80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.183

 

悲しい気持ち  桑田佳祐

作詞 桑田佳祐

作曲 桑田佳祐

編曲 桑田佳祐、藤井丈司、小林武史

発売 198710

 

 

 

ソロ桑田佳祐としての最初のシングル曲、バンドから離れて歌いたかったのがまさにJust a man in love

 

 桑田佳祐の母体であるサザンオールスターズは1978年のデビュー以後、活動と休業を繰り返しながら、現在に至るまで第一線で活躍し続けているわけですが、その休業期間を中心に、桑田佳祐は母体とは違った形態で、またいろいろな活動をしてきています。KUWATA BANDだったり、SUPER CHIMPANZEEだったり、Mr.Childrenと組んだりと、いろいろやっている中で、ソロ名義のシングルも何枚かリリースしてきているわけです。その最初が1987年の『悲しい気持ち』でした。

 

 当時サザンオールスターズは休業中、その間1986年に活動したKUWATA BANDでは4枚のシングルを発売し、ひとまず活動を終了。そして今度は桑田佳祐ソロでの活動ということで、いったいどんな曲を投入してくるのか、非常に注目されている状況でした。サザンと同じことをしても意味がないですし、KUWATABANDでもいろいろな変化球を投げてみて、それぞれヒットにも繋がりました。ではソロでは?ということになりますよね。バンドのボーカル担当がソロ名義で別シングルを出すとき、バンドでの楽曲とどう差別化していくかということが結構難しくて、どうしてもバンドでやっても同じじゃないかということにはなりやすいものです。1980年代後半ですと、藤井郁弥、玉置浩二あたりがバンドと並行してソロシングルを出していますし、それ以前だとタケカワユキヒデ、甲斐よしひろ、以後だと前田亘輝、河村隆一などが挑戦。この中で最も成功したのは河村隆一で、彼の場合はバンドでの楽曲との棲み分けが分かりやすかったです。

 

 結果に対して自分だけで責任を負えば言い分、何かメッセージ性の強い作品でくるのか、或いはシングルにしにくいような難しい曲を出してくるのか、と思ったところでリリースされたのが、奇をてらわないストレートなラブソングだったのです。ラブソングとはいいましても、愛を語りかける相手は、別れてしまった相手。その別れた恋人に対し、別れても消えない愛を、離れた場所から歌いかけている、そんな曲が『悲しい気持ち』だったのです。堅苦しいメッセージはない、誰もが簡単に口ずさむことができるメロディー、そしてサビで繰り返される《Just a man in love》というわけなのです。これぞ桑田佳祐、そう思ったファンも多かったのでしないでしょうか。

 

 『悲しい気持ち』はオリコンチャートでは最高2位、売上34.9万枚というヒットとなり、母体は休業中でもさすが桑田佳祐というところをみせつけたわけです。この期間、翌19883月に2枚目のシングル『いつか何処かで』を発売し、一旦ソロ活動は休止になり、母体の活動に戻っていきます。ただし1990年以降も期間を置きながら、ソロシングルでもさらにヒットを放っていくことになるわけですから、まさにおそるべし桑田佳祐なのです。