80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.269

 

EQUALロマンス  CoCo

作詞 及川眠子

作曲 山口美央子

編曲 中村哲

発売 19899

 

 

 

80年代の最後に滑り込んだ女の子5人組アイドルのデビュー曲は、90年代以降のグループ型アイドル主流時代へ移行していくまさに起点となった一曲

 

 1980年代のアーティストを取り上げているこの企画の中に、滑り込みで19899月『EQUALロマンス』でデビューし、ぎりぎりのところで対象アーティストとなったのが5人組女性アイドルCoCoでした。1990年代以降女性アイドルもソロ歌手からグループ型が主流になっていくのですが、このCoCoと、同じ1989年の12月にデビューした3人組ribbonが、まさにその起点となっていったのです。

 

女性アイドルに先駆けて、男性アイドルは1980年代中盤頃、中村繁之あたりを最後にソロのアイドルはほぼ消滅し、グループ型へ既に移行していました。一方の女性アイドルは、1985年におニャン子クラブという、後のAKB48や乃木坂46などの大人数アイドルの原型となる形が登場はしていましたが、おニャン子クラブ自体は2年で消滅。1980年代の後半においても、主流はまだソロのアイドルでした。南野陽子、浅香唯、中山美穂、工藤静香、酒井法子らに加え、二人組でWinkらがチャートを賑わしていたそんな中、1990年代に向けてデビューしたのがCoCoでありribbonであったのです。そして実際に1990年代に入ると、ソロの女性アイドルという存在は極端に減っていったのですから、今から思い返した時に、アイドル界においてそれは大きな転換点となったのは間違いないでしょう。

 

さてそんなCoCoですが、女の子5人組のグループとしてデビューしました。5人いれば、誰か好きなタイプの女の子がいるでしょうというところで、リスクを回避するために組ませたというところはあるでしょうね。ジャニーズのグループが違ったタイプの美少年を3人集めて成功していたのを、女性でも取り入れたということです。今の時代は何10人ものメンバーで構成されたグループが主流になっていますが、当時は前述のおニャン子クラブがあったぐらい。それもおニャン子はテレビ番組の企画ユニット的なところもありましたので、それを除くと、5人組という女の子のグループは結構多いほうだったのですよね。実はCoCoもテレビ番組の企画からのデビュー。「パラダイスGoGo!!」という番組の「乙女塾」というアイドルを養成する企画出身ということで、その意味でおニャン子の血筋を継承しているようなところは多少ありました。

 

デビュー曲『EQUALロマンス』は恋の始まりを歌ったミディアムテンポの爽やかな楽曲です。作詞にWinkでおなじみの及川眠子、作曲には高井麻巳子や渡辺満里奈などの作曲を手掛けた山口美央子を起用ということで、なるほどその狙い通りのアイドルの女の子らしいほのぼのと優しい雰囲気に仕上がっています。良くいえば王道、否定した感じでいえば無難な歌、まあ、あまり印象に残らないようなところはありましたが、何色にも染まっていない感は十分に出せていました。オリコン最高は7位、売上11.9万枚と、女性アイドルが下降期に入りかけていた中では、かなり健闘したといえる結果でした。

 

その後1992年までの約3年半の間、出すシングルはどれもトップ10入りするなど、安定した人気を獲得し、中でも『夏の友達』(19905)『ささやかな誘惑』(19909)Live Version(19911)Newsな未来』(19914)4曲連続でオリコン3位を獲得。このあたりがピークになるのでしょうね。その後はメンバーの脱退を経て1994年に解散し、しばらくはそれぞれタレントとしてソロで活動などもしていましたが、現在芸能界で活動を続けているのは、三浦理恵子一人になっています。