80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.271
Northern Lights-輝く君に- スターダスト・レビュー
作詞 高橋研
作曲 根本要
編曲 三谷泰弘
発売 1989年2月
安定の透き通った根本要のボーカルを生かす奇麗な旋律が印象的、神秘的なオーロラを歌った詩も見事にマッチした美しい一曲
スターダスト・レビューは、日本の音楽界の中でも類似の存在がほぼなく、侵されることのない独自の地位を確立してきたことで、解散もなく長く活躍を続けられている稀有なバンドであると思っています。知名度も結構ありますし、名曲も数多くありながらも、実はオリコンのトップ10には一度も入っていないですし、売上10万枚超えもないのですよね。最高の順位が『君のキャトル・ヴァン・ディス』(1990年2月)の19位、枚数では『木蘭の涙』(1993年7月)の8.4万枚が最大と、なんとも地味な実績なのです。それでも長く支持され続けているということは、やはり独自の存在であるとしかいいようがないのです。
さて一般的にスターダスト・レビューの名前が知られるようになったのは、1984年5月発売の5thシングル『夢伝説』でしょう。これが初めてオリコントップ100に入った曲で、最高40位、売上5.3万枚の実績を残しました。これで一定のファンを掴んだのでしょう、その後は地味に安定した成績を残すようになります。その中には『今夜だけきっと』(1986年6月)、『Stay My Blue-君が恋しくて-』(1988年6月)などの名曲もあったのですが、売上はパッとしなかったですね。そしてその『Stay My Blue 君が恋しくて』の次のシングルが、今回取り上げた『Northern Lights-輝く君に-』でした。
「Northern Lights」とはオーロラの意味なのですが、そのタイトルらしく、『Northern Lights-輝く君に-』は透明感あふれる美しい楽曲になっています。もちろんそこには、ボーカル根本要の美声があってこそなのですが、それも含めてスタレビの良さがあふれ出たスタレビらしい作品で、私は大好きです。
《さよならCity Lights 僕の背中に都市の灯りがにじんでる》
と自分が暮らす夜の都会を後にして、
《海岸沿いの君が住む街 夜明けまでにはたどりつけるさ》
と、都会から離れた海辺の街へ、別れた恋人に車で会いに行く、その時の思いを歌った歌詞は実にロマンティック。舞台は北欧のどこかの街でしょうか。夜のデートドライブのBGMには最高の一曲ですね。おそらく一度は別れてしまった二人なのでしょうが、
《そうさ君を失って 大切なものが何かわかったんだ》
《あせた写真に 君のアドレス 僕は今まで 失くせなかった》
と忘れられなかった“僕”は、
《時を追い越して 今君を迎えに行くよ》
《あの日の二人に 僕たちは帰って行くよ》
と君の元へ車を走らせるというわけなのです。
まあ、“僕”からみた一方的な思いだけが突っ走っているような感じではあるので、実際に相手の恋人がどう思っているかは分からないのですが、まあその後の物語がどうなるかは置いておいて、オーロラ輝く海辺の街へと愛を取り戻しにハンドルを握っている自分に酔ってしまっているようなところも、実はこの歌を盛り上げている大きな要素なのでしょうね。
セールス的にはオリコン最高38位、売上1.9万枚と目立った成績は残せませんでした。ただ1.9万枚という売上は、スタレビの80年代のシングルとしては『夢伝説』に続く2番目に多い売上なんですよね。そして90年代にはいって、冒頭に記した『木蘭の涙』という名曲が誕生し、スターダスト・レビューの評価はさらに高まっていくことになるのです。
最後に、スターダスト・レビューのシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。
1 Northern Lights ★
2 クレイジー・ラブ
3 木蘭の涙
4 今夜だけきっと ★
5 君のすべてが悲しい
6 瞳の中の天国
7 Stay My Blue ★
8 会えないよ
9 夢伝説 ★
10 Be My Lady ★
★=80年代発売