80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.194

 

もう君の名前も呼べない  内海和子

作詞 秋元康

作曲 国安わたる

編曲 松任谷正隆

発売 19875

 

 

 

やや遅かったソロデビューで割を食ったちょっと地味目なおニャン子ちゃんの、せつな爽やかメロディーが心地よい3rdシングル

 

 おニャン子クラブの結成当初からメンバーとして「夕やけニャンニャン」に出演し、仲間たちがソロで、ユニットで、次々にデビューしていくのを横目に見ながら、ようやく自分にデビューの順番が回ってきたのが198611月で、デビュー曲は『蒼いメモリーズ』でした。当時のおニャン子は、グループであっても、ソロであっても、とにかく出すシングルはすべて初登場1位という状況が続いていたのですが、内海和子がデビューした頃は、そろそろ陰りが見え始めていた時。福永恵規『ハートのIgnition』など初登場1位をとれないシングルもちらほら出て来ている時期に、ようやくデビューとなったのです。

 

そのあたりの遅れたハンディは少なからずあったでしょう、『蒼いメモリーズ』はオリコン最高3位と、1位を獲得できなかったのです。決して派手な存在ではなかったですが、ルックス的には正統派の美人という感じで、前述の福永恵規、吉沢秋絵、演歌の城之内早苗らがソロデビュー曲で1位を獲得する中で、1位を獲得できなかったというのは、少々不憫な気もします。半年早くデビューしていたら、1位は取れていたのではないでしょうか。まあ、アイドルとしては「和子」という名前も地味だったかもしれませんね。関係ないか…。

 

さらに2ndシングル20歳』(19872)になると、オリコン最高位15位とトップ10にも入らず、解散間近のおニャン子凋落の煽りを完全に食らってしまったような結果になってしまいます。そしてその3か月に出した3rdシングルが、今回取り上げる『もう君の名前も呼べない』です。結局内海和子がリリースしたシングルは4枚でしたが、オリコンに登場したのはこの『もう君の名前も呼べない』が最後で、順位は18位が最高でした。でもこの歌、切なさと爽やかさが入り混じったようなメロディーはなかなか素敵で、前2曲よりもこっちの方がずっと良かったように思います。

 

作詞は秋元(今となっては)御大ですが、作曲は当時シンガーソングライターとして注目されていた国安わたる。ただむしろ自身の曲よりは、作曲家としての中森明菜『ジプシー・クイーン』、南野陽子『はいからさんが通る』の方が有名ではありますね。さらに編曲は松任谷正隆が担当するなど、それまでのおニャン子たちの曲とはちょっと違う取り組みをしてみたような印象で、決してもう売れないから適当に、という片付け仕事のような感じではなかったのではないでしょうか。歌詞自体はよく秋元康が使う男目線の詩になっていて、今からすると“いかにも感はあるのですが、付き合っている中で二人の関係が少しずつ変わっていった切なさを歌った詩がこのメロディーにはまっていて、この辺りはさすがという感じはします。ただ如何せん、遅すぎました。

 

このあと内海和子はヌード写真集なんかも出したりと、どうしても不憫な印象をぬぐえないところがありましたね。ただ近年、娘さんとの話をネタに、バラエティ番組に出演する姿を拝見して、そんな不幸せではなさそうだぞと、なぜかしらほっとした次第であります。