80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.195

 

ロンリー・ハート  クリエ-ション

作詞 大津あきら

作曲 竹田和夫

編曲 クリエーション

発売 19814

 

 

 

テレビドラマ主題歌への起用をきっかけに、売れない長い時期を経てようやく生まれたバンドとしての唯一のヒット曲

 

 クリエイションのスタートはかなり古く、1969年には「ブルース・クリエイション」というバンド名で、アルバムデビューを果たしています。その後1972年に「クリエイション」と名前を変えて、その後はメンバーの入れ替わりがあったり、「クリエーション」になったりとマイナーチェンジを繰り返していたのですが、シングルのヒットには恵まれませんでした。

 

 そんなクリエーションに突然やってきたヒット曲が『ロンリー・ハート』でした。この当時のボーカルはアイ高野。グループサウンズの「ザ・カーナビーツ」や「ザ・ゴールデン・カップス」で活躍していましたが、絞り出すようなハスキー裏声ボイスがやはり特徴でしょう。『ロンリー・ハート』がヒットしたのは、テレビドラマ『プロハンター』の主題歌に採用されたことが大きくて、私自身それまでクリエーションというバンドのことはまったく知りませんでした。ところがある時突然のように、テレビの音楽ランキング番組に登場してきたので、まさになんじゃこりゃ状態でした。ドラマの存在もその主題歌に採用されていたことも知らず、また新しいバントが出てきたのかぐらいの感覚でしたが、それにしては年を食っているなと思ったものです。

 

 結果としてオリコン最高8位、売上37.7万枚となかなかのヒットになり、クリエーションとして最初で最後のヒット曲になったわけです。クリエーションのシングルの中でオリコントップ100に登場したのは2曲のみ。『ロンリー・ハート』以前、19782月発売の『スピニング・トー・ホールド』39位になったのがもう一曲のトップ100シングルであり、そういった意味で『ロンリー・ハート』は待ちに待ったヒット曲ではなかったでしょうか。

 

 作曲はバンドの中心メンバーの竹田和夫、作詞は数多くのヒット曲を生み出した大津あきら。この曲は都会の夜の中で所在なさげにふわふわと浮遊している男心を歌った、抽象的な歌詞で、曲のターゲットとしては、若者というよりはアダルトを狙った感じはしますね。当時中学生の私にとっては、この曲がなぜ売れているのか、あまりピンとこなかったのも仕方ないところだとは思います。なにせ女性を呼びかける言葉が《Lady マダム》ですからね、アイドル歌手やチャラチャラしたロックバンドが《Baby》とか《Girl》とか歌うのに慣れている身にとっては、やはりどこか別の存在という印象にはつながりました。

 

 結局、この『ロンリー・ハート』がヒットチャートから消えてしまった後は、一度もクリエーションというバンドが歌う姿を見かけたことはありません。典型的な一発屋の売れ方をしているのですが、一発屋というカテゴリーのアーティストを挙げてみろといわれても、なかなか名前が出てくることもない、忘れ去られた存在のバンド。この時代に30万枚以上の売上を上げながらも、なかなか思い出されないバンド。そういえばカラオケで歌っているのも聴いたことはないですね。今考えても、よくこの曲がこれだけ売れたなという感は、やっぱり拭い去ることができないのですよね。不思議な存在です。