タイトルに狼(ウルフ)がつく映画 ベスト10
1 孤狼の血(シリーズ)
面白かったです。警察やくざの間の微妙なバランスの中での綱渡りの攻防。命を削り、法的に一線を超えながらも、堅気の人間が巻き込まれないようにということを第一に、無用な抗争を阻止しようとするベテラン刑事。その刑事の常軌を逸した行動に、スパイとして送り込まれた大卒の若手刑事の正義感との間での葛藤。やくざ同士の抗争だけでなく、警察内部での護身のための駆け引きや、警察とやくざの間でのギリギリの交渉。緊張感のある中でさまざまなドラマが織り込まれ、見どころの多い作品となっています。そこに作品の中で一つのオアシス的な役割を果たした果たす阿部純子の存在に、安らぎを覚えるのですが、これもラストシーンで裏切られるわけで、そういう意味では仕掛けにも凝った作品になっています。ただ乱暴な抗争が繰り広げられるだけでなく、そこに係る内面も描き出したという意味で、他のやくざ映画と死はまた一味違った作品になっていました。
2 ウルフ・オブ・ウォールストリート
上映時間も含めてボリューム感いっぱいの熱のこもった作品で、作り手、演じ手、そしてベルフォートという人物のエネルギーがビシビシと伝わってきました。特にディカプリオは大熱演で、力がはいっていましたね。オスカーの可能性を取りざたされるのも納得の演技でした。ただ内容の割には、やはりちと長い。観ていて疲れてくるし、早く終わらないかなと思わせるようでは、長さについてももう少し適度と言うものを考えて方が良かったでしょうね。
3 蘇る金狼
松田優作演じる主人公はごくごく平凡なサラリーマン。しかしその内に隠した野望は凄まじく、銀行強盗に麻薬売買、殺人等々に手を染め、それでいて社長令嬢と婚約。しかも別の女も手なづけているという、世の中をしたい放題に生きているのです。それだけ悪さをすれば当然報いを受けることにはなるのですが、そんな犯罪男の死に様までがかっこいいのです。一歩間違うとただただ不快なバイオレンス映画に成り下がってしまうところなのですが、松田優作が演じると違うのですよね。
4 ダンス・ウィズ・ウルブズ
4時間近くの長い時間もそれほど苦にならない、監督兼主演のケヴィン・コスナーの熱い思いを感じる力作です。開拓時代の白人と原住民との闘いと心の交流が、大自然の中の動物たちとともに、繊細に描かれていました。
5 狼よさらば
突然押しかけてきた男たちに妻を殺され娘を傷つけられたビジネスマンが、その復讐の為に街の悪党どもを成敗し、犯罪を減らし続ける。警察も犯行を知りながらも、犯罪を減らすヒーローを市民が喜んでいる事実もあり、なかなか逮捕に踏み切れない葛藤。孤高のヒーローをチャールズ・ブロンソンが哀愁たっぷりに演じていて、なかなか味わいのある作品になっています。
6 さすらいの一匹狼
賞金稼ぎで殺し屋の主人公がクールでかっこいいです。一見悪役に見えるのですが、それに対する相手がさらに悪そうな、いかにも荒くれ者の風貌でしたので、それも納得。最後の対決シーンは、西部劇のお約束ではありますが、眼球に見事に弾丸を命中させるあたりは、やはりヒーローはかっこよく最後は締めるものですね。
7 フォー・ブラザーズ/狼たちの誓い
殺された育ての母親の復讐のために立ち上がった4人の兄弟が、仕組まれた犯罪の黒幕を追って思いを成し遂げるまでを描いたバイオレンス・アクション。ストリートを舞台にした暴力と銃撃戦の男くさい映画ですが、恩義のある人間への思いというものがベースにあっての展開なので、それほど残酷さは感じません。マーク・ウォルバーグガはまり役。展開は多少謎解きも含めながらも、真相に迫っていく過程は飽きずに観られますし、普通に楽しめました。
8 人狼ゲーム
弱弱しかった桜庭ななみが最後の方では意を決したように凛々しくたくましくなっていく様子を見ると、ひとつの成長物語なのかもしれません。知名度からしても、一人カードを明かされることからしても、最後に残るのは映画的にほぼ確定。その中でどう生き残っていくかを見せる展開は、それなりに楽しめました。もう少し理詰めの展開が楽しめるとさらに面白かったかもしれません。
9 L.A.大捜査線 狼たちの街
ややB級テイストのある刑事もので、結局は復讐がさらなる悲劇を呼び込むという悲劇の連鎖。やりきれない思いが最後に残りました。若きタトゥーロやデフォーなどの曲者が存在感を放っています。
10 ネバー・クライ・ウルフ
少し変わったドラマ。一見ネイチャードキュメンタリー調でありながら、実際には演技であるわけで、不思議な感覚。狼の生態を見るために狼の中に入り込む撮影はいったいどう撮ったのだろうか。