●萩原みのり 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

萩原みのり 出演映画 ベスト10

 

気づけばいろいろな作品に顔を出している女優さん。

 

1 街の上で

現代の若者たちの生態を描くのが実に上手な今泉監督。この作品も、冒頭の別れがいきなりきたあとしばらくは、特に大きな出来事があるわけでもなく、主人公の冴えない日常を、出会った人々との会話を何気なくつないでいくだけの自然な構成が、妙に心地よかったです。それによってこれがリアルな若者の実態なんだという不思議な説得力のある空気を作り出すのですよね。そして作品中で登場する4人の女性たちのキャスティングと描き方がまた見事です。常に登場してくる人物ではないので、久しぶりにそのキャラクターが登場したときに、一目で思い出すことができるというのは、映画のキャスティングには重要なことだと思います。時折なんとなく似ているタイプの演者がいると、混乱したりすることも珍しくはないのですが、4人だれも外見的にもキャラクター的にもタイプが異なって、しかも魅力的に映っているのですよね。顔と名前の知れた女優さんだったら、それは容易なのですが、その名前に頼らない、キャラクター重視の配役が、見事にはまっていました。セリフのやりとりもまた面白くて、例えば映画監督役の女性が飲み会の席で突然きつい性格が露呈されてびくっとしたり、深夜の女性の部屋で男女二人で長々と繰り広げられる恋バナのシーンだったり、なかなか何気ない感じなのですが、面白いのですよね。圧巻は5人の男女が鉢合わせするシーン。昨日出会ったばかりの女性との関係を、元カノには正直になんでもないと伝えたいし、その女性が嫌がる元カレに対しては、彼氏を装ってあげたいしと、その混乱ぶりは笑いどころでしたね。とにかくいろんな面でツボを押さえた作品になっていて、最初から最後まで楽しむことができました。主人公に学生映画への出演を依頼する女子学生が萩原みのり。

 

2 64 ロクヨン 前編/後編

見応えのある犯罪ドラマでした。犯人、被害者の家族、捜査に当たった者…それぞれが抱えた14年の重さが一気になだれとなってのしかかるような、そんな重みを感じさせられます。一方でメンツを守ろうとする警察組織、そんな警察に不信感を募らせる記者たち、間に入り振り回される広報、それぞれの立場がぶつかり合った感情的なやりとりも緊張感に溢れていました。子供の命を他人に奪われそこで時間が止まったままの父親の無念、同じように娘の行方が分からなくなっている主人公の広報官にとっては、まさに他人事ではなかったのでしょう。自分の思いと被害者の父親の思いが重なり、最後の強行に走ってしまったのも充分に理解が出来ます。豪華キャストが揃い、前編後編合わせて、ひと時も興味がそれることなく、集中して鑑賞することが出来ました。萩原みのりは模倣誘拐事件の被害者役で出演。

 

 

3 37セカンズ

障がい者の自立心と家族をはじめとする周囲との距離感、そんなことを考えさせてくれる素敵な作品です。まずなんといっても脳性麻痺で車いす生活を送る主人公を演じた加山明がとってもチャーミング。けっして美人とかいうわけではないのですが、笑ったときの表情がとても可愛らしく、周りの人がついつい助けたくなるのも納得の魅力なのです。そんな中で心配のあまりに過保護になり、常に目の届くところに置いておきたい母親と、健常者と同じような経験をしようと世界が広がり始め、自立心が強くなっていく娘、それぞれの思いのぶつかり合い。ともに気持ちが理解できるだけに、ちょっと切なくなってしまいます。健常者であったら普通にできることが制限されてしまうやるせなさ。一方で漫画家としての夢も持ち続け、そのために世界を広げようとする行動力は、その方法はともかくとして、一人の女性としても魅力的なのです。渡辺真起子や大東俊介演じる彼女の手助けとなる人々がまた素敵なキャラクターで、家出をした彼女を、生き別れの双子の姉とのタイでの面会にまでこぎつけるのですから、これを呼び込んだのもまた彼女の行動力とキャラクターゆえんでしょう。もし自分の代わりに姉が障がい者になっていたら…もし私が…と自問自答の末、障害が姉でなくて私で良かったという結論に至る心の優しさにも心を打たれました。主人公を漫画のゴーストライターとして使う親友を萩原みのりが演じています。

 

4 アンダードッグ 前編/後編

後編は森山未來と北村匠海の決戦に向けて盛り上がっていくスポーツドラマ王道の展開になっています。前編では二人の辛みはありながらも、直接対決への道筋はまだまだ示されていなかったものの、今作では過去の出会いの日の因縁も明らかになり、二人が運命に導かれるようにごく自然に対決へと進んでいくのです。前編後編合わせるとかなりの時間の作品にはなりますが、少しも緩むことなく一気に見せてしまう力はなかなかのもので、ボクシングの試合のシーンにも実に力がはいっていました。北村匠海の妻を萩原みのりが演じています。

 

