80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.204

 

LONELY BUTTERFLY  レベッカ

作詞 NOKKO

作曲 土橋安騎夫

編曲 レベッカ

発売 198610

 

 

 

ブレイク後のテンポのよい一連のロックチューン群から一転、せつない歌詞とメロディで聴かせる一曲

 

 1984年4月『ウェラム・ボートクラブ』でシングルデビューしたレベッカは、4枚目シングル『フレンズ』(198510)でブレイクと、一躍人気バンドの仲間入りを果たします。紅一点NOKKOのキャラクター性と個性あふれる魅力的ボーカルに、作曲土橋安騎夫の音楽性が見事にはまり、出す曲出す曲がチャート上位を賑わすようになっていました。レベッカの曲の多くは、「今どき」の若い女の子のリアルな恋や日常を描いて、それが女性を中心に共感を呼ぶ歌詞に仕上がっていましたが、そこにキャッチーなメロディーと新しさを感じる音が重なり、それをNOKKOのキャラクター性の強いボーカルによって、他のバンドにはまねのできない独自の世界を作り出していたのです。そんな感じで、マイナー調であってもテンポの良い元気な曲で、それがレベッカのバンドとしてのイメージになりかけている頃、それまでとは雰囲気を変えたしっとりと歌い上げる『LONELY BUTTERFLY』をシングル曲としてリリースしてきたのです。アルバムなどではバラード系の曲は歌っていたのですが、シングルとして新しい一面も見せていきたいと、ちょっと色合いを変えてきた印象は受けました。

 

 で、この曲、私は大好きなんですよね。元気なNOKKOももちろんいいのですが、しっとりと切なげな雰囲気で聴かせるNOKKOもまた魅力的なのです。このあたりはNOKKOのボーカルとしての表現力がものすごく生かされていたのではないでしょうか。歌詞は別れの場面を描いていて、それも夜明けに、まだ眠っている恋人を起こさないように部屋を出ていく女性の想いが綴られています。

 

別れを決意した女性は《眠っているあなたのほほに 息をひそめてキスをしたわ》というわけで、歌の中ではよく描かれるシチュエーションです。《ごめんね あたし勝手すぎたの こんなあなた疲れさせて》《やさしい腕も 今はつらいだけ もうこれ以上 ウソもつけない》《わがままでケンカするたび いつもあなたは 言ってたわ 君はまるで 自由なちょうちょさ 信じるなんてできないよ》このあたりに別れの理由が表れています。本人が自覚しているわがまま、自分勝手さゆえに恋人の男性を振り回し、たびたび喧嘩をする状態に疲れてしまったのでしょう。サビで繰り返される《愛がすべてを 変えてくれたら 迷わずにいれたのに》に彼女の気持ちがすべて込められている、そんな風に感じられました。それと同時に「自由なちょうちょ」こそが、『LONELY BUTTERFLY』だけに限らず、すべてのレベッカの歌で描かれた女性の姿を象徴するような言葉に思えるのです。曲調こそ違えど、やはりこの『LONELY BUTTERFLY』もレベッカらしい、NOKKOらしい一曲だといって間違いではないでしょう。

 

『LONELY BUTTERFLY』はオリコン最高6位、売上11.8万枚と、前作『MOTOR DRIVE』(1986年6月)3位・13.7万枚、前々作『RASPBERRY DREAM』(19865)421.8万枚と比べると、若干実績も落ち込み、このあたりは多くの人がレベッカに期待するものと、多少のギャップがあったのかもしれません。しかしその後も1991年の解散まで、バンドブームで活気づく音楽界の中心的存在としてヒット曲を送り続け、時代を駆け抜けていったのでした。

 

最後に、レベッカのシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。

1 LONELY BUTTERFLY 

2 MOON 

3 MOTOR DRIVE 

4 フレンズ 

5 ラズベリー・ドリーム 

6 One More Kiss 

7 RASPBERRY DREAM 

8 ラブイズCash  

9 CHEAP HIPPIES 

10 LITTLE ROCK 

=80年代発売