80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.203
リトル・デイト ribbon
作詞 三浦徳子
作曲 後藤次利
編曲 後藤次利
発売 1989年12月
80年代最後の月、女性アイドルのグループ化の流れを受けた、後の大女優を含む3人組のデビュー曲
1990年代に入ると、女性アイドルは一旦冬の時代を迎えたあと、グループ・アイドル隆盛の時代を迎え、一方でソロのアイドルにとっては苦難の時代を迎えます。80年代の終盤は、まさにソロの女性アイドルたちが輝いた最後の時代ではありますが、一方でグループ化への流れの兆候が明確に見え始めてきた時代でもあります。大人数のおニャン子クラブが解散した後、デュオのWink、5人組のCoCoなどがチャートを賑わすようになる中、3人組のribbonが80年代の最後の最後にデビューしてきました。
ribbonはCoCoと同じ、テレビ番組『パラダイスGoGo!!』内のタレント養成塾「乙女塾」のメンバーで構成されています。メンバーは永作博美、松野有里巳、佐藤愛子。当時から圧倒的に目立っていたのが永作博美で、彼女を売り出すために、残りの2人は集められたなんて、個人的には当時感じていました。お二人とそのファンだった方、すみません、という感じですね。
さてribbonの3人組ですが、90年代になるとアイドルらしい佳曲を発表していくことになるものの、今シリーズは80年代縛りなので、必然的にデビュー曲『リトル・デイト』を取り上げることになります。その『リトル・デイト』は、まだ方向性が定まっていない新人アイドルグループらしい、良くも悪くも無難な曲といえるでしょう。タイトルはアイドルの曲によく使われがちな二つのカタカナの単語を組み合わせ、こういってはなんですが、平凡な印象。作詞の三浦徳子も作曲の後藤次利も、新人アイドル御用達。ソロ歌手であれば、キャラクターも考慮してもう少し狙いを絞った展開もできるのでしょうが、三人三様の女の子グループということで、まずは無理はせずというところなのでしょうね。発売も冬の真っ只中に突入する12月ということで、明るいポップな曲でいくよりは、マイナー調でテンポのある歌でまずはいってみよう!だったと、勝手に想像するわけです。
歌詞も曲調に合わせて、冒頭に《ステンカラーのコート 私に巻きつけた 風邪をひくよといって》と冬を感じさせるフレーズでスタート。そのあとは、好きな人とデートをしているのに、どこか戸惑いを覚えて踏み込めない女の子の気持ちを歌っているのですが、このあたりが夏のデートじゃなくて、冬のデートというところなのでしょうかね。ウキウキ感はまったくありません。そしてなんといってもポイントは歌詞に使われた《リボン》の言葉。歌詞の注文に《リボン》を入れてほしいということがあったのか、或いは三浦徳子が気を利かして歌詞に入れてきたのか、いずれにしてもデビューの名刺代わりの曲ということだったのでしょう。
セールス的にはオリコン最高10位とデビュー曲からトップ10入り。そのあと4枚目のシングルまでトップ10入りを果たしていきます。2枚目『そばにいるね』(1990年4月) はアイドルらしい明るくポップな曲、3枚目『あのコによろしく』(1990年7月)はさらにはじけた夏の曲、 4枚目『Virgin Snow』(1990年11月)は一転してしっとりした大人っぽい冬の曲と、雰囲気を変えながらも季節感のある佳曲を立て続けにリリース。ただ5枚目以降は、売上枚数的には横ばいながら、トップ10には届かなくなってしまい、このあたりライバルのCoCoと比べると、やや弱く感じてしまう部分かもしれません。やはり永作博美一人に頼った人気では限界があったのでしょう。ただribbonの楽曲は5枚目以降も季節感を意識した作品が多く、そのあたりはスタッフのこだわりを感じる部分でもありました。
そしてその後の永作博美の女優としての活躍は、いまさら説明をするまでもありません。