80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.317
いちごがポロリ 本田理沙
作詞 阿久悠
作曲 NOBODY
編曲 船山基紀
発売 1988年10月
大人びた歌唱とのアンバランスさがなんともいえない、こんな歌を17歳のアイドルに歌わせるのかというほどエッチで攻めたポロリソング
1988年7月『Lesson2』でアイドル歌手デビューした本田理沙。どこかロリータ風でありながらも17才に思えない色気と、その見かけとは釣り合わない大人びた歌唱が魅力でしたが、デビュー曲はオリコン最高92位と、とっても残念な結果で終わってしまいました。このままでは消えてしまうと思ったのかどうかわかりませんが、2ndシングルとしてリリースしたのが、あっと驚くなんとも大胆な楽曲で勝負をかけてきたのです。それが今回取り上げる『いちごがポロリ』でございます。
この歌、タイトルから想像して分かるように、まさに女性が隠している場所をポロリしてしまったということを歌った曲です。こんな歌を17歳の女性アイドルに歌わせますか、というほど大胆でエッチな歌詞で、今だったらコンプライアンスだのセクハラだのといって叩かれかねないような歌でありました。ただ当時はまだおおらかな時代、テレビの芸能人水泳大会ではポロリがお約束でしたし、子供たちが見るドリフターズのコントにも、2時間のサスペンスドラマでの温泉を舞台にした殺人事件でも、必ずポロリの場面が出てきましたからね。それにアイドルソングでも前例もないわけではなくて、石野真子の『ワンダー・ブギ』では鴎が娘のビキニを外してしまい、パパイヤみたいな胸がどーんと出てしまったのに「真夏はユカイ」となんとも能天気に歌われたりもしていました。 その詩を書いたのが阿久悠ですから、それも意外な感じです。そして作曲がNOBODYなのですよね。これもまた意外。
さて実際の歌詞をみてみると、いきなり
《決定的な瞬間を あなたは見なかった》
《他のみんなは 見てしまったのに あなたは見なかった》
といったい、何を見てしまったのかと考えさせておいて
《たとえばそうね いちごがポロリ そんな感じかな》
と例え風に答えをまず明かし、そして
《踊りに夢中になってるあいだに 肩ひもがずり落ちた》
と具体的な状況をようやく説明してくれます。
このあとは
《そりゃもう大騒ぎ 小さなパニックだわ》
《今夜のハイライト うわさのヒロインだわ》
《刺激が強い いちこがポロリ ゴクリ生つばねぇ》
《いちご美人とからかわれ 私みょうにいろっぽい》
と注目を浴びたことをポジティブに受け入れているあたり、結構度胸が据わっている女の子なのですね。
それに対してあなたは
《でもあなたは目をそらす とてもシャイなのね》
《でもあなたが気にかかる とてもうぶなのね》
《決定的瞬間をあなたはみなかった》
ということで、とても恥ずかしがり屋さんのようです。本当はあなたにポロリを見てほしかったということではないでしょう、見なかったあなただからこそ気になるということなのでしょうね。とにかくこうみてみるとヘンテコな曲であることには違いありません。
ただ本田理沙って、わりと声が出ていて歌声がしっかりしているのですよね。そのあたりがどうもこの曲と不釣り合いな気がして、もつと可愛い可愛いした声の方が、この歌に合っているような気はします。どう考えてもしっかりと歌いこむような歌ではないのに、結構ちゃんと歌っていたのが、今聴いてみてもちょっと違和感はあります。ただこの歌のインパクトは大きかったのでしょう、この歌はオリコン最高34位と、前作から大きくジャンプアップしたのです。本田理沙といえばやはり『いちごがポロリ』だよねという印象は完全につきましたね。
このあと本田理沙は3作目『本気!』が最高31位とキャリアハイを記録しましたが、それ以降は徐々に下降して、アイドルとして大成できずに終わってしまいました。ただ近年時々、あの人は今的な企画でテレビに顔を見せることがあったりして、元気そうな姿を確認できることは嬉しいですね。