80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.185

 

シンデレラ・サマー  石川優子

作詞 石川優子

作曲 石川優子

編曲 淡野保昌

発売 19813

 

 

 

透き通った歌声と爽やかなスマイルが夏の海のイメージにぴったりはまった、石川優子待望のヒット曲

 

 19793『沈丁花』でデビューした石川優子は、3枚目のシングル『クリスタル・モーニング』(197911)が、自身も出演する興和コルゲントローチのCMに起用され、その透明感ある歌声とともに、笑顔で歌うキュートなルックスが評判になり、知名度をあげることになりました。『クリスタル・モーニング』は初めてのオリコントップ100となる最高62位を記録しました。しかしそこではブレイクまでには至らず、そして待望のヒット曲となったのが、7枚目のシングル『シンデレラ・サマー』だったのです。この曲はJAL!81沖縄キャンペーンソングに起用され、夏の間テレビで流れていたこともあり、多くの人に耳に届くことになりました。結果としてオリコン最高10位とトップ10入りを果たし、33.1万枚をうりあげることになったのです。テレビのランキング番組にも登場することで、顔も知られるようになり、さらに1984年のチャゲとのデュエット曲『ふたりの愛ランド』のヒットにもつながるなど、石川優子にとっては人生を変える一曲となったことでしょう。

 

 『シンデレラ・サマー』は沖縄のキャンペーンソングに相応しく、実に夏らしくウキウキするようなポップなラブ・ソングに仕上がっていて、それが彼女自身のイメージにもぴったりはまったのでしょう。爽やかな笑顔と透き通った「クリスタル」なボイスが、夏の海にもよく似合うのですよね。石川優子はこの『シンデレラ・サマー』がヒットする前も、なぜか私の住んでいた静岡県で人気があって、地元放送局のラジオのベストテン番組の上位にも、たびたび入ってきたような記憶があります。ですから、『シンデレラ・サマー』はオリコンの10位どころか、確かトップ3に連続して何週も入ってくるような人ことになったはずです。

 

 歌詞は石川優子自身によるものですが、とにかく夏、夏、夏と、CM曲としてのオーダーにストレートに応えたような内容になっています。《南の島》《マリンブルーの微風》《太陽の光》《渚の少年》《灼けた肌》《小さなボート》《夏のシンデレラ》《エメラルドに染められて》《潮にゆらめく魚》《白い珊瑚》…と夏のワードのオンパレード。この奇をてらってない素直な感じが、また石川優子のスマイルどおりだったのですよね。当時のミュージシャンというと、アイドルとは違って、どこかクールなイメージを纏う人たちが多かった中で、いつもニコニコとアイドルのように笑顔で歌う姿は、逆に新鮮に映ったのかもしれません。

 

 ただソロ歌手としてのヒット曲は『シンデレラ・サマー』が唯一であり、他に10万枚を超えたり、オリコンのトップ20にランキングされるようなヒットは、残念ながら生まれませんでした。彼女自身にも魅力の感じられる女性歌手だっただけに、この点は少し残念です。ただ前述のように、このあとチャゲとの夏のデュエット曲でまた大ヒットを生むことになるわけで、その2曲のヒット曲がともに夏ど真ん中のラブソングであったことを考えると、石川優子は夏との相性が抜群だったということなのでしょうね。