80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.358

 

シンフォニーの風 西村知美

作詞 麻生圭子

作曲 中崎英也

編曲 萩田光雄

発売 1987年3月

 

 

中崎英也の爽やかなメロディーと田園の風景を背景に揺れるスカートの少女を歌う歌詞、清純派アイドルにぴったりな春らしい一曲

 

 西村知美は第1回ミス・モモコクラブでグランプリを受賞し、モモコクラブの人気メンバーとなります。1986年3月映画『ドン松五郎の生活』で女優デビューし、その主題歌『夢色のメッセージ』でアイドル歌手としてもデビューを果たしました。当時15歳、歌唱力についてはお世辞にも上手とはいい難い不安なものではありましたが、清純で可愛らしいイメージが受け、デビュー曲はオリコン最高2位、売上17.9万枚を記録し、いきなり人気アイドルの仲間入りを果たしたのです。その後も発売したシングルは常に安定した順位を確保し、デビュー曲から8曲連続して最高5位以内、うち2位が3回という結果を残しました。今回取り上げたのはその中の1曲、6thシングル『シンフォニーの風』です。ちなみにこの曲のオリコン最高位は4位でした。

 

 『シンフォニーの風』はデビュー翌年の3月の発売で、春らしい爽やかな楽曲となっています。デビュー1年でシングル6曲という、かなりのハイペースで発売されていたわけですね。作詞は麻生圭子、作曲が中崎英也ということで、この当時のヒットメイカーが携わっていたということで、作品としても売れ線のものに仕上がっていたのではないでしょうか。個人的には中崎英也のメロディーがこの当時特に好きで、『シンフォニーの風』は完全に私好みでありました。ちなみに西村知美に対しては、4thシングル『君は流れ星』とこの曲の2つのシングルで作曲を担当しています。

 

 歌詞はというと、好きなあなたに対しての気持ちが自分の中でどんどん盛り上がっていく様子を歌った女の子らしい内容になっています。

《長いスカートつまんで飛びこえた草原 あなたとふたり》

《シンフォニーのような 田園の風》

と舞台は爽やかな風の吹く緑の田園、そこに二人で来ているわけです。でも

《ドキドキするの シー! まだ秘密だけど きっともうすぐ あなたに恋をするような気がする》

ということで、好きになりかけている気持ちはまだ伝えていない間柄のようです。

《胸の鼓動 読まれそうで いつもの3倍は喋るの》

《高鳴っていく クレッシェンドをして》

《深呼吸しても このメロディは もう止まらない》

と自分の中のあなたへの思いは強く高くなっていくばかりなのが、この歌詞からあふれ出ているのです。好きなあなたとふたりきりで過ごす草原。恋心は既に最高潮といったところではないでしょうか。まさに気分が浮かれ出す春にぴったりな曲ですね。

 

 さて西村知美ですが、この後も前述のようにオリコントップ10入りを続けていくわけですが、彼女の場合はまさに最初から最後までずっと清純派アイドルを通したというところがありました。通常は少しずつ大人っぽいきわどい路線に振っていったりするところが、それがほとんどなく、徹底して清純派路線を崩しませんでしたね。それはおそらく西村知美自身のキャラクターを鑑みてのことだったのでしょうし、歌唱力や声質からみても、セクシー路線は似合わないという判断があったのかもしれません。ただ今もなお芸能界で活躍している西村知美を見ると、その根底にある部分は崩れていないのですよね。独特のキャラクターがクローズアップされることが多いですが、結婚して子供もいて、これでけ長く芸能界にいても、不思議と擦れていない感じが、実は結構稀有な存在ではないかと思ったりもするわけです。

 

 そういえば若い時一度だけ、好きなタイプを芸能人に例えて聞かれた時に、顔だけなら西村知美と答えたことを思い出しました。

 

最後に、西村知美のシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。

1 シンフォニーの風 

2 ポケットに太陽  

3 天使のゆびさき 

4 君は流れ星  

5 夢色のメッセージ 

6  見えてますか、夢 

7  わたしドリーミング 

8  想い出の冬休み 

9 16粒の角砂糖 ★

10  きゃきゃきゃのきゃ 

★=80年代発売