80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.150

 

青空  THE BLUE HEARTS

作詞 真島正利

作曲 真島正利

発売 19896

 

 

 

心の中の秘めたる叫びを淡々と切々と歌い上げるブルーハーツのバラードの名曲

 

 『リンダ・リンダ・リンダ』19875月にメジャーデビューしたTHE BLUE HEARTS、通称ブルハ。デビュー曲『リンダ・リンダ・リンダ』はブルハの代表曲として今でも歌い継がれていますが、実際の当時のセールスとしてはオリコン38位と目立ったものではありませんでした。ただ一部の熱狂的なファンの支持を得ていたことには違いなく、当時所属していた大学のサークルの2年先輩のハシナカさんも、そんなブルハの熱狂的なファンの一人でした。たぴだび♪リンダ リンダ リンダ と口ずさむのを聴かされた私は、自然にブルハの存在を知ることとなりました。もっともその時点ではブルハの良さはわからず、タテノリのパンクロック系の音楽に対して拒絶感もあって、ブルハのどこがいいのか、あまりピンと来ていませんでした。

 

 その後19892月に発売したTRAIN-TRAINテレビドラマの主題歌に起用されたことで、ブルハの存在が一般にも広がり、とうとうオリコントップ10入りの最高5位、売上26.4万枚のヒットとなったのです。こりによりブルハは一部の熱狂的ファンのものから大衆的な人気バンドへと、その存在感を増していったのでした。そんな1989年にリリースされたのが『青空』でした。

 

 この『青空』は私自身初めてブルハの曲を聴いて「いいな」と思った曲でもあります。時折曲の中に社会に対して痛烈な皮肉や批判を織り込んでくることのあるブルハですが、この曲もそんな世界で起きている哀しい出来事に対しての思うことを歌詞に込めた作品になっています。《ブラウン管の向う側 カッコつけた騎兵隊が インディアンを撃ち殺した ピカピカに光った銃で 出来れば僕のゆううつを 撃ち殺してくれればよかったのに》《神様にワイロを贈り 天国へのパスポートをねだるなんて 本気なのか?》《生まれた所や 皮膚や目の色で いったいこの僕の何がわかるというのだろう》…戦争、貧富の差、人種差別など世の中に対する様々な憂いに対して、自分はいったい何ができるのだろうか、そんなやるせなさ、無力感のようなものがこの歌詞から伝わってきます。しかしそんな自分の上にも、そして戦争をしている世界のどこかの上にも、青い空が広がっている…読み手によって受け取り方は様々かもしれませんが、味わいのある歌詞だと思いませんか?詩も曲も、ブルハの中では私は一番好きな曲です。その後さまざまなアーティテストによってカバーもされていて、発売当時よりもあとになってじわじわと人気を呼んだ曲だといえるかもしれません。

 

 その後ブルハとしては、翌19907月発売の『情熱の薔薇』がオリコン1位、売上51.1万枚というバンドとして最大のヒットを生み出しますが、これが最後のトップ10入りの曲にもなります。それでも199210月発売『夢』が最高14位ながら、18.1万枚の売上を残し、『TRAIN-TRAIN』『情熱の薔薇』に続く、3枚目の10万枚越えのシングルとなり、以前バンドとしての存在感を示していましたが、惜しまれながら1995年に解散に至りました。ただブルハの魂は、ザ・ハイロウズ、ザ・クロマニヨンズなどその後も形態を変えながらも、甲本ヒロト、真島正利によって引き継がれて、現在まで至っています。