80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.155
-3℃ ゆうゆ
作詞 及川眠子
作曲 後藤次利
編曲 佐藤準
発売 1987年7月
移り気なボーイフレンドへの「ぷんぷん」感満載、ゆうゆの控えめなコミカル館が最も上手に表現されたセカンドシングル
高井麻巳子と組んだうしろゆびさされ組では、続けざまにヒットを飛ばし、何度もオリコン1位を獲得していたゆうゆ。うしろゆびさされ組の活動を終えて、1987年3月に『天使のボディーガード』でようやくソロデビューしましたが、おニャン子クラブとしてのピークを少し過ぎ、解散間近な時期であったこともあり、デビュー曲はオリコン2位にとどまりました。ユニット活動を優先したことで、ソロデビューをするには、やや遅くなってしまったのかもしれません。結局ソロでは1位を取ることができませんでした。
本名の岩井由紀子でなく、ゆうゆという愛称名義でソロシングルを出したことにも、彼女のキャラクターが表れているように思いますが、彼女は正統派のおニャン子アイドルというよりも、どこかユーモラスでコミカルな味わいのある妹キャラという感じでした。うしろゆびさされ組では、高井麻巳子とのキャラクター性の対照の妙も、その人気の要因の一つでしたが、かといって自ら進んで前へどんどん出ていくというタイプでもなく、出過ぎず引っ込み過ぎず的な塩梅は、ファンにはちょうど良かったのかもしれません。
今回取り上げるセカンドシングル『-3℃』は、そんなゆうゆのちょっと控えめな妹感と、コミカルな味わいがうまく生かされた作品になっていて、ゆうゆのシングルの中では一番ゆうゆらしさが現れたものになっていたのではないかと思います。作詞はWinkの多くの楽曲でおなじみの及川眠子。1stシングル『天使のボディーガード』、3rdシングル『25セントの満月』(1987年10月)、4th『ついて行けない-がんばれボーイフレンド-』(1988年1月)と秋元康の作詞曲に挟まれての起用となりましたが、6th『サヨナラ志願』でも再度起用されています。
歌詞はというと、どうも彼が自分以外の女の子にも興味津々な様子に気が気でない様子が、女の子らしい表現で歌われたものになっています。《一度目なら 知らないふりしてあげる》《肩に置いた手 チョッピリつねるのよ》と、横目でポニーテールの女の子を追う彼に気づかぬふりをしながら、控えめに怒りを表すのですが、《二度目とくりゃ そろそろ釘をさしましょ》《あなたこっちを向いた瞬間に 愛の平手をお見舞い》とびんたをとばしてしまいます。それでもって《限界だわ マイナスこれが3度目》ときて、どんな仕打ちをするのかと思いきや《プイと隠れる バスのボディーの陰に》《困るあなたをいじめてあげたい》とトーンダウン。このあたりの女の子の心理が意地らしいし、ゆうゆだとどこか想像できてしまうところで、彼女にはぴったりの曲だななんて思ったりもしたわけです、ちなみに作曲はおニャン子御用達の後藤次利ですが、曲も楽しくて歌詞に合っていますね。
そんなこんなで『―3℃』はデビュー曲と同じオリコン2位を獲得しましたが、3rdシングル以降はおニャン子クラブが解散したあとにリリースされたシングルとなったことで、勢いも急速に低下。トップ10入りを維持できたのは4枚目までで下降の一途。クイズ番組などで活躍もしましたが、徐々に芸能活動自体も減っていきますが、その後結婚してお母さんにもなったとのことです。