第39回 代表曲と売れた曲は一致するのか
小田和正
オフコースとしての晩年期にソロとしての作品を初めてリリース、そしてオフコース解散後に本格的にソロアーティストとしての活動を始めました。90年代に初頭には代名詞となるスーパーヒットを当てて、ソロとしての地位も安泰となり、大御所的存在として現在に至る小田和正を取り上げます。
【オフコース時代】 1986~1988年
「1985」「僕の贈りもの」
結果的にオフコースが終わりに近づいてきた1986年、小田和正もとうとうソロシングルを発売しました。ただオフコースとの差別化はどうしても必要なわけで、そんな点からすると「1985」はやや地味で難しい作品。名前で15位がせいいっぱいだったように思います。続く2枚目はオフコースの初期の楽曲のセルフカバーということで、ソロプロジェクトはまだまだ企画もの的な位置づけだったように思います。
【ソロとしてのスタート】 1989~1990年
「Little Tokyo」「君にMerry Xmas」「恋は大騒ぎ」
オフコースが解散となり、本格的にソロ活動のスタートとして最初に選んだのが「Little Tokyo」でした。楽曲的にも力が入っているように感じられ、セールス的にも健闘。その次はクリスマスソングに挑戦、さらにその次はタイトルをちょっと軽い印象にして、手を変え品を変えで、ある程度売れることを狙ったシングルの投入だったのではないでしょうか。
【奇跡の一曲】 1991年
「Oh! Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に」「あなたを見つめて」
そしてやってきた奇跡の作品が「ラブ・ストーリーは突然に」で、カップリングでの表記は2番手扱いになりますが、このシングルの売上の多くは、こちらの曲が目当てでしょう。なんでこちらが2番手表記だったのでしょうかね。いずれにせよ、テーマ曲として起用された〈東京ラブ・ストーリー〉が社会的なヒットとなり、そこのここぞという場面で使われた「ラブ・ストーリーは突然に」は超絶スーパーヒットとなり、これで小田和正はバンドとしてもソロとしても成功を収めたことになりました。
【セールス安泰期】 1992~1995年
「いつかどこかで」「そのままの君が好き」「緑の日々」「風の坂道」
「真夏の恋」「so long my love」
すっかりソロアーティストとしてもヒットチャート上位の常連になり、この期間のシングル6曲中4曲がトップ10入りを果たしてい、出せばヒットのまさに安泰といった印象の時期でした。
【ソロとしての停滞期】 1995~2001年
「君との思い出」「遠い海辺」「伝えたいことがあるんだ」「緑の街」など
出せばヒットの時期から、なかなかチャート上位に行きにくくなったのがこの時期で、その中でドラマのテーマソングに起用されヒットに結び付いています。この曲は「ラブストーリーは突然に」を彷彿させるような曲調で、再び「ラブ・ストーリーを突然に」ではないですが、かなりヒットを狙って作られた、あるいはオーダーされた渾身の一曲だったのではないかと想像しています。
【固定層に支えられ】 2002年~
「キラキラ」「まっ白」「たしかなこと」「ダイジョウブ」「こころ」など
200年代以降は音楽業界自体がなかなかヒットの分かりにくい時代になりましたが、その中でもシングルを出せば必ず買ってくれるファンがいるであろうことが、この時期のシングルの順位をみるとうかがえます。
■売上枚数 ベスト5
1 Oh! Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に 258.8万枚
2 いつか どこかで 36.0万枚
3 キラキラ 29.9万枚
4 伝えたいことがあるんだ 28.0万枚
5 Little Tokyo 22.0万枚
すべてCMソングかドラマの主題歌ということで、やはりヒットするにはタイアップが大事というのは、大御所でも同じです。圧倒的な「Oh! Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に」を除くと、次点以下は近いところで競っている状態です。
■最高順位
1位 … Oh! Yeah!/ラブ・ストーリーは突然に、こころ
3位 … Little Tokyo、キラキラ
4位 … まっ白、今日も どこかで、この道を
1位は2曲で獲得していますが、1位の2曲を比較すると、同じ1位だからと言って同等に扱うのはとてもできないように思います。
■代表曲
1 ラブ・ストーリーは突然に
----圧倒的に高い壁----
2 たしかなこと
3 キラキラ
「言葉にできない」などオフコース時代のカバー曲は除外すると、1位は別格として、いろいろなサイト等も見た結果、最近の感じだとこんな風になりそう。どうしもこの曲が圧倒的な代表曲にはなりそう。
■好きな曲 ベスト5
1 ラブ・ストーリーは突然に
2 伝えたいことがあるんだ
3 キラキラ
同系統の作品が並んでしまいましたが、スローバラードよりもアップテンポの曲のほうが小田和正については好きみたいです。
あまりにも圧倒的な「ラブ・ストーリーは突然に」が印象面でもセールス面でも群を抜いていますが、ではその次の代表曲はといわれたときにあがってきそうな「たしかなこと」はそれほど売れていないのですよね。
結論:圧倒的売上を誇ったあの曲がやはり圧倒的な代表曲