- 疾風ガール (光文社文庫)/誉田 哲也
- ¥680
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あたしが連れてってあげるよ、ビートと熱狂の果てまで――
あたし、夏美。
19歳、んでギタリスト。
愛器の真っ赤なギブソンで、大好きなメンバーと
ぶっ飛んだライブの毎日……ずっと続くと思ってた。
魂の底からリスペクトしてたボーカルの薫が、突然自殺するまでは。
真実を確かめなきゃ、死んだなんて 認めない!
気弱な29歳の芸能マネージャー・祐司を引き連れ、
今あたしは走り出す――
抱える「フェイス・プロモーション」に入社した。
しかしある日、偶然目にしたアマチュア・ロックバンド
「ペルソナ・パラノイア」 のライブに衝撃を受ける。
ギタリストの夏美は19歳。
他のメンバーを従えて、大物の雰囲気十分。
そのセンスに惚れた祐司が夏美をスカウトしようと必死になる中、
突然ペルソナのボーカル・薫が謎の自殺を遂げる。
一体なぜ――?
夏美と祐司が真実を追いかけ大疾走、ロック&ガーリー系
青春文学誕生!
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「武士道シックスティーン」などの作者の作品。
夏美のキャラクターが光っている。
音楽に対する情熱や、エネルギッシュな姿勢。
一人称で垣間見える小心者的な一面。
祐司から見た客観的な夏美、夏美の主観で描かれる夏美本人。
愛着を持たせる意味で、良いバランスを保っていると思う。
薫の死の直前の傷害の犯人は何となく察しが付いてちょっといい気分。
まぁ、普通に読んでれば誰でも予想できるかな…。
才能有る人が輝いて上昇していく裏では、多くの人が挫折している。
才能有る人はそれに気が付いたところで、立ち止まる事は許されない。
良くある話なんだけど改めて考えてみると、夏美みたいな天才の
孤独って普通にあるんだろうなと。
周りの人はその人に対する羨望が強すぎる事で、その事に気が
付けない事も十分にあると思う。
それで潰れていった才能というのもあるんだろう。
そう思うと妬みみたいな感情は自然としぼんで、少しは素直に人を尊敬
できるように思う。
少なくとも、そっちの方がお互いにとって良いはずだし。
まぁ、嫉妬とか一般的にネガティブな感情が生み出すエネルギーも
人を突き動かす大きな力だし、それが成功を生むこともあるだろうけど。
最後はプロへの道を歩みだす夏美。
続編の「ガール・ミーツ・ガール」も出ているみたいで。
今度読んでみよう。