これだけで体感がかなり変わります。
3. 大きくつながるハンドウォーマー
腹部〜胸元まで広がる構造で、入れた手だけでなく体の中心が温まる感覚。
4. 大ぶりの襟
立てて留められ、マフラー代わりにも。
5. 前後で異なるボタン
前はスナップ、後ろは通常ボタン。ハンティング用としての“リアルさ”を感じる仕様。
6. 比翼仕立てのフロント
防風性が高く、見た目もすっきり。
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体感の暖かさランキング
個人的にはこの順です。
ダブルマッキーノ
≧ ウールリッチ 503
> シングルマッキーノ
ダブルには及ばないものの、裏地・リブ袖・襟の防風構造のおかげで、シングルより確実に暖かいです。
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今は新品が買えない一着
ウールリッチの503は現在生産されておらず、80年代で終了。
フィルソンもダブルマッキーノを現行ラインナップから落されており、“重厚な防寒着”は時代的に縮小傾向なのかなと思わざるを得ない…。
現代は軽くて高機能なアウター全盛。
対して、マッキーノクルーザーやハンティングジャケットは「重くて分厚い」ため、機能的にはやや過剰と見なされてしまうのかもしれません。
しかしウールは蒸れにくく、室内でも汗で不快にならないという利点があります。
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再評価される“失われた防寒服”
日本の尾州織で復刻されたモデルも登場しましたが、10万円超え。
今の技術で本気で作れば、その価格になるのも納得です。
それだけ、当時のオリジナルは贅沢な作りだったということ。
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古着という現実的な選択肢
中古では
・汚れや虫食い
・裏地のシミ
など“歴戦感”のある個体も多いものの、状態が良い物なら意外と手頃。
10万円超えの復刻と、数千円〜の古着オリジナルという価格差は面白いところです。
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重い。分厚い。時代遅れ。でも最高。
ただの防寒着ではなく、「時代を纏う一着」。
重くて、厚くて、ちょっと扱いづらい。
でもそれがいい。
クローゼットにこういう服が一着あるだけで、冬が少し楽しくなる気がします。




