80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.334
stripe blue 少年隊
作詞 松本隆
作曲 筒美京平
編曲 馬飼野康二
発売 1987年3月
突き抜ける爽快さは少年隊の中では随一、夏のリゾート感満載のラブソング!
少年隊の代表曲といえば、まずはダンサンブルでアップテンポのマイナーソング『仮面舞踏会』(1985年12月)、そしてじっくり聴かせるバラード『君だけに』(1987年6月)といったことになるでしょうし、実際のセールス面でもこの2曲がツートップです。しかし私は少年隊でいうと、どちらかと明るくポップで元気がはじけるような曲の方が好みです。例えば冬のラブソング『ABC』(1987年11月)や夏のリゾートラブソング『What’s your name?』(1988年7月)などもそうですが、その中でも特に気に入っているのが、今回取り上げる『stripe blue』です。この曲も『What’s your name?』と同様に夏のリゾートを舞台にしたラブソングではありますが、特に爽快感抜群で、歌ったり聴いたりしていると、青い海と空、白い雲が目の前にくっきりと浮かんできて、晴れ晴れとした気持ちになれるのです。
その『stripe blue』はオリコン最高1位、売上25.2万枚という結果でしたが、これは当時の少年隊としては平均的なレベルといえるでしょうか。少年隊にとって1位は当たり前という時期、アナログレコードからCDへの移行期で、シングルレコードの売上が全体として低迷していた時期でしたので、枚数的にもこんなものでしょう。そして、その作詞・作曲は松本隆と筒美京平という黄金コンビ。名前を聞いただけでヒット間違いなしといったところですが、少年隊では計3曲、松本&筒美のコンビによるシングルを発売しております。ちなみに最初が4thシングル『バラードのように眠れ』(1986年11月)、次が5thシングルの『stripe blue』、その後7thシングル『ABC』ということになります。
さて『stripe blue』ですが、とにかく無条件で爽快な気分になれる、リゾート感満載のラブソングですが、これ、発売は3月なのですよね。歌詞をみても完全に夏の海のリゾートを舞台にしているので、設定として南の島を想定しているのか、或いは季節を大幅に先取りして、夏まで引っ張ろうとしていたのか、そんなところでしょうか。
《ヤシの木》《ひとつのソーダ》《貝殻の裏がわにイニシャル》《ひと夏のメモリー》《太陽のシャワー》《やけた胸》《青空に斜めのスコール》
と、これでもかこれでもかと、夏のワードを盛り込んできて、ここまでくれば文句ないだろうというほどの徹底ぶり。恐るべし松本隆。そしてそんな夏を背景にしてのタイトル『stripe blue』ということで、その色は?何がストライプなのか?ということになってくるわけです。
ストライプは言うまでもなく2本の縦縞なのですが、どうやら直接的には女性の着ている《縦縞のシャツ》を指しているようです。おそらくそれが青=Blueと白のストライプなのでしょう。歌詞には青と白の縞々模様だよとはどこにも歌われていないのですが、他の歌詞からはそれを完全に示唆していて、この歌詞じゅうがまさに青と白にあふれているのです。
《風はBlue Blue》《空はBlue Blue》《青空に斜めのスコール》《青春の青が溶けるよ》
の青に対して、白は
《ピーチはWhite》《ヨットはWhite》《心の白さに》
となっていて、実際に見える色としての青や白に、抽象的な青春とか心の色としても青と白を表現しているのが心憎いじゃありませんか。さらにこれ以外にも、歌詞では歌っていない“海の青”、“雲の白”というものが、頭の中で想像してシーンでは確実に浮かんでくるようになっているところがまたすごい!それでもって、シャツ以外にもストライプがもうひとつ描かれているのです。そうです。
《青空に斜めのスコール》
です。青空をバックに斜めに白い雨のストライプが描かれているのが浮かんできませんか?ただただ南国ビーチで彼女とふたりで陽気な休暇を過ごしている能天気な作品かと思いきや、いろいろな技が込められているのです、この『stripe blue』は。そこに筒美京平の売れ線のメロディーが乗っかるわけですから、歌っていて気持ちいいのは当然と言えば当然。
そんなところからも、私にとっての少年隊No.1は『stripe blue』なのです。
最後に、少年隊のシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。
1 stripe blue ★
2 ABC ★
3 封印LOVE
4 What’s your name? ★
5 仮面舞踏会 ★
6 デカメロン伝説 ★
7 Oh!!
8 バラードのように眠れ ★
9 ダイヤモンド・アイズ ★
10 君だけに ★
★=80年代発売