第22回 代表曲と売れた曲は一致するのか

 

Wink

 

女性アイドルデュオとしては70年代のピンクレディに次いで成功した二人といって良いでしょう。ソロアイドル中心の時代からアイドルグループ隆盛期に移行する時代に奮闘し、また笑わないアイドルとしても他と一線を画す存在であり続けた二人の実績をみてみました。

 

 

【何が売れるか手探りのブレイク前夜】  1988年

「Sugar Baby Love」「アマリリス」

少し前の時代の洋楽のカバー曲をデビュー曲に選んだ意図が興味深いのですが、結果的にはカバー路線というのが、ある時期までのWinkの軸となっていくわけですから、デビュー時の判断は間違っていなかったといえるような気がします。「Sugar Baby Love」はテレビドラマの主題歌にも使われ、まずまずの結果を残します。ただ2ndシングル「アマリリス」は日本の作家陣によるオリジナル曲ということで、路線をあれこれ探っているような感はありました。結果、セールス面ではデビュー曲よりも落としてしまい、早くも軌道修正を強いられることになりました。

 

【洋楽カバーで一躍トップアイドルへ】  1988~1990年

「愛が止まらない」「涙を見せないで」「淋しい熱帯魚」

「One Night In Heaven」「Sexy Music」「夜にはぐれて」

再びカバー曲に戻して、しかもドラマのテーマソングというタイアップもとって挑んだ3rdシングルが、当時人気急上昇のカイリー・ミノーグのカバー曲「愛が止まらない」でした。ユーロビートが日本で大うけし、多くのアーティストがこの頃ユーロビート系の洋楽ナンバーをカバーして発売しましたが、その中でも特にこの曲は日本で受けて大ヒット、Winkは一躍トップアイドルにとなったわけです。これで方向性を見出すことができたのか、続く「涙をみせないで」もカバー曲でヒット。オリジナル曲ものヒットも欲しいねと「淋しい熱帯魚」がこれまた大ヒットし、次の「One Night In Heaven」はオリジナルながら海外の作家が作曲。いい流れが作られ、この時期がWinkとしてのピークだったといえるでしょう。その次がノーランズのカバー曲「Sexy Music」で、さらに洋楽カバー曲「夜にはぐれて」と、この時期の6曲中カバー曲が4曲、洋楽作家が絡んだのが1曲と、Winkがカバー曲またはカバー風曲で、ヒットを連発していたのです。

 

【オリジナル曲中心の安定期】  1990~1992年

「ニュー・ムーンに逢いましょう」「きっと熱いくちびる」「真夏のトレモロ」

「背徳のシナリオ」「追憶のヒロイン」「摩天楼ミュージアム」

9枚目「ニュー・ムーンに逢いましょう」からしばらくは、日本の作家の作品をシングルとして選ぶようになっていきます。セールス面では以前ほどの勢いはないものの、確実にシングルチャートの上位には食い込んでくるというに中、曲調的にはあまり冒険をせず、ユーロビートから派生したディスコ調の作品を手堅く送り出していたという印象です。悪く言えば、似た感じの作品が多かったのですが、この頃はWinkに求められていた路線を堅実に取り組んでいたという言い方もできそうです。

 

【いろいろなタイプの作品に挑戦もセールス下降】  1992~1993年

「ふりむかないで」「リアルな夢の条件」「永遠のレディードール」「結婚しようね」

アイドルにはいつかは必ずアイドルとしての人気が下降する時期がやってくるのは致し方ないことで、Winkにもそれは忍び寄ってきます。それとともに、大人の歌手としての脱皮を図るということも皆が通る道。それまでのダンスミュージック風な作品群から、「ふりむかないで」でなんとザ・ピーナッツのカバー曲という意表をつく手を打ってきたあたりから、徐々に作品の雰囲気も変わっていきます。ハウスサウンドを取り入れた「リアルな夢の条件」、フレンチポップス「永遠のレディドール」、コミカルでポップなな「結婚しようね」…。ところが「リアルな夢の条件」では14作ぶりに売上が10万枚を割り、「永遠のレディードール」では15作ぶりにトップ10入りを逃すということで、セールスの下降を止めることはできませんでした。

 

【最後の一花】  1993年

「咲き誇れ愛しさよ」

このままずるずると落ちていってしまうかと思っていた矢先、大黒摩季作詞、織田哲郎作曲という、当時ヒットを連発していた二人による「咲き誇れ愛しさよ」がヒットし、息を吹き返すことになります。そしてこのあたりは楽曲の力がかなり大きかったていえるでしょう。ただ結果的にこれがWinkとしての最後の一花といった感じになったわけです。

 

【アイドルとしての役割を終え活動停止に】 1994~1995年

「いつまでも好きでいたくて」「トゥインクル トゥインクル」「シェリー モン シェリ」など

アイドルとして2人組で続けていくのは難しく、いつかは終わりが来るというのが当時の常識。ここからあとはどう終えていくかいう時期になっていき、実際に活動停止へと至ったわけです。

 

■売上枚数 ベスト5   

1 愛が止まらない 64.5万枚

2 淋しい熱帯魚 56.4万枚

3 涙をみせないで 52.3万枚

4 One Night In Heaven 42.3万枚

5 咲き誇れ愛しさよ 33.7万枚

ブレイクした3rdシングル「愛が止まらない」から6thまでの4曲が1~4位を占めており、この時期がアーティストとしての最もパワーのあったということでしょう。そんな中でポツンと19thシングル「咲き誇れ愛しさよ」が5位に入っているということが特徴的です。

 

■最高順位 

1位 …  愛が止まらない、涙をみせないで、淋しい熱帯魚、One Night In Heaven、Sexy Music

5曲連続の5曲が1位を獲得し、そこから4曲連続が最高2位と、明確に分かれているのが面白いです。こうみるとピークが非常にはっきりしています。

 

■代表曲

1 淋しい熱帯魚

2 愛が止まらない

3 咲き誇れ愛しさよ

「咲き誇れ愛しさよ」「愛が止まらない」がツートップでしょうけど、オリジナル曲ですし、独特の振り付けの印象も強い「淋しい熱帯魚」が若干強いように思います。少し離れて、ピークを過ぎた後に売上を稼いだ「咲き誇れ愛しさよ」でしょうか。

 

 

■好きな曲 ベスト5

1 愛が止まらない

2 咲き誇れ愛しさよ

3 真夏のトレモロ

4 背徳のシナリオ

5 Sugar Baby Love

個人的にも一番売れた「愛が止まらない」がダントツで好きで、カバー曲ではありますが、売れるべくして売れたというところでしょうか。日本人受けするユーロビートのメロディーに及川眠子の日本語詞がうまくはまりました。「咲き誇れ愛しさよ」は大黒摩季らしい詞が、それまでのWinkにはなかったもので、新鮮でした。

 

 

「愛が止まらない」「淋しい熱帯魚」の2曲が代表曲でもあり、セールス面でも1位、2位なので、基本的には印象どおりなのです。細かく言えば2番目に売れた「淋しい熱帯魚」の方が、認知度は高いかも。一方で、あまり話題になることのないセールス3番手「涙をみせないで」も、「淋しい熱帯魚」に結構肉薄しているのですよね。

結論:セールスの2トップが代表曲2トップでいいでしょう。