80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.187

 

夏女ソニア  もんたよしのりwith大橋純子

作詞 阿久悠

作曲 芳野藤丸

編曲 佐藤準

発売 19834

 

 

 

ボーカルに迫力のある男女の異色デュエットによる夏の化粧品キャンペーンソング

 

 1980年代前半、異色の男女デュエットによる夏歌が何曲かヒットしています。石川優子とチャゲの『ふたりの愛ランド』、研ナオコと田原俊彦の『夏ざかりほの字組』、そしてこの大橋純子ともんたよしのりの組み合わせによる『夏女ソニア』です。どれも一回限りの企画シングルでしたが、夏の歌というのが共通していました。

 

 『夏女ソニア』が発売された1983年の二人の状況についてみてみると、大橋純子は198111月に発売された『シルエット・ロマンス』が翌1982年になってヒットし大活躍となり、その次の手を打っていこうというまさにそんな感じでしょうか。一方のもんたよしのりは、もんた&ブラザーズとして198110月発売の『デザイアー』がヒットした後、そろそろ次のヒットが欲しいというところで、話題性も併せて、このデュエット企画になったのではないかと、勝手に想像しております。さらにこのデュエット企画は、コーセー’83夏のキャンペーンCMソングにも起用され、しかも作詞は阿久悠ということで、かなり力の入った企画になったことがうかがわれ、結果としてオリコン最高16位、売上15.9万枚と、まずまずのヒットとなりました。

 

 ちなみに作曲は芳野藤丸。自らもレコードを出していましたが、作曲家としても活躍していて、他の提供曲としては、岩崎良美『赤と黒』『涼風』『あなた色のマノン』が主だったところでしょうか。さらに編曲としては沢田知可子『会いたい』がありますね。ただそれよりもなによりも、化粧品キャンペーン前提の企画だったでしょうから、いろいろ制限はあったことでしょうが、なんといってもこの曲は、ふたりの迫力あるボーカルが一番の売りと言って問題ないでしょう。もんたよしのり独特の超ハスキーなシャウトと、伸びのある声で圧倒的な歌唱力を誇る大橋純子、そのふたりによる掛け合いは、他のデュエットソングとは一線を画す“聴かせるデュエットソングだったのです。

 

 映像としては、日焼けした水着美女が優雅に泳いでいるような、そんないかにも夏の化粧品キャンペーンといったものだったと思いますが、そこにふたりの声で♪夏女~ソ~ニア~とど迫力の歌が流れるもので、まさに炎天下のギラギラの真夏といった感じでしたよね。石川優子&チャゲは爽やかなリゾート、田原俊彦と研ナオコが夏のアバンチュールといった雰囲気に対し、何も考えたくなくなるほどの暑い夏で挑んできた、そんな印象を抱かせる『夏女ソニア』だったのです。まあ、歌詞なんて「夏女ソニア」のコピーをもとに、化粧品のイメージに合うように作られているだけなので、とにかく何度もいうようにふたりのボーカルに尽きるということです!

 

 ただ大橋純子、もんたよしのりともにこの後はヒットに恵まれなくなり、今振り返ってみれば、流行歌主としては最後のひと花を咲かせたという、そんな位置づけの曲になってしまいました。