同棲カップルの映画 《洋画編》 ベスト10
1 そんな彼なら捨てちゃえば?
豪華キャストが揃った映画を観ましたが、気軽に観られる楽しい作品になっていたと思います。幸せに結ばれたカップル、長い春をようやく乗り越えたカップルもいたかと思えば、すべてを終わらせたカップルもいますし、シリアスで重苦しい雰囲気のエピソードや正統派恋愛映画路線の話もあれば、コミカルで笑えるラブ・コメ路線もありで、とにかく色んな雰囲気や展開の恋愛劇を観ることができ、それだけでも面白かったです。こうした恋愛群像劇は、なかなかうまくまとまらないこともあるのですが、登場人物の連鎖の仕方なども上手で、観ていて次は誰が出てくるか、どのカップルの話なのか、そんなワクワクするような楽しみもあって、バランスよく構成されていたと思います。 さらに豪華なキャストそれぞれの個性も生かされていたのではないでしょうか。
2 ホリデイ
心温まるロマンティック・コメディです。ラブ・コメの場合、登場人物が如何に魅力的に描かれ、共感や憧れを惹きつけることができるかということに、大きな比重がかかってきますが、この作品の場合はキャスティングの段階で、半分は成功したといってもいいのかもしれません。「メリーに首ったけ」「ベストフレンズ・ウェディング」「クリスティーナの好きなこと」等の作品でこのジャンルには慣れているキャメロン・ディアスと、コメディは珍しいケイト・ウィンスレット、2人が主演という時点で興味をそそられます。実際キャメロンは場馴れした演技で、コメディ作品での演技の加減が適度に調整されていました。一方ケイトの方は、やや慣れていない感じの大げさ気味な演技でしたが、それがかえって主人公の不器用さを表現しているようでもあり、組み合わせとしてはなかなか面白かったです。
3 クローサー
大人の恋愛心理ゲーム。時間が時々急に飛んでしまうし、登場人物が4人しかいずに、互いに絡み合っているので、時々分からなくなってしまうのが難点だが、そのアンサンブルが、それぞれが気持ちと行動とのずれを微妙に映し出してスリルが伝わってくる。やはりナタリー・ポートマンの今までには演じたことのなかった大人の役が驚きでもあり、女優として前進していきたいという意気込みも感じられてくる。クライヴ・オーウェンの濃さがジュリア・ロバーツの冷めた感じと対照的で、これもアンサンブルの妙になっている。
4 ブルース・オールマイティ
ジム・キャリーとジェニファー・アニストンの同棲カップル・全体としてはハートウォーミングなコメディといったところですが、キャリーのオーバーアクションは健在。爆笑シーンは唯一アンカーの地位を狙おうと、アンカーに高音でしゃべらせたり、下品な意味不明な言葉を喋らせたりするところ。これは笑えました。しかしそれ以外はかなりまじめな道徳的な物語になっています。結局は愛と助け合いの心が大切なんだよと、さんざん言い古されてきたことを、神様の力を手に入れたものの顛末を通して訴え掛けているわけですね。
5 マンハッタン
モノクロの映像にマンハッタンがマッチしています。内容的にはウディ・アレンらしく優柔不断で情けない男が主人公ながら、最後はラブ・コメディらしいハッピーエンドで、おしゃれ感のある作品になっています。
6 マネー・ピット
よく考えると「こんなうち、元々住めるわけないよ」という感じなのですが、そこは映画。壊れて行く家と若いカップルの関係を軽妙に描いています。普通に、気を使わずに楽しめるコメディです。
7 僕のニューヨークライフ
同棲しながら、愛しているといいながら、セックスの要求にはなんだかんだと言い訳を続け、そのくせまた理由にもならない屁理屈で他の男と寝てしまうクリスティーナ・リッチ演じる女と、ジェイソン・ビッグス演じる主人公の男の奇妙な関係を描くウディ・アレン映画。奇妙な関係はそれだけにとどまらず、女の母親、精神分析医、エージェント、そして公園で時々話をするウディ・アレン演じる変な男、とにかくあらゆる関係が奇天烈な関係で成り立っているなんとも不思議な作品です。当然、出てくるキャラクターは変人ばかり。まったく成り行きが想像できないのですが、最後はこの主人公に「頑張れ!」と言いたい気持ちになる終わり方。アレンが主役でなく脇に回っているところがみそで、あの喋りがあまり好きでない私にとっては、このぐらいが丁度良いのかもしれません。変に理屈っぽくなく、気軽に楽しめる作品ですが、ウディ・アレンのものとしては抜き出た出来ではないです。
8 存在の耐えられない軽さ
妙な三角関係、ともするとフランス映画のように思えてしまう文芸的な恋愛映画ではあります。それもなかなか理解に難しい内容の三角関係ですが、これもひとつの男女の関係なのでしょうかね。ジュリエット・ビノシュの熱演しています。
9 リアル・ブロンド
なんとも情けなく出来の悪い主人公にマシュー・モディーンがぴったりはまっています。その彼をなぜか愛しているキャサリン・キーナー演じる同棲中のメアリーとの関係が不思議。30半ばで定職にも就かず、俳優を目指していますが、くる仕事はビデオの水着姿のエキストラ。どこか哀愁が漂ってきます。全体的に起承転結はなく、いつまでも子供っぽい男たちと温かく見守る女性たちをさりげなく描いている印象です。
10 きのうの夜は
確かにこの時代のデミ・ムーアは可愛かったと改めて認識させられる作品でしたし、ロブ・ロウがその相手役ということで、時代も感じさせられました。話としてはたわいのないラブ・コメですから、あくまでもこの二人ありきということになるのでしょうね。