80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.309
いまのキミはピカピカに光って 斉藤哲夫
作詞 糸井重里
作曲 鈴木慶一
編曲 鈴木慶一
発売 1980年6月
宮崎美子が出演して話題になったCM曲として話題になり、タイトルと同じサビが流行語にもなってヒットした斉藤哲夫唯一のヒット曲
この『いまのキミはピカピカに光って』は斉藤哲夫の歌というよりも、宮崎美子の歌といったほうが伝わりやすい、とにかくCMのインパクトが強烈な曲でした。そもそも斉藤哲夫は1970年2月に『悩み多き者よ』という哲学的なタイトルの歌でデビューしたフォーク系のシンガーソングライターでしたが、シングルのヒット曲はこれといってなく、オリコントップ100に入るようなことはありませんでした。
一方で宮崎美子は地方の女子大生でしたが、1980年1月「週刊朝日」の表紙を飾ったことから人生が変わっていきます。あの篠山紀信の誘いでミノルタカメラのテレビCMに起用され、洋服を脱いで水着になる姿がたいへんな評判になり、それをきっかけに人気タレントへとなっていくわけです。そしてそのCMに起用されたのが斉藤哲夫の『いまのキミはピカピカに光って』でして、このコピーも当時の流行語にもなりましたし、シングルとして発売したこの曲は、オリコン最高9位、売上20.0万枚を記録したのです。
『いまのキミはピカピカに光って』の歌詞はいかにもコピーライターをしていた糸井重里らしいものになっていて、言葉遊びで埋められています。
有名なフレーズ
《いまのキミはピカピカに光って》
に対し、別のサビで
《いまにぼくはクラクラにへたって》
と対照的なキミとボクの状態を表現。
《ナインティーン?たぶん19の輝きざかり
エイティーン?もしや18はねざかり
トゥエンティ?ひょっと20の花ざかり》
18歳、19歳、20歳といった若さの輝きを歌っているのですが、結局この曲って、結局は宮崎美子のCMあってこその作品なのですよね。CMのBGMにしかならないのですよね。
当時を知っている人がこの歌を聴いて、最初に浮かべるのは斉藤哲夫の顔ですか?いやいや、宮崎美子の水着姿以外は考えられないでしょう。私自身もテレビで歌っている姿をまったく覚えていないですし、映像をさがしてみても当時のものはなかなか出てこないです。ですからこの曲はヒットしても、結局は斉藤哲夫のものにはならなかったのです、不幸にも。そしてオリコントップ100入りもこの曲だけになってしまったのです。もちろん唯一のヒット曲として、ないよりはあった方がいいとは思うのですが、ヒットの仕方としては本意でなかったように想像してしまいますが、どうなのでしょうかね。
このように斉藤哲夫にとってはあまり大飛躍には繋がらなかったのですが、CMに出ていた宮崎美子の芸能界での活躍ぶりは、今さら説明するまでもないでしょう。女優業のほか、クイズ番組の常連として活躍、才女ぶりを大いにみせつけています。ということで、結論としては『いまのキミはピカピカに光って』は宮崎美子の代表曲ということでよろしいでしょうか。