80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.133
Sunday Sunshine RED WARRIORS
作詞 木暮武彦
作曲 木暮武彦
編曲 RED WARRIORS
発売 1989年7月
ご存知ダイヤモンド☆ユカイが所属、セールス以上にカリスマ性を持ったバンドの最高売上シングル
RED WORRIORSというと、今ではDIAMOND☆YUKAIの所属していたバンドという感覚の方が強いかもしれません。以前はかなりとがっていたDIAMOND☆YUKAIこと田所豊氏ですが、すっかりまるくなって、いいお父さんになってしまいました。しかし当時からするとこんな未来はとっても想像できないような、カリスマ性を備えたバンドだったのです。1980年代の終盤は、イカ天などに象徴されるバンドブームの真っただ中でありましたが、その中でもRED WORRIORSは他のバンドたちとは一線を画すような存在感のある、本格的ロックバンドだったのです。そしてそのブームの最中の1989年に解散してしまった(その後再結成)ということも、またその印象を強くしているのかもしれません。
しかしながら、彼らの音楽が一般的にどの程度まで浸透していたのかというと、名前は知っていても曲は知らないとか、存在自体がよく分からないとか、そんな人たちも多かったはずです。知っている人にはとっては注目すべき偉大な存在、しかしテレビの音楽番組ぐらいしか観ないひとにとっては、なじみの薄い存在、そんな感じだったでしょう。このタイプのバンドは、アルバムとかライブが活動の主軸にはなるのですが、そうはいってもシングルのセールスというのも、一般への浸透度という点では、ひとつの指標にはなってきます。そういう点では、必ずしもRED WORRIORSは成功を収めたバンドではありません。オリコンチャートでの順位は『STILL OF THE NIGHT』(1988年11月)の14位が最高。トップ20入りしたシングルはそれを入れて3曲のみ。あと2曲は『欲望のドア』(1989年5月)の17位と、今回とりあげた『Sunday Sunshine』の19位です。そして売上枚数でいうと『Sunday Sunshine』の3.3万枚が最大なので、いわゆるヒット曲という点では恵まれなかったのは事実です。
この『Sunday Sunshine』は解散前最後のシングルということで、今までの活動を振り返りながら、休みに入っていく心境を表現したような、緩やかでかつ壮大な詩曲になっています。冒頭で《Oh,Sunday溢れる光と安らぎに満ちた天使の唇が Sunshine 救ってくれたのさ 日曜日の太陽が》と、休日の安らぎが昨日までの苦しみを癒してくれたような心の平穏を表現。《Yesterday 熱くはりつめた灰色の雲を見上げては 泣き出しそうな週末に願うだけの一日》と昨日までの沈んだ心の内を綴った後で、《全ては昔話さ 今は休日の陽差しと 焼けつく程遠いKissの雨の中》ということで、まさにその休日に入ろうとする当時の状況が重なってくるのです。聴けば聴くほど味のある良い曲ですが、一般に向けて媚びを売るようなあからさまな売れ線を狙ってくるようなところはなく、そのあたりが一部に熱狂的な支持を得ていた理由なのかもしれません。
ただその後は再結成と休みを繰り返し、この時の解散は一体なんだったのだと思ったりすることもあるでしょうが、バンドにはよくあること。当時としては、やはりこの『Sunday Sunshine』に歌われていたような「休日」が、彼らには必要だったということなのでしょう。