80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.332

 

う・ふ・ふ・ふ  EPO

作詞 EPO

作曲 EPO

編曲 清水信之

発売 1983年2月

 

 

資生堂春のキャンペーンソングに起用された春らしいウキウキ感にあふれたEPO随一のヒット曲

 

EPOが歌手デビューしたのは1980年3月で、デビュー曲は『DOWN TOWN』。この曲はカバー曲でしたが、いきなり無名の新人が売れるほど簡単な世界ではなく、オリコンチャートトップ100にも登場していません。ただこの『DOWN TOWN』は翌1981年に人気番組「オレたちひょうきん族」のエンディングテーマに使われたところから、少しずつEPOの名前は知られるようになり、自身の4thシングル『土曜の夜はパラダイス』も続けて同番組のエンディングに使われたのです。EPOの名前が広がるのに「オレたちひょうきん族」の果たした役割は大きく、時に出演することもあったようです。そんな中で6thシングルとして発売されたのが『う・ふ・ふ・ふ』でした。

 

この『う・ふ・ふ・ふ』ですが、当時起用されると必ずヒットに繋がっていた資生堂の春のキャンペーンソングとして発売されたことで、さらに多くの人の耳に届くことになり、初めてオリコンチャートのトップ100に登場するだけでなく、最高7位、売上26.3万枚という、EPOとして唯一のトップ10入りシングルになりました。EPOはこの曲をきっかけに、資生堂のキャンペーンソングに関わることが増えていき、1984年春の高見知佳『くちびるヌード』、1984年秋の香坂みゆき『ニュアンスしましょ』などを手掛けてヒットさせています。そんなきっかけとなったのが『う・ふ・ふ・ふ』です。

 

 タイトルからしてウキウキするような春に相応しいものになっている『う・ふ・ふ・ふ』ですが、実際の歌詞やメロディーも聴くと浮かれ気分になるような楽曲で、それが季節にもマッチしてヒットに繋がったのでしょうね。

《うららかすぎる 日ざしのまやかしで 街中なんだか いきづいている》

《まばゆい春の南風はいたずらに ブラウスの袖に 軽くそよいで》

と1コーラス目で春の街やファッションの春らしさを描いた上で、その中で仕事に恋愛に充実した日々を過ごしていそうな私の内面の描写が2コーラス目に続いていきます。

《気ままな時間 今はもうないけど 本当の自由を手に入れたのネ》

《大人になって なにかに追われ出しても 心の感度は 磨いていたい》

そしていずれのサビの部分で《う・ふ・ふ・ふ》の連呼となるわけで、《う・ふ・ふ・ふ》というのが何に対して笑っているのか分からなくても、女性が何か楽しそうに生きている感が伝わってくるのですよね。時代的には、これから女性の社会進出がますます進んでいこうとしている時代、女性が社会の中で強くなっているそんな時代背景も映しているようで、そんなムードが多くの女性にも共感されたのではないでしょうか。そんな意味でも春の化粧品ソングとしてはぴったりの曲だったと思います。

 

ただこの曲のヒットは、その後のEPOのシングルの底上げにはあまり繋がらなかったようで、EPOの作家性よりは、時代の雰囲気に合っていたという楽曲の魅力でヒットしたという部分が大きかったのでしょう。しかも次のシングルまでに1年以上空いてしまったというのもあるでしょう。一発当てると、そのすぐ後に重ねるように、似たような傾向の新曲をリリースするというのが続けてヒットを狙う常套手段なのですが、それを敢えてしなかったのでしょうか。その後は自身の歌う曲ではヒットに恵まれず、結果として『う・ふ・ふ・ふ』が唯一のヒット曲となったわけです。それでも他のアーティストへの曲の提供という形での活躍もあり、長く音楽界で頑張っている感はあるアーティストではあります。