80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.232
男は道化師さ 嶋大輔
作詞 嵐ヨシユキ
作曲 鈴木キサブロー
編曲 アキ&イサオ
発売 1983年4月
なんといっても女性の名前を連発する独特の歌詞がインバクト絶大、初めて銀蠅メンバー以外の作曲家を起用した嶋大輔5枚目のシングル
嶋大輔は横浜銀蝿一家の弟分として1982年2月『Sexy気分の夜だから』でデビューし、いきなりオリコン最高7位、売上16.2万枚とヒットをとばし、そして1982年4月発売の『男の勲章』がオリコン3位、売上37.7万枚の大ヒットとなったのです。この『男の勲章』は嶋大輔の代表曲になっただけでなく、嶋大輔が選挙に出ようとしたり、引退したり、復帰したり、ライザップしたりしているうちに、曲が独り歩きをして、その後も現在に至るまで、いろいろなところで使われる、時代を超えた曲となったのですよね。もちろん、当時はそんな「偉大な」曲になるとは思いもしませんでしたが…。
さてその勢いに乗った嶋大輔は3rdシングル『暗闇をぶっとばせ』(1982年8月)でついにオリコン1位を達成(28.0万枚)、4th『お前だけI Love You』(1982年11月)もオリコン最高4位(13.3万枚)と4発連続でトップ10入りを果たし、ここまでが歌手としてのピークとなったわけです。そんな中でリリースした5thシングルが『男は道化師さ』です。この曲、作詞こそは横浜銀蝿の嵐が担当しましたが、作曲は初めて銀蠅のメンバーがはずれ、鈴木キサブローが務めました。デビュー曲だけが翔で、『男は勲章』『暗闇をぶっとばせ』『お前だけI Love You』と3曲はJohnnyが作曲していましたが、Johnnyの作るメロディアスな曲が、嶋大輔のヒットに大きく貢献したことは間違いないところ。そこを離れたというのは、ひとつのチャレンジだったといえるかもしれません。
ただこの『男は道化師さ』は、曲よりも歌詞のインパクトが大きい曲なのです。いわゆる(と私が勝手に言っているだけなのですが)「三大 女性の名前連発ソング」のうちの一曲であるのです。ちなみに残りの2曲は中島みゆき『あの娘』、ゴールデンボンバー『ローラの傷だらけ』です。前の二曲とゴールデンボンバーとは時代が離れていますので、登場する女性の名前も時代が表れているところが面白いですね。
『男は道化師さ』…かずよ まさえ さちこ あゆみ みちる ゆうこ
『あの娘』… ゆうこ あいこ りょうこ けいこ まちこ かずみ ひろこ まゆみ
『ローラは傷だらけ』 … みさき はるか まなみ みほ めぐみ あやか なつみ ローラ
さすがにゴールデンボンバーには「子」がつく名前は登場しません。
歌詞の内容としては、過去の恋愛を
《ひとつのドラマに 幕をおろすとき いつも主役は 女の方さ 男はピエロさ》
と自虐的に振り返りながら、愛した女性たちに改めて別れと感謝を告げているという、また未練たらたらのたわいもない内容です。ただこの歌を聴いた人が、自分だったり身近な人の名前が、この歌で歌われている名前と同じだったりすると、歌詞の内容と重ねてしまいがちということはありますよね。私自身、この曲が発売されたのは高校生になったばかりの頃でしたが、歌詞にある「まさえ」ちゃんときくと、中学時代の同級生の可愛かくて少し憧れていた子を思い浮かべたりしてしまいましたからね…
そんなこんなで嶋大輔については『男は道化師さ』をとりあげてみましたが、セールス的にはオリコン18位、7.3万枚でおわっています。本当は『男の勲章』や『お前だけI Love You』についても語りたいことはあって、実は私、初めていいますが、嶋大輔の曲が好きだったのです。