80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.214
Lucky Chanceをもう一度 C-C-B
作詞 松本隆
作曲 筒美京平
編曲 船山基紀、C-C-B
発売 1985年8月
カラフルなヘアカラーとドラムのハイトーンボーカルが、松本隆&筒美京平の黄金コンビの楽曲にはまった、ちょっとコミカルな恋愛進行ソング
アイドル性を持ったバンドとして、チェッカーズの対抗勢力的に台頭してきたC-C-B。1985年1月に発売した『Romanticが止まらない』がドラマ「毎度おさわがせします」の主題歌に起用されたのをきっかけに大ヒットし、以後出す曲出す曲シングルチャートのトップ10に送り込むことになります。今回とりあげるのは『Romanticが止まらない』の次の次のシングル『Lucky Chanceをもう一度』です。作詞松本隆、作曲筒美京平の組み合わせは、『Romanticが止まらない』以降ラストソングまで続き、メンバーが作詞を行った『信じていれば』(1988年10月)以外はすべて松本隆作詞であり、メンバーが作曲を行った『不自然な君が好き』(1986年8月)、『原色したいね』(1987年9月)、『恋文(ラブレター)』(1988年4月)、前述の『信じていれば』の4曲以外は筒美京平作曲ですので、まさに松本隆と筒美京平の両巨匠が作り上げたバンドといっても間違いではないでしょう。
そんなC-C-Bの特徴といえば、カラフルな色を施した斬新的なヘアカラーと、曲やパートによってメインボーカルが変わっていく演奏スタイルでしょう。特にサビなどでは、ドラムである笠浩二がハイトーンボイスでリードボーカルをとることが多く、かなり印象的でありました。この『Lucky Chanceをもう一度』は大ヒット曲『Romanticが止まらない』と同様に、笠浩二のハイトーンボイスを生かした似た流れの作品であり、セールス的にもC-C-Bのシングルの中で3番目に多い21.7万枚(最高3位)を売上げました。ちなみに1位は『Romanticが止まらない』の51.7万枚(最高2位)、2位は『空想Kiss』(1985年11月)の25.7万枚(最高3位)です。
そんな『Lucky Chanceをもう一度』ですが、まずイントロがいいですね。『Romanticが止まらない』のイントロは有名で、力の入った秀逸なイントロであることは間違いないですが、この『Lucky Chanceをもう一度』も負けていません。イントロからC-C-Bらしい電子的な音を使いつつ、ややコミカルな雰囲気を出していて、楽曲自体が今作はコミカルな作品なんだよというのを、まずは前奏でアピール。愛しいあの娘の部屋を薔薇の花をもって訪ねた男の子は、甘い雰囲気を作り出すことにも成功。あと一息でキスに進めるぞというところで、運悪く《電話のBell》の邪魔が入るわけです。それもライバルの男からのデートの誘いらしい。ここの部分の掛け合いが面白くて、歌い手となる主人公の叫びに、どこからか別の声が聞こえてきて《あいつはNo No No》《二枚目禁止》。あまりにもの間の悪さに《ついてないどうすりゃいいのさLady 幸運を祈るよ最後のLucky》ともはや次の展開は神頼み運頼みと、なげやりになってしまうと、そんな運の悪い男の恋路を描いているわけです。
これは2コーラス目も同じ展開で、今度はムード満点の夜の渚の車の中、男がなにやら愛しきあの娘の耳元で囁いたところで、今度はポリスマンが邪魔するのですよね。《君たちNo No No》《恋愛禁止》と、もはや泣くに泣けない状態。情熱的な恋心を歌った『Romanticが止まらない』、学生時代のせつない恋を振り返った『スクール・ガール』(1985年4月)に続いて、ちょっと冴えないちぐはぐな恋愛を『Lucky Chanceをもう一度』で歌うことで、また新しいバンドとしての魅力を出すことができたのではないでしょうか。
この後は前述のように、C-C-Bはヒット曲を連発、1986年12月発売『ないものねだりの I Want You』で唯一のオリコン1位を獲得後、1989年に解散したのでした。
最後に、C-C-Bのシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。
1 Lucky Chanceをもう一度 ★
2 スクール・ガール ★
3 不自然な君が好き ★
4 Romanticが止まらない ★
5 空想Kiss ★
6 ないものねだりのI Want You ★
7 抱きしめたい ★
8 元気なブロークン・ハート ★
9 2 Much,I Love U. ★
10 恋文(ラブレター) ★
★=80年代発売