80年代青春歌謡365アーティスト365曲 vol.3

 

悲しき友情  西城秀樹

作詞 山川啓介

作曲 筒美京平

編曲 水谷公生

発売 19801

 

 

 ヤングマンで絶頂期を迎えた秀樹が、翌年の80年代一発目シングルとして放った、映画のような失恋ソング

 

1970年代と80年代にまたがって歌謡界の第一線で活躍した西城秀樹ですが、80年代の最初のシングルとして発売されたこの曲を選んでみました。

 

西城秀樹の代表曲ってどの曲?と言われて挙がってくるであろう曲はおそらく『激しい恋』『傷だらけのローラ』『ブルースカイブルー』『YOUNG MAN』『ギャランドゥ』あたりになるでしょうか。この『悲しき友情』は『YOUNG MAN』の翌年の発売ということで、秀樹のアーティストパワーの絶頂期が『YOUNG MAN』だとすると、ゆるやかに下降線を下り始めたころの作品です。

 

とにかくこの曲の疾走感がたまりません。最初から最後まで息つく暇もないほど走りに走って走りまくるように熱唱する姿が今でも思い浮かぶのです。作曲が筒美京平御大ですから、きちんと売れ線の曲に仕上げてくるに決まっているわけで、今作は秀樹のかっこ良さを引き出してくれています。さらにいうと、この曲の構成はちょっとトリッキーで、特に後半になるとどう展開するのか予測を裏切るところがまたかっこいいのです。実は秀樹と筒美京平との関わりはそう多くはなくて、シングルではデビュー曲『恋する季節』で関わったあとは、30作目となる『勇気があれば』までありません。そして31作目の『悲しき友情』と連続した後は、再び縁が途切れてしまいます。そういった意味では、この曲は秀樹の曲の中では、やや違った雰囲気を感じます。

 

詩の内容は、親友と一人の女性を奪い合った末に恋に破れ、街を去っていくというまるで映画のようなストーリー仕立て。《幸せにしな あの娘はおまえのもの おれは消えるよ ゲームは終わりさ》といって見上げる部屋の灯り。二つの影が一つになるのを見ているその心情を察するとあまりにせつなくなってきます。《お前と夢を投げ合い走った街 しばらく帰ることもないだろう》と親友とも好きだった娘とも会わずに置手紙だけ残し、青春をともに過ごした街さえ去っていく…。

 

チャート的にはそこそこで、オリコン週間最高が6位というところ。1979年の3曲が『YOUNG MAN1位・『ホップ・ステップ・ジャンプ』2位・『勇気があれば』3位ですから、これと比べるとやや落ち着いたというところでしょうか。1980年は6枚のシングルを出していて、この6位のあとは、『愛の園』7位・『俺たちの時代』6位・『エンドレス・サマー』12位・『サンタマリアの祈り』13位・『眠れぬ夜』10位と、前述のように少しずつ下降していきます。そして1982年の『南十字星』6位、『聖・少女』を最後に、トップ10からは遠ざかっていくわけです。

 

最後に、西城秀樹のシングル曲で好きなベスト10を選んでみました。

1 悲しき友情 

2 セクシー・ガール 

3 君よ抱かれて熱くなれ

4 ブルースカイブルー

5 聖・少女 

6 

7 ラストシーン

8 リトル・ガール 

9 ブーツを脱いで朝食を

10 眠れぬ夜 

=80年代発売