- ランナー (幻冬舎文庫)/あさの あつこ
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長距離走者として将来を嘱望された高校一年生の碧李は、
家庭の事情から陸上部を退部しようとする。
だがそれは、一度レースで負けただけで、
走ることが恐怖となってしまった自分への言い訳にすぎなかった。
逃げたままでは前に進めない。
碧李は再びスタートラインを目指そうとする―。
少年の焦燥と躍動する姿を描いた、青春小説の新たなる傑作。
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あらすじにある家庭の事情とは、母親の妹(正確にはいとこ)への虐待。
母親は妹を愛しているものの、別れた夫の面影を感じてしまい
発作的に手を出してしまっていた。
というやや重めのテーマと、長距離走という競技(というよりも走ること自体)
との向き合いが物語の核となっている。
顧問の先生とマネージャー、親友の久遠、小児科のクマ先生など
脇を固める人物はとても好感が持てた。
顧問に想いを寄せる美少女マネージャー…、青春だね。
でも教師と生徒という立場上、想いに答える事が出来ない事くらいは
分かってくれ(それくらいは承知の上かもだけど)。
先生を責めてくれるな!って感じで読んでいたw
全治1年の腰のケガをしてしまい、もう競技が無理という久遠。
描かれてなかったけど、彼は部を辞める事はしなかったと思う。
というよりは辞めてほしくない。
やっていたハードル以外の種目をやるか、マネージャー職か…。
なにより途中で辞めてしまうというのが、後で一番応える事だから。
母と妹の関係については、明るい兆候が出てきた。
主人公も周りの人々のサポートで、再び走る事に正面から向き合う事が
出来た。
まさに俺たちの戦いはこれからだ!という所で物語は終わっている。
キレイに終わっている気もするけど、どこか物足りない気も…。
主人公がスタートラインに立つまでの物語としては、これ以上の話は
蛇足になるかもしれないけど、陸上経験者としては復活後の試合も
気になるんだよなぁ…。