- 告白 (双葉文庫) (双葉文庫 み 21-1)/湊 かなえ
- ¥650
- Amazon.co.jp
「愛美は死にました。しかし事故ではありません。
このクラスの生徒に殺されたのです」
我が子を校内で亡くした中学校の女性教師によるホームルームでの
告白から、この物語は始まる。
語り手が「級友」「犯人」「犯人の家族」と次々と変わり、
次第に事件の全体像が浮き彫りにされていく。
衝撃的なラストを巡り物議を醸した、デビュー作にして、
第6回本屋大賞受賞のベストセラーが遂に文庫化!
“特別収録”中島哲也監督インタビュー『「告白」 映画化によせて』。
■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□■□
映画化(6月5日公開)で話題になっていたので、気になって読んでみた。
読み始めたのは平日の深夜。
先の展開が気になって読み続け、気が付くと朝方(笑)。
その日の仕事、辛かったなぁ…(自業自得もいいところ)。
上記のあらすじ通り、一つの事件とその後について、複数の人視点で
追いかけていく形の構成。
各章で初めて明かされる事実(独白なだけに真実かどうかは不明…)や、
別の視点で見た時にハッとさせられる要素も多く面白い。
一つの事象について、それに関わる人の数だけ事実が存在すると
いうことなんだろう。
読み進めるにつれて、事件の犯人である少年Aについては
救いようのない人物だという印象が強くなっていった。
シンプルに言えば愛情不足のマザコン少年の暴走だったわけだけれども、
不幸だったのは彼が頭脳優秀な人間だった事。
だから最後の衝撃的なラストを読んだ後、先生の立場で復讐を果たす
為にはアレしかなかったのかもなぁと妙な納得感。
「人間の倫理観は単なる学習効果でしかない」という事について。
寂しい考え方な気もするけど、それはそれで人間らしいなと。
その理論で言えばどんなにひどい人間でも更生できるという事に
なりそうだけど、それが難しいと感じるのは変わろうともしない人が
いるからだろう。
少年Aとか。
これがどんな映画になったのか、かなり興味アリ。
小説の映画化やドラマ化って、がっかりする事も多いだけに、
映像化の担い手がどんな気持ちで作品作りをしているかを知れた
特別収録のインタビューも良かった。
やっぱり媒体が違う事で表現は変えざるを得ないんだろうなぁ。
でもなるべく忠実にして欲しいなぁ。
気に入った作品なので、そんな気持ちが強いです。