80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.102
I Don‘t Know! BaBe
作詞 森雪之丞
作曲 中崎英也
編曲 中崎英也、杉山卓夫
発売 1987年5月
デビュー曲に続き2曲続けてのトップ10入りを果たした、元気印の女の子デュオによる元気ソング
BaBeは近藤智子と二階堂ゆかりのふたり組の女性デュオ。Winkの回で触れましたが、ピンクレディー以降なかなか女性アイドルデュオの成功が生まれなかった中、1985年のうしろゆびさされ組(母体があるので純粋なデュオではないですが…)、1987年のBaBe、1988年のWinkとぼちぼち市場に出回り始めた(?)頃に登場した二人組です。ただ「アイドルデュオ」とは言いましたが、ルックスやキャラクターの可愛らしさとかよりも、どちらかというとボーカルとダンスを売りにしようというところが大きかったのではないでしょうか。こういっては失礼かもしれませんが、二人とも特別ルックスが可愛かったとか美人だっとかいうことはなく、むしろ普通の女の子という印象でした。ですから、BaBeについては、メンバー個々の魅力で人気を集めるというよりも、二人のボーカルとダンスと楽曲の一体感、そこに当時女性のデュオの活躍が限定的だっといい新鮮さと、元気できびきびしたイメージが加算されて、支持をされたということではないでしょうか。そして、それだからこそ、売れる楽曲、出来の良い楽曲というものが必須だったのです。
デビュー曲は1987年2月発売の『Give Me Up』。当時、海外のユーロビート曲をカバーするのが、一種の良好であったことは、たびたび触れてきましたが、この『Give Me Up』は、その流れのど真ん中を行くものでした。マイケル・フォーチュナティの同名の曲をいきなりデビュー曲にぶつけてきたわけで、ある意味無難な選曲といえるのと同時に、BaBeとして進みたい方向性を示す選曲でもあったのではないでしょうか。さらにこの曲は、斉藤由貴主演のドラマ「あまえないでョ!」の主題歌として起用されたことが大きく、当時無名の新人ながら、オリコン最高8位、12.7万枚の売上を残したのです。この結果はデビュー曲としては、大成功といっていいでしょう。その勢いがあるうちに、さらにステップアップを狙ってリリースしたのが、この『I Don‘t Know!』だったのです。
2枚目シングルの『I Don‘t Know!』はオリジナルで勝負ということで、作詞を森雪之丞、作曲を中崎英也と、ヒット曲提供の実績を多く持つ二人によってつくられています。作曲の中崎英也については、すでに中村雅俊の回で触れていますので割愛しますが、森雪之丞も当時の売れっ子作詞家の一人として、たくさんの作品を送り出しています。主な曲を挙げると、シブがき隊『NAI ・NAI 16』『100%…SOかもね』、小泉今日子(あんみつ姫)『クライマックスご一緒に』、浅香唯『C-Girl』『Melody』、斉藤由貴『白い炎』『悲しみよこんにちは』、風見慎吾『僕笑っちゃいます』、あおい輝彦『Hi-Hi-Hi』、酒井法子『GUANBARE』、中原めいこ『君たちキウイ・パパイア・マンゴーだね。』、氷室京介『SLEEPLESS NIGHT 〜眠れない夜のために〜』、布袋寅泰『POISON』『スリル』、ももいろクローバーZ『『Z』の誓い』とアイドルからロックの大御所まで(氷室と布袋、両方に提供しているとは!)、幅広い作品を残しているのがわかります。さらには『アナウンサーぷっつん物語』という話題のテレビドラマの主題歌というタイアップを得て準備万端!さあどうだ! と、これが前作以上に売れたのです。もちろんテレビドラマの主題歌というタイアップは、原題に比べて当時は影響力が強かったのは確かですが、それ以上にやはり楽曲が多くの人に気に入られたというのが大きいのではないでしょうか。楽曲の勝利でしょう。
キャッチーで覚えやすいメロディー、前に向って踏み出すために背中を押してくれるような歌詞、そして元気はつらつできびきびと歌うBaBeのふたりの姿が見事にマッチして、オリコン最高5位、売上14.3万枚という実績を残したのです。結果としてこれは、BaBeとして最大のヒット曲、そしてふたりの代表曲になったのでした。その後も『Somebody Loves You』(1987年7月)、『Hold Me!』(1987年10月)、『TONIGHT!』(1988年1月)、『Get a Chance!』(1988年5月)と、びっくりマークが多いことはさておいて、デビュー曲から6曲連続で、オリコントップ10入りを果たしたのです。この結果は、はっきりいって、上出来といっていいでしょう。個人的なおすすめはラストシングル『She has a dream』(1989年3月)。辛いレッスンやアルバイトに明け暮れながらも夢を追いかける毎日描く、まさに二人のデビュー前の日々を綴ったような歌詞になっています。勢いのあるうちに出していたら… 悔やまれるほどの佳曲です。