私には精神的に不安定で持病もある娘が一人います。

結婚して1歳半の子どももいますが、

時々情緒不安定になりパニックアタックを起こしたり、

未だに心配の種はつきません。

 

アルツハイマーの診断を受けて、一番気がかりだったのは娘のことです。

病気のことを伝えたらどうなるだろう、

病気が進行して娘に迷惑をかけることになったらどうしよう・・・

私自身、母の認知症が進行して、人格が変わっていくのを見て、

とても悲しい思いをしました。

私が私でなくなっていく様子を娘に見せるわけにはいかないと思い、

早めに施設に入れるよう、準備を始めようと思いました。

 

私はアメリカ在住なのですが、

ここで施設に入るには大きな問題が二つあります。

一つは介護施設の料金の高さです。

こちらでは、それなりの介護が受けられる施設に入るには

一か月100万円ぐらいかかります。

(ただし、日本のような入居金はないところがほとんどです)

もう一つは、日本人の人口の少なさから、

日本語でのサービスや日本食を提供できる施設が少ないことです。

 

たまたま、私の住む所から30分ほどの町に日本人経営の介護施設があり、

そこに見学に行くことにしました。

元気なうちに申し込みをして、いよいよ一人で生活するのが難しくなったら

そこに入れてもらえないかと思ってのことです。

 

当日は、友人とそのご主人との3人で行きました。

施設の人には私がアルツハイマーだということはヒミツです。

その施設は、数年前に閉鎖した日系の比較的大きな施設で働いていた人が

自宅を改築して始めた収容人数6人の小さな施設でした。

長く業界にいた現場の人の話が聞けて

有益な時間ではありましたが、最初の10分かそこらで、

この施設に入ることができないことがわかりました。

「アルツハイマーの方はお断りしています」

 

そして、自分が何も知らないことが恥ずかしくなったのですが、

アメリカの介護施設の入居は審査が大変厳しく、

少なくともこの種の施設に関しては、入居申し込み時点で

医師の診断書がなければいけないということでした。

将来のため念のために・・・なんて言ってたら、

申し込み者が殺到してしまうのは、よく考えればわかることですよね。

 

ということで、日本語環境の施設入居はかなりむずかしく、

こちらで非日系の施設を探すか、日本に戻るかの二択になりそうです。

 

若い時に海外に出て、年老いて介護が必要になり日本に戻るのは

勝手すぎるという声があるのも知っています。

でも、だれも日本語を解さない施設で、毎食アメリカンな料理を

出されたら、どんどんボケてしまいそうです。

 

 

 

日本で受けたMRIの結果が異状なしだったため、

残りの日本での滞在、こちらに戻ってからの生活も

告知前とほとんど変わることはありませんでした。感謝。

 

そして、9月15日、神経科医との診療日が来ました。

もちろん、「特に異常は見られない」との所見付きMRIの結果も持参しました。

が、MRIは脳の血流や梗塞を見るためで、アルツハイマーの診断はできない」

というようなことを言われ、血液検査の結果、私がアルツハイマーであることは

間違いない事実だと言われたと思います。

この血液検査は最新のもので、2種類のアミロイドベータの比率で

アルツハイマーか否かが決まるそうです。

(記事の中にあるタウについては何も言われませんでした)

 

 

20年ほど前、母がアルツハイマーだと診断された時には、

MRIで海馬の萎縮が見られるからという説明を受けたと思います。

脳の萎縮が始まる前にこの検査でアルツハイマーがわかるなら、

それは超早期発見なのか?とも思ったのですが、

ちょっと打ちのめされていて、大して質問もせずに帰ってきました。

そして、夕方、処方されたアリセプト(のジェネリック)を取りに行き、

正式にアルツハイマー患者になったんだなぁと落ち込みました。

 

この後の1週間ほどは、アルツハイマーだったらどうしようの頃や、

電話で告知を受けてからMRIまでの間よりもつらく、

もともと睡眠障害気味だったのがさらに眠れなくなり、

もともとやせていたのが食べられなくてさらにやせ細り、

このままでは精神的に参ってしまうと思いました。

 

アルツハイマーに限らず、大変な病気を告知された人は、

どうやって「受容」のフェーズに達するのでしょうか。

このまま、現実を受け入れられず悶々としているのは

時間の無駄だと頭ではわかっていても、

最初のブログに書いたように前向きな気持ちに

簡単に切り替えられるものではないと実感しています。

 

この夏は諸々の事情があり、日本へは行かないつもりでしたが、

こちらでのMRIの自己負担額にブッ飛んでしまい、

日本で受けるために急遽一時帰国ました。

そして、電話口でアルツハイマーの告知を受けたのが8月14日。

 

8月18日のMRIはドキドキでした。

ガンガン音の鳴り響く中、ごく初期であることを祈り続けました。

そして、しばらく待って診察室に入ると、

先生は「普通ですね。65歳なら普通」とおっしゃるではありませんか。

血管が詰まっていないこと、隠れ脳梗塞の痕がいくつかあること、

記憶を司る海馬などに特に萎縮はみられないことなど、

大変丁寧に説明してくださいました。

 

アルツハイマーじゃないの?と希望がわいてきました。

もちろん、MRIに基づいて年齢相応の脳であると言うだけで、

先生は「アルツハイマーではない」とは言いませんでしたが。

 

アルツハイマーだと診断した医師との診療日まで、

MRIのいい結果に重きを置いて、生活していこうと思いました。