80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.31
I’M GETTIN’ BLUE ZIGGY
作詞 森繁樹一
作曲 森繁樹一
編曲 ZIGGY、佐藤宣彦
発売 1988年5月 再1989年11月
派手な外見・ハードな音・迫力ある歌唱に対するメロディアスな楽曲、そのギャップが魅力のバンドの初期の人気曲
ZIGGYというロックバンドが一般に認知されたのは、1989年に放映されたテレビドラマ『同・級・生』で『GLORIA』が主題歌に起用され、再発売されたときからです。メロディアスで何回も繰り返すサビが印象的で覚えやすい『GLORIA』はみるみるうちに大ヒットし、オリコンのチャートも最高3位にまで昇りつめます。一方でその前兆として、それに先立って発売されていた『ONE NIGHT STAND』(1989年2月発売)が、オリコン12位という結果を残していて、バンドブームに乗って、ZIGGY自体の勢いも上り調子にあったという状況も実はありました。『GLORIA』は実際には前年1988年に発売されていて、ドラマでのタイアップに合わせて改めて再発売という形でリリースしたのですが、この『I’M GETTIN’ BLUE』も、1988年に『GLORIA』と同時に一度発売されていたのです。しかし『GLORIA』が再発売によって大ヒットに繋がったことから、『I’M GETTIN’ BLUE』も『GLORIA』の後に、同じように再度発売したというわけなのです。
この『I’M GETTIN’ BLUE』はおそらく、『GLORIA』で初めてZIGGYに触れた新規のファンを意識して再発売されたのでしょう。『GLORIA』と同じようにメロディラインがきれいで、キャッチーな曲になっています。よくZIGGYの初期の曲には歌謡曲的な要素が入り込んでいるといわれますが、この曲もそんな作品の中の一つといえるでしょう(『GLORIA』に対しては、当初その歌謡曲っぽい要素にメンバーが反発を示したこともあるという話もあります)。曲全体の印象としては、前作『GLORIA』ほどインパクトは強くないものの、出だしの♬《I’M GETTIN’ BLUE 放り出され》 といきなり曲の中に引き込む掴みが見事で、『GLORIA』の路線を期待している新規客を裏切りません。サビの♬《どしゃぶりの雨が 通り過ぎる頃には 捜してた言葉 見つかるかもしれない》も綺麗なメロディです。2番も単純な1番の繰り返しでなく、メロディに変化をつけたりして飽きさせませんし、そこがまたかっこよく聴こえるのです。
このように初期のZIGGYの代表作になっている『I’M GETTIN’ BLUE』ですが、再発売ということもあって、オリコンチャートとしては15位が最高という結果で終わります。当時のドラマ主題歌のタイアップの威力は、今とは比べようがないほどに強力でしたから、『GLORIA』と比較するのは酷な話で、この結果はまずまず再発売の目的は果たせたのではないでしょうか。より認知度が広がった結果、翌1990年に出したアルバム『KOOL KIZZ』はアルバムチャートで1位を獲得することになるのです。
これで順風満帆、前途洋洋となったかと思われたZIGGYでしたが、その1990年の秋に活動停止してしまうのです。人気絶頂のタイミングでしたから、これには驚いたものですが、ロックバントが売れた途端にうまくいかなくなる、或いはちょっと売れなくなったタイミングで問題が起こるというのは、考えてみれば日常茶飯事のこと。ZIGGYもご多分に漏れずということですね。
ただその後1992年に復活、再びヒットチャートを賑わす曲を放ってきます。『STAY GOLD』『Jealousy~ジェラシー~』『君をのせて』『STEP BY STEP』といずれもタイアップがつき、4曲連続のトップ10入り、セールス面ではこのあたりまでが全盛期でしょうね。個人的には『Jealousy~ジェラシー~』が好きで、「カメリアダイヤモンド」のCMが印象に残っています。そういえば、カラオケでも歌いましたね。
さてZIGGYですが、それ以後たびたびメンバー編成を変えながらも、森重樹一を中心に活動を続けています。バンドブームに乗った一時的な活躍でなく、長年に渡り地に足をつけて音楽を続けているということは、実に尊敬に値することだとは思っています。