80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.229

 

スキップ・ビート  KUWATA BAND

作詞 桑田佳祐

作曲 桑田佳祐

編曲 KUWATA BAND

発売 19867

 

 

 

桑田佳祐特有のエロ系言葉遊びのセンスが爆発、本体休業中に好きなことを楽しんでいる感満載の一曲

 

 本体サザンオールスターズがお休み中に、桑田佳祐が中心になって、別のメンバーを集めてもうひとつバンドを作っちゃえといって結成し、ほぼ1年間限定で活動したバンドがKUWATA BANDです。リーダー的存在の名前をバンドの名前に付けてしまえという、完全にワンマンバンドですということを主張しているネーミングが、いかにも桑田佳祐らしいです。ほかには甲斐バンド、大野克夫バンドぐらいでしょうかね、この手のネーミングは。まあ、自信の表れなんでしようね。

 

 さてそのKUWATA BANDの最初のシングルがBAN BAN BAN(19864)。さすが桑田佳祐だけあって、形は変えてもきちんとヒットを残しまして、オリコン最高3位、売上45.1万枚の実績を残します。そしてその3か月後、2枚同時発売のシングルとしてリリースされたのが『スキップ・ビート』でした。ちなみに同時に出したもう1枚のシングルはMERRY X'MAS IN SUMMERで、エロ満載遊び心満載の『スキップ・ビート』に対して、メロディアスな正統派ラブソング『MERRY X'MAS IN SUMMER』ということで、対照的な2曲を、同時発売でぶつけてきたわけです。結果『スキップ・ビート』が最高1位、売上35.5万枚で、『MERRY X'MAS IN SUMMER』が最高3位、売上31.5万枚となり、両者の売上争いは『スキップ・ビート』に軍配が上がりました。

 

 この対照的な2枚の同時発売というのは、サザンオールスターズでもたまにやっていて、1992718日の『シュラバ・ラ・バンバ』『涙のキッス』2曲同時、そして1993721日発売の『エロティカ・セブン』『素敵なバーディー』2曲同時というのがあります。いずれも正統派ラブソングとエロ系のテンポが激しい曲の組み合わせということで、KUWATA BANDのときとまさに同じような組み合わせなのですよね。ある意味KUWATA BANDでの2曲同時発売の成功を見て、本体サザンオールスターズの戦略にも生かしたということかもしれません。

 

 さて『スキップ・ビート』ですが、当時話題になったのは、やはりサビの歌詞です。

《腰をからめ すんげエ Skipped Beat, Skipped Beat, Skipped Beat, Skipped Beat

のところが要するに《スケベェ スケベェ》に聴こえるわけです。この手の言葉遊びというものは、よく桑田佳祐が使う手で、他の楽曲にも時折みられるテクニックなのですが、こと『スキップ・ビート』に関しては、曲のタイトル自体を遊びにかけているわけで、かなりストレート。それ以外の歌詞の部分にも、エロ的な要素が含まれていて、桑田佳祐お得意の堂々とした卑猥系ソングになっていたわけです。

 

 その後KUWATA BAND198611ONE DAYをリリースして、そのプロジェクトを終了します。以後は、サザンオールスターズ以外らも。ソロ桑田佳祐だったり、SUPER CHIMPSNZEEだったり、Mr.Childrenと組んだりと、様々に形を変えながら、その才能をいかんなく発揮し続けているわけです。