- クジラの彼 (角川文庫)/有川 浩
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彼からの2ヶ月ぶりのメールはそれだけだった。
聡子が出会った冬原は潜水艦乗り。
いつ出かけてしまうか、いつ帰ってくるのかわからない。
そんなクジラの彼とのレンアイには、いつも7つの海が横たわる…。
表題作はじめ、『空の中』『海の底』の番外編 も収録した、
男前でかわいい彼女たちの6つの恋。
有川浩がおくる制服ラブコメシリーズ第1弾。
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有川浩さんの短編集。
すべてのエピソードに共通しているのが「自衛隊員の恋愛」。
なかなか無いんじゃないかなぁ、自衛隊員の恋愛物。
有川作品の「空の中」と「海の底」の登場人物のその後を描いた
エピソードもあり、楽しめた。
率直な感想としてはむず痒いエピソードが多かった感じ。
あんまりベタベタな恋愛物って得意じゃないんだよなぁ。
恋愛という関係性においては、女性優位(と思われる)なエピソードの
多い中で、「ファイターパイロットの君」は女性の方が恋愛耐性が無く、
ある意味では男性優位の恋愛が描かれていてちょっと新鮮。
まぁ、男勝りな男性が見せる女性らしさっていうのはいいものだ。
「海の底」の夏冬コンビは好きだったので、その後が描かれていて
ちょっと嬉しい。
好きな相手と距離がある時、ちょっとした事で不安になる気持ち
分かるなぁ。
相手を信じるとかそれ以前の問題で、ある種の本能的な男性特有の
独占欲みたいなものが働いてしまう事ってある。
結局、お互いの気持ちを確かめ合って、不安を解消していくしか
ないんだと思うけど。
それと「国防レンアイ」の2人の関係。
長年に渡り三池への好意があるのに、恋愛相談役というポジションに
甘んじる男、萩原。
ある時、ちょっとした事件をきっかけに、告白の書置きをする。
「こんな女を八年好きな俺もたいがい趣味が悪いわ。」
う~ん、事件の時の三池を守る行動とのコンボで、このぶっきらぼうな
感じがなんともカッコ良かった。
さて、事件のきっかけになった三池の腹筋。
女性の腹筋が割れていても良いと思うし、国を守るための日々の
努力の賜物であるという所は尊敬する。
高校時代あれだけ部活で鍛えてもボコボコにはならなかったしなぁ。
女性なら男性の何倍も鍛えないと、割れるって事はないと思う。
でも個人的な趣向の話になると…。
男性らしい体の魅力、女性らしい体の魅力ってあるからなぁ。
それもある種の本能的な感性だと思うけど。
ただ、それをバカにするようなデリカシーのない男には絶対なりたくない。
それだけは確かな思い。
ふぅ、腹筋についてちょっと語り過ぎた…。
「空の中」や「海の底」を読んでいなくても十分楽しめると思うので、
恋愛物好きで、ちょっと変わった話が読みたい人におススメ。