5 花束みたいな恋をした

こういった一組の普通のカップルの出会いから別れを描いただけという映画はなかなかないもので、特に大きな出来事が起こるわけでもなく、浮気で修羅場を迎えたり、一方が難病になったり、経済的に大損害を受けたりといったイベントがないのに映画として成立してしまうのですね。でも実はそれが一番リアルで、観る者に一番共感されやすい恋愛ストーリーなのかもしれません。どこかに、自分も似たことがあったとか、こういう恋愛に憧れたとか、琴線に触れる部分が多くなるのでしょう。そういった意味で他の恋愛映画以上に、主演の二人の役割は大きいといえるかもしれません。時間の経過とともに、変わっていく二人の関係性を、その場面場面でリアルに演じなければなりません。その意味では、さすが当代の若手人気俳優ですね。特に別れ話をするファミレスの場面、すっかり関係性が変わってしまった二人の近くに、まだまだ敬語で会話をしている初々しい付き合う前のカップルの会話を聞いた時の二人の涙が、ふたりのすべてを象徴しているように感じました。菅田将暉演じる主人公の今カノ役で萩原みのりは登場。

 

 

6 ステップ

まったくのおふざけも衒いもない、ド直球の父娘ドラマです。シングルファザーとして幼い娘を男で一人で育てる父親の苦労を描いています。仕事もセーブし、保育所に毎日送り迎えに行き、小学校になれば母親のいない母の日の対応を担任に相談され、シングルファザーの抱える悩みがあれこれと描かれています。そんな中亡くなった妻の父母との関係性が続いているということに好感が持てます。妻が亡くなったら終わりというわけではなく、孫を通じてというのはあるにしろ、再婚の相手が見つかりそうなときには背中を教えてくれたりと、実の親子のような関係を築けていることが、この作品の実は肝にもなっています。この主人公、会社の上司にも恵まれているようで、そんな周りの応援があることが、大きな救いだったように思います。最後にナレーションとして触れられていましたが、この先反抗期になった娘さんとの関係がどうなるか、気になるところではありました。

 

 

7 佐々木、イン、マイマイン

仲間内ではいつも裸になって踊り、バカばっかりやってきた同級生佐々木も、家庭環境は厳しく、唯一の家族の父親をもなくしてしまった高校時代。卒業後に会うとパチプロになっているという佐々木。その佐々木から久しぶりに電話がかかってきたかと思ったところ、女の影さえ見えなかった佐々木の死を伝える女性の声。懐かしい学生時代の友人を思いながらも、単なるノスタルジーだけでなく、人生半ばにして咲かせることなく命を終えた友人に対する哀しみがあふれた作品になっています。バカ騒ぎばかりの高校時代が、ただ楽しいだけの思い出でから、何かできることがなかったのか、そんな公開さえ抱かせるような思い出になっていくようで、観ていてせつなかったです。萩原みのりはヒロインを務めています。

 

8 心が叫びたがってるんだ。

アニメ版の感想欄の最初に「実写でもまったく問題ない」と記していたが、まさにその通り、こんなに早く実写版が作られるとは。誰でも考えることは同じなんですね。記憶のまだ残っているだけに、ストーリー展開を知った上でという点では、新鮮味に欠けてしまうのは致し方ないところ。細かいところは多少の違いがあるものの、概ねアニメ版と同じように話が進みます。配役的にも納得感はあります。ほとんど話せない高校生が普通に学校に通うことができる、同じクラスで授業を受けられるということが、実際にはあり得ないと思うのですが、そのあり得ないキャラクターを実写で見せるには、リアリティをどう見せるかで苦労したのではないでしょうか。突然話せるようになったシーンでは、言葉遣いも含めて、人格まで変わってしまったかのような印象さえ受けるなど、観ていて難しさは感じました。ただクラスメートは結局のところみんないい人で、本来ならいじめられて引きこもりになりそうな同級生をあっさりと受け入れてしまうところは、作り物ならではだとは感じました。萩原みのりはチアリーダー部員役。

 

9 昼顔

THE不倫という映画です。当事者にしてみれば、なんで真剣に愛しあっているのに、辛い思いばかりするのかということでしょうが、今作では「される」側の思いというものにも充分ケアされていて、配偶者に逃げられる、逃げられた側の思いが時折爆発することで、どこか不倫を諫めるような視点があって、ある意味ほっとしました。近頃の芸能界の風潮も意識しているのでしょうか、ともすると不倫の恋愛を美しく描く作品もあるのですが、必ずしも肯定的ではないこの作品、衝撃的で不幸な結末にもそれは現れていたのではないでしょうか。はたから見ると、自制できない二人に対しては、いかがなものかと思ってしまうのですが、その立場になってみないと、結局は分からないのでしょうが。上戸彩演じる主人公の同僚役で萩原みのりは出演。

 

 

10 えちてつ物語 わたし、故郷に帰ってきました。

地方鉄道を舞台にした映画が増えていますが、今作は越前鉄道。事故の教訓を生かし、地元の人々に優しく寄り添った、会社の方針というものが、前面に見えた作品となっています。それと同時に、芸人としてうまくいかずに転職した主人公が、アテンダントとして一歩ずつ成長していく様子、さらには血の繋がらない家族とのわだかまりが解けていくきっかけまでを丁寧に描き、予定調和ではありますが、心温まる作品となっています。これを観て、ここで働きたいと思わせるような、そんな映画になったのでしないでしょうか。主人公の同僚の新人アテンダントを演じているのが萩原みのり。