80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.197

 

Zokkon命  シブがき隊

作詞 森雪之丞

作曲 水谷龍緒

編曲 水谷龍緒

発売 19835

 

 

 

イントロのヘリコプターの轟音がめちゃくちゃカッコいい、その後の「一見遊び人+真剣愛+欲情」路線の原型を作った5thシングル

 

 「2年B組仙八先生」で人気を呼んだジャニーズ3人が組んでデビューしたシブがき隊。スーパーアイドルのたのきんと、一流のダンスパフォーマンスで魅了した少年隊の間に挟まれて、人気もそこそこ、パフォーマンスもそこそこ、そんな立ち位置のジャニーズアイドルがシブがき隊でした。ですからシブがき隊の歌う曲は正統派のアイドルソングというよりは、印象的なコピーや言葉遊びを前面に出したコミカルな路線の曲が多かったように思います。

 

デビュー曲『NAI・NAI16(19825)、続く100%…SOかもね』(19827)、さらに『ZIGZAG17(198210)のシブがき数字3部作(勝手に名付けました)では、まさにタイトルで引き付けておいて、そのタイトルで使われた言葉をサビで《NAI NAI NAI 恋じゃない》《かもね かもね 恋かもね》《ジェラシーはZIGZAGラブレター》と繰り返す、とにかく言葉の印象で勝負といった曲で、ヒットに結び付けてきました。極めつけは4th『処女的衝撃!』(19832)で、これで「バージンショック」と読ませるわけですね。このあたりから少しエロの要素も入れ込んでくるわけですが、その次に出したのが今回取り上げた『Zokkon命』です。

 

この『Zokkon命』を私は大好きで、もうイントロのヘリコプターの轟音に始まり、テンポが次第に速まっていくチャラリラチャラリラチャラリラチャラリラ、ドッド・・、ドッド・・、ドッド・・がとにかくカッコいいのですよね。もちろんシブがき隊らしい言葉のインパクトは「Zokkon(ゾッコン)」というフレーズで継続されていますし、それに加えてこの曲あたりから、一見強引な遊び人、でもお前のことを最大に愛しているという劇愛・熱情的な歌詞が目立つようになっています。さらには一方で欲情的な要素も込めて、シブがき隊も次の段階に入ってきたなというのが、この『Zokkon命』からだったのではないでしょうか。

 

 《あの娘いわゆるつまみぐいさ ノリで仲間にゃそう言ったけど》《遊び上手と噂された》と遊び人のモテ男を装いながらも、実は《おまえが命 危険を覚悟で 愛した命燃えるぜ》《最高じゃん 地球で一番 オッとっと イカしたお前を 離せない 離さない 最上級の惚れ方さ》と真剣な愛をアピール。その一方で《夜の渚で 星を数えて ムリに奪う 砂まみれのキス》《感動じゃん 激しく抱きたい》と強引で抑えられない欲情があふれ出ていて、これによって「遊び人+真剣愛+欲情」というシブがき隊の新しいフォーマットが完成したのではないかと、私は考えるわけです。

 

 ちなみにこのフォーマットに基づいたその後の代表曲としては

『Hey!Bep-pin』(19838)

   遊び人《ライバルたちをかわし Dai Kon Ranのディスコから おまえを海にさらう》

   真剣愛《熱いぜ しゃくだぜ 火花が散るほど 激しいこの恋 歴史に残るさ》

   欲情《おまえはいつか胸のボタンを 自分ではずすさ》

『挑発∞』(198310)  

遊び人《ワルならば飽きるほどヤリ尽くした俺でも》

真剣愛《生命が消えてもこの愛は 続くぜおまえに捧げるぜ》

欲情《もう迷わないぜ 抱いてやる》

『喝!』(19843)  ※シブがき隊唯一の1位獲得曲

   遊び人《汚れ知らぬおまえ 真心もてあそんで サヨナラしたね》

   真剣愛《男胸の純情 抱いて抱いて抱いて おまえのこと今も想い続けてるよ》

   欲情《濡れた水着の下に 白い夏の影が 目にしみたよ》

『アッパレ!フジヤマ』(19847)

   遊び人《アソビ馴れた俺も絶句》

   真剣愛《お嫁さんに Come on! Come on! Come om!

   欲情《粋だねそのビキニ 男心そそる 恥じらう腰つきが たまらないのさ》

などがあり、まさにシブがき隊の歌には、エロと激愛はつきものになっていったわけです。

 

そんな意味からも、『処女的衝撃』から出始めた新路線の芽を完成させた『Zokkon命』は、シブがき隊を語る上では絶対にはずせない曲だと、強く思うわけです。

 

もっとも、この路線を最後まで貫いたわけではありません。それ以上にシブがき隊をシブがき隊たらしめていた要素は、やはり言葉のインパクト、言葉遊びということになるのでしょう。上記で挙げた曲はいずれも独特の言葉を使ったタイトルがつけられていますし、『男意ッ気』(19851)『スシ食いねェ!(19862)あたりのダジャレのような遊びまくりの歌詞は、シブがき隊にしか歌えない曲だったといえるではないでしょうか。

 

最後に、シブがき隊のシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。

1 Zokkon命 

2 DJ My Life 

3 挑発∞ 

4 Hey! Bep-pin 

5 処女的衝撃 

6 アッパレ!フジヤマ 

7 Gジャンブルース   ※両A面扱い

8 恋するような友情を  

9 月光淑女! 

10 喝! 

=80年代発売