80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.182

 

黄昏を待たずに  チャゲ&飛鳥

作詞 飛鳥涼

作曲 飛鳥涼

編曲 飛鳥涼、THE ALPHA、瀬尾一美

発売 19865

 

 

 

フォーク路線からキャッチーな売れ線狙いのロック路線へ、その転換期を象徴する、奇麗なメロディーが印象的な一曲

 

 19798月に『ひとり咲き』でデビューした男性デュオのチャゲ&飛鳥。のちにCHAGE&ASKAと表記を変えて、メガヒットを連発することになるのですが、デビュー当時は奇麗なハーモニーとギターで聴かせるフォーク路線の曲を歌っていました。その頃の代表的な曲が、3枚目のシングル『万里の河』(19809)であり、この曲はオリコン最高6位、売上53.7万枚の大ヒットとなり、チャゲ&飛鳥の名前も一気に日本全国に広まったのです。

 

しかしその後はしばらくヒットには恵まれず、そのせいかどうか次第にフォーク路線から離れていき、そうですね『標的(ターゲット)(198410)の前後ぐらいからでしょうか、次第に音もいで立ちもあか抜けて派手な感じになっていきます。そんな中、久しぶりにヒットとなったのが、19862月発売のキャッチーなロック調の14thシングル『モーニングムーン』でした。この曲はオリコン最高11位ながら、売上16.1万枚と『万里の河』以来の10万枚超えを果たし、テレビのランキング番組にも登場するなど、チャゲ&飛鳥復活を印象づけたのです。

 

このヒットに味を占めたのか、或いは勝負時とにらんだのか、この後1986年にはさらに3曲のシングルを投入していくのですが、いずれも『モーニングムーン』路線を継いだような、激しめの曲調の、サビのメロディーがキャッチーなロック・チューンでした。素人目には、どの曲もヒットを狙った、いわゆる売れ線狙いの曲に感じられたのですが、その中でもとりわけ私が気に入ったのが15thシングル『黄昏を待たずに』というわけなのです。

 

この『黄昏を待たずに』はさほど売れたわけではありません。オリコン最高17位、売上4.5万枚と、前作で復活を遂げた勢いほどには伸びていません。でも明らかに聴き心地のいい曲を作りに来たその狙いは、私にはきちんと届いたのです。デビュー当時からの飛鳥特有の美しいメロディラインに、前作で味を得たロック調のリズムが重なり、私個人的には好みのど真ん中。歌詞の方もドライブデート中の恋人同士を歌ったもので、当時流行りの都会的なシティ・ポップ路線を意識したのでしょうか。このころになると、『万里の河』や『男と女』の頃とは、だいぶ趣が変わってきていて、トレンドをかなり取り入れるようになってきています。それはこのあともさらに加速していくことになるのですが、飛鳥涼として他のアーティストへの曲の提供もこのころから増えてきていて、そういった影響ももしかしたらあったのでしょうか。『黄昏を待たずに』はチャゲ&飛鳥としては決して個性的な作品ではないですが、どうやったら曲が売れるのか、そんな試行錯誤の中で、後の礎になった部分もあるのではと、勝手にそう思っています。

 

 前述のようにこの1986年はこの後COUNT DOWN(19868)『指環が泣いた』(198611)と似た傾向の作品で、似た売上実績の結果を残していくのですが、翌1987年からはSAILOR MAN(19874)『恋人はワイン色』(19888)といったゆったり目の包容力のある曲、『Trip』(198810)『WALK』(19893)といったちょっと実験的な難しい曲調を経て、1990年代に入り、いよいよ大きく跳ねていくことになるわけです。

 

最後に、チャゲ&飛鳥(CHAGE&ASKA)のシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。

1 黄昏を待たずに 

2 指環が泣いた 

3 モーニングムーン 

4 僕はこの瞳で嘘をつく

5 万里の河 

6 マリオネット 

7 めぐり逢い

8 YAH YAH YAH

9  SAILOR MAN 

10 恋人はワイン色 

=80年代発売