80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.308

 

白夜  THE ALFEE

作詞 高見沢俊彦

作曲 高見沢俊彦

編曲 THE ALFEE

発売 1987年7月

 

 

アルフィー得意のメルヘンチックで幻想的な世界を最大限に表現したラブソングの名曲

 

 1980年代のTHE ALFEEには『メリーアン』(1983年6月)、『星空のディスタンス』(1984年1月)『STAR SHIP~光を求めて~』(1984年5月)、『霧のソフィア』(1985年10月)、『風曜日、君をつれて』(1986年3月)といった幻想的でメルヘンチック、ファンタジックな独特の世界を表現した曲群と、『SWEAT&TEARS』(1986年7月)、『ROCKDOM 風に吹かれて』(1986年9月)、『My Truth』(1987年10月)、『19(nineteen)』(1988年7月)など古き良き青春時代を歌ったような曲群と、大きく分けると2つの曲群に分けられるように思います。それでも量的には前者の方が多く、この分野はまさにTHE ALFEEの得意分野だと思うのですが、その中でも『白夜』はタイトルからして幻想的なものになっています。THE ALFEEの曲の中でも、特に異質性を放っている曲だともいえるのではないでしょうか。

 

 曲によってボーカルを変えてくるTHE ALFEEですが、この曲に関してはこの人しかいないでしょうという感じで高見沢俊彦が務めています。まさに『白夜』という世界観には、透き通るような高音ボイスがぴったり。そんなボーカルと詩と曲のすべてで調和して、『白夜』という曲の独特な雰囲気が演出されているといっても過言ではないでしょう。

《どれだけ見つめていれば 想いは届くのだろう 叶わぬ恋ほどに 涙があふれてしまう》

と基本的には叶わない恋を歌っているのでしょう。二人の間に何か障害があるのか、或いは打ち明けられずに一方的に思っているだけなのか。そのあたりはよくわかりません。

《時に愛は言葉を忘れた天使のように 甘いため息だけで 激しく燃えあがるもの》

《このまま二人揺れあって 白夜の果てで抱き合って》

と白夜の下で抱き合っている二人の姿が歌われていますが、果たしてこれは夢かうつつか幻か、歌い手の妄想なのでしょうか。このあと2コーラス目からは、さらに不思議さが強まっていき、幻想的な世界が繰り広げられていきます。

《不思議な恋の唄が 空に流れ消えてゆく》

《遥かな幻想の街 風のララバイ哀しく》

《真夏の夢の蜃気楼 時を忘れていつまでも》

《闇と光の間で 彷徨い続けていよう》

《赤いルージュ妖しく 白い夜に抱かれて》

このような言葉だけで、なにか引き込まれていくものがありますね。で、“幻想の街”“真夏の夜の蜃気楼”という言葉が出てくることで、この歌の情景そのものが歌い手の幻想の出来事なんだということが見えてきます。えっ、これって、想いの届かない相手と白夜のもとで抱き合っていることを想像しているだけの歌なの?という結論になってしまうわけですが、実際のところはどうなのでしょうね。

 

 でもやっぱりこの歌雰囲気は最高で、私はTHE ALFEEの曲の中では一番好きなのです。売上としてはオリコン最高3位、12.4万枚とそこそこで終わってはいますし、前後の『サファイアの瞳』(1987年3月)、『My Truth』が1位を獲得しているだけに、THE ALFEEのど真ん中からはそれた曲だったといえるのかもしれません。それでも、いやそれだからこそ『白夜』の存在は光っているように感じるのですよね。

 

 いうまでもなくこの後もTHE ALFEEの3人はヒットチャートに次から次へと曲を送り込んでいきます。解散することもなく同じ3人組で今なお一線で活躍し続けているということはほんとうに恐れ入るばかりです。大学時代、同じサークルの友人にいわゆる「アル中」といわれるアルフィーファンがいたのですが、彼は今でもファンなのかなぁ、なんてちょっと思い出したりしてしまいました。

 

最後に、THE ALFEEのシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。

1 白夜 

2 メリーアン  

3 シンデレラは眠れない 

4 ROCKDOM 風に吹かれて  

5 SWEAT & TEARS 

6 恋人達のペイヴメント  

7 君が通り過ぎたあとに 

8 まだ見ぬ君への愛の詩 

9 風曜日、君をつれて 

10  STAR SHIP~光を求めて~ 

★=80年代発売