80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.340

 

Diamonds  プリンセス・プリンセス

作詞 中山加奈子

作曲 奥居香

編曲 プリンセス・プリンセス、笹路正徳

発売 1989年4月

 

 

じわじわと昇りつつあったプリプリ人気を一気に爆発させた、未だに越えられないガールズ・バンドの王者のブレイク曲

 

 1984年赤坂小町というアイドルバンドでデビューしたものの鳴かず飛ばず、その後プリンセス・プリンセスと改名した後に改めて1987年4月『恋はバランス』でデビューした彼女たち。すると少しずつファンを広げていき、プリンセス・プリンセスとして6枚目のシングル『GET CRAZY!』(1988年10月)がトレンディドラマ「君が嘘をついた」の主題歌に起用され、オリコン13位、売上11.9万枚 を記録。同時期に発売したアルバム「LET’S GET CRAZY」はアルバムチャートでは2位にまで上がり、人気爆発寸前という状況で発売されたのが『Diamonds』でした。

 

 発売当時は大学生だった私も、『19GROWING UP』(1988年2月)あたりからシングルをチェックするようになり、『GO AWAY BOY』(1988年10月)、『GET CRAZY!』ときて、「LET’S GET CRAZY」もレンタルしてカセットテープに録音、そろそろ次のシングルでトップ10入りかなと思いながら聴いたのが『Diamonds』だったわけです。そして初めて『Diamonds』を聴いたとき、これはヒット間違いないと確信したのでした。それまでのロック色の強い曲から、大衆受けしそうなアップテンポのポップな出来栄えに、一聴で気に入ってしまった私、これはどうしても“実物”が欲しいということになり、早速CDショップに出向きシングルCDを探したのです。しかしこれが店頭にないのですよね。仕方なくもう少し遠くの別の店にも行ったのですが、そこにもない!どこの店も売り切れだったのです。「いやー、これはもしかして…」と当時毎週購入していた雑誌オリコンウィークリーの発売日に確認すると、案の定、初登場でいきなり2位に登場していたのです。それまでの実績からして、そんなに生産されていなかったのか、或いはどの店も入荷を数多くしていなかったのか。いずれにせよ、初週からここまで売れるとは考えていなかったのでしょうね。

 

 2週目以降は4位、3位、3位、3位、2位と上位をキープし続け、そしてとうとう7週目で初めて1位を獲得。最終的には109.7万枚とミリオンセラーを達成する大ヒットとなり、女性だけのバンドとしての頂点を極めたのでした。なおこの『Diamonds』のシングルはプリンセス・プリンセスのバラードの人気曲『M』とのカップリングにもなっているということで、後には最強の組み合わせのシングルとして語られるようにもなりましたが、『M』については当時さほど話題になったという記憶はなく、後からじわじわと人気が定着していき、代表曲のひとつになったという印象です。

 

 さて『Diamonds』ですが、とにかく聴いていてウキウキと楽しくなるような曲なのですよね。メロディは明るくポップで耳なじみのよいものになっているのですが、歌詞からもまた、女性が好きなことを模索しながら日々を楽しんでいる様子が実に楽しそうに伝わってくるのですよね。

《好きな服を着てるだけ 悪いことしてないよ》

《金のハンドルで 街を飛びまわれ 楽しむことにくぎづけ》

《それは素敵なコレクション もっともっと並べたい》

《プレゼントの山 埋もれもがいても まだ死ぬわけにはいかない》

《欲張りなのは生まれつき パーティーはこれから》

と、とにかく楽しむことへのどん欲さにあふれた歌詞で、実はあまり具体的な状況はわからないのですが、「なんか楽しそう」って感じが心地よいのです。そんな楽しさが多くの人に伝わってヒットし、そしてプリンセス・プリンセスの存在が全国区のものになったのが『Diamonds』だったのでしょう。

 

 こうして知名度を上げたことで、過去に発売して売れなかったプリンセス・プリンセスとしての2ndシングル『世界でいちばん熱い夏』(1987年7月、1989年7月)を改めて新曲としてリリースした所、これまたオリコン1位、売上86.5万枚の大ヒット、結局5曲連続でオリコン1位を達成し、ガールズバンドとしての一時代を築くことになったわけです。その後は少しずつ売上も低下していき、解散にいたるわけですが、後に期間限定で再結成を果たし、2012年には紅白歌合戦にも出場しています。これだけの実績を上げながら、全盛期には紅白への出場はなかったわけですが、これは80年代から90年代にはよくあったこと。全盛期を過ぎたころに初めて出場したアーティストは結構多いのですよね。でも、やはり、最高潮の時代に出てほしかったというのは、プリンセス・プリンセスに限らずありますね。

 

 そしてもうひとつ、未だに商業面でも影響面でもプリンセス・プリンセスを超えるガールズバンドが出ていないということ、これも凄いことです。ある程度成功したガールズバンドとしては、同じまたは近い時代ではSHOW-YA、GO-BANG’S、PINK SAPPHIREなどが、後発ではWhiteberry、ZONE(商業的な成功としては後発組では1番手でしょうか)、チャットモンチー、SCANDAL、ステレオポニー、Silent Siren、SHISHAMOなどがあるのですが、やはりプリンセス・プリンセスの存在感を超えたバンドはないように思います。『Diamonds』でブレイクしてから30数年経過してもなお、未だに日本のガールズバンドのトップに君臨しているという恐るべき存在がプリンセス・プリンセスなのです。

 

最後に、プリプリのシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。

1 世界でいちばん熱い夏 

2 Diamonds  

3 KISS 

4 ジュリアン 

5 だからハニー

6 SEVEN YEARS AFTER

7 GET CRAZY!

8 19GROWING UP 

9 GO AWAY BOY 

10  ふたりが終わる時

★=80年代発売