80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.326
Shake Hip! 米米CLUB
作詞 米米CLUB
作曲 米米CLUB
編曲 中村哲、米米CLUB
発売 1986年4月
米米らしいノリの良いセクシー系ダンスナンバーも当初はさほど広がらず、後に再リリースでヒットした2ndシングル
1985年10月『I・CAN・BE』でデビューした米米CLUBは、当初はパフォーマンスを重視した色物バンド的な見方が大方を占め、大衆に支持されて売れるまでは、もう少し時間がかかることになります。それを象徴するのがこの2ndシングル『Shake Hip!』で、2ndシングルとして発売された『Shake Hip!』は結局オリコン最高54位、売上2.3万枚というパッとしない結果で終わります。もっともデビュー曲はトップ100圏外だったことを考えれば、ずいぶんよくはなっているのですよね。
ただこの『Shake Hip!』は後の1990年12月に11thシングルとして再度発売され、この時は既に実績も知名度もあがり人気バンドになっていたこともあって、オリコン5位、売上40.0万枚というヒットになるのです。同じ曲でもこれだけ発売時期で差があるということは、やっぱり曲が良いだけで売れるのは難しいのでしょうね。人気アーティストになれば、新曲が出るタイミングでいろんなところでかけてもらえ、そうすれば多くの人々の耳にも届くという良い循環になると。ですからまだ世に知られていない場合は特に、一生懸命タイアップをとろうとしたりもするわけなのでしょう。この『Shake Hip!』のように、最初リリースしたときは売れずに、自身がブレイクしてから再度リリースしたら売れたというケースは、プリンセスプリンセスの『世界でいちばん熱い夏』なんかもありますね。売れないアーティストの隠れた名曲が、アーティストが売れたことで日の目を見た、ということです。
さて『Shake Hip!』ですが、最初の頃の米米CLUBのレパートリーは大きく分けてエンターテイメントに徹したおふざけ系の歌と、ノリのいいちょっとセクシー系の路線の曲があって、前者は『KOME KOME WAR』(1988年8月)、『FUNK FUJIYAMA』(1989年10月)など、後者は『SURE DANCE』(1987年9月)そして『Shake Hip!』などが当てはまるように思います。この中で最初にオリコントップ10に入ったのは『KOME KOME WAR』の5位で、次が『FUNK FUJIYAMA』の2位ということで、当時はおふざけ路線の方にヒットのために活路を見出していたようなところがあります。しかしアルバムから後になってカットした『浪漫飛行』(1990年4月)の大ヒットで、こんないい曲もあるのかと、一気に流れが変化し、他の曲にも目が向けられ、再度発売した『Shake Hip!』も日の目を見たのでした。
タイトルそのものが『Shake Hip!』ですからね、その内容は推して測るべし。
《Shake Hip ゆれるたびに Oh! SEXY Shock!》
《そのドレスやぶって Mon amour》
《愛してるからといって 何でもはできないよ もうこれ以上 じらさないで》
《愛のボランティア いつ頃エンドマーク もう心は破裂しそう》
《この思いわかって I love you 本当さBaby だから早すぎると言わないで》
まあまあもうもう大人の歌詞ですね。言うならば、おいしそうな匂いがぷんぷん漂ってくるご馳走を目の前にして、お預けをずっーとくらっている男の気持ちを歌った曲とでもいいましょうか。まあ、こんな曲を楽しくノリノリでパフォーマンスできてしまうのが米米CLUBの魅力でもあるのですよね。
結局最初は売れなかったのは多くの人にとって機会がなかっただけ、知らなかっただけで、浪漫飛行で米米CLUBを聴くようになった新しいファンが機会を得て聴いたとなれば、やっぱり売れてしまう楽しい曲なんです。米米CLUBのこのあとは、出す曲出す曲オリコントップ10に送り込む人気グループとなっていき、『君がいるだけで』(1992年5月)でとうとう頂点に到達するわけです。でも『君がいるだけで』も歌えば『Shake Hip!』や『FUKK FUJIYAMA』も歌うという振り幅の広さが、なんといっても米米CLUBの真骨頂であり、人気の源であったことには間違いないでしょう。
最後に、米米CLUBのシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。
1 浪漫飛行 ※アルバムは80年代
2 Shake Hip! ★
3 ひとすじになれない
4 SURE DANCE ★
5 I・CAN・BE ★
6 君がいるだけで
7 PARADISE ★
8 FUNK FUJIYAMA ★
9 俺色にそまれ
10 KOME KOME WAR ★
★=80年代発売