80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.177
ミラクル・ガール 永井真理子
作詞 亜伊林
作曲 藤井宏一
編曲 根岸貴幸
発売 1989年10月
ボーイッシュで元気なお姉さんが80年代の最後に間に合った、最初のヒット曲
永井真理子は1987年7月『oh、ムーンライト』でデビュー、4枚目のシングル『ロンリイザウルス』でオリコン最高60位と、初めてトップ100に登場すると、少しずつファンを獲得していきます。7枚目『Ready Steady Go!』(1989年4月)では最高16位と、いよいよトップ20以内に入ってきて、9枚目『ミラクル・ガール』でとうとうトップ10入りを果たしました。オリコン最高9位、売上17.7万枚とはじめてのヒット曲になり、90年代に入ってからのヒット曲連発への足掛かりとなったわけです。
『ミラクル・ガール』は夢がかなう前に挫折しそうな「君」に対し元気づける応援ソングです。当時の永井真理子はボーイッシュな雰囲気の元気なお姉さんという印象が強く、女性の色気だとか可愛さを売りにするというよりは、中性的な魅力で女性を中心に支持をつかんでいたところがあって、そういう意味では実に永井真理子らしい楽曲だったと思います。実際、それまでのシングル曲も夢持つ人への応援ソングだったり、自分を鼓舞する歌だったり、そんな曲ばかり。恋愛ソングがそれまでにほとんどないというのも、いわゆる流行歌歌手としてはかなり珍しい存在だったかもしれません。
作詞は亜伊林、というのは実は三浦徳子のことで、ヒット曲を多数書いてきた大作詞家なのですが、永井真理子には亜伊林の名義をなぜか使っています。三浦徳子は『ベストセラー・サマー』の回で代表曲にも触れていますが、とにかく多くの歌手に様々な歌詞を提供していますね。作曲の藤井宏一はシンガー・ソング・ライター兼作曲家というような方ですが、目立ったヒット曲は同じ永井真理子の『ZUTTO』(1990年10月)があるぐらいなので、永井真理子と縁があったのでしょう。
こういった応援歌の歌詞って、歌っている人が同じならば、言ってしまえばどの歌も大差ないっていうのが、私個人的な感想でした、ですから当時永井真理子というアーティストに対しては、あまり惹かれるところがなかったというのが正直な思いでした。しかも前述のように女性を売りにしないような感じもあったので、なんか面白みがない印象はあったのですね。もっというと、どうしてこんなに売れてきたのだろうとさえ思っていたわけです。
ところが『ミラクル・ガール』のヒットを皮切りに、次から次へとヒットチャートのトップ10にヒット曲を送り込んでくることになるのですから、私の見る目がなかったということですね。『ZUTTO』ではついにといいますか、満を持して投入した恋愛ソングということで、これがオリコン最高2位、売上54.6万枚の自身最大のヒットになってしまうわけです。そんなこんなで永井真理子は、結果として計8曲のトップ10入りを果たして、名実とも人気アーティストとして名前を残したのでした。…ただ個人的には、永井真理子も永井真理子の歌う曲も、あまり好きではなかったですね。