ナオミ・ワッツ 出演映画 ベスト10
メジャーになったのは遅めでしたが、
その後はコンスタントに作品に出続けています。
普通の人を演じられるのが強みですね。
1 マルホランド・ドライブ
解説なしには理解するのが困難な作品であるにも関わらず、強く惹かれる不思議な感覚。みごとにしてやられたという気持ちが強く残る異色映画といっていいでしょう。物語の大部分が妄想で、現実はクライマックスの部分だけ。それでもボリューム感を感じるのは魔術としかいいようがありません。女優を夢見る背景が、演じるナオミ・ワッツとも重なり、そのあたりも作品に少なからず効果を与えていたようにも思いました。
2 ルース・エドガー
模範生徒としての姿、しかしその裏は実際にはとんでもない怪物ではないのか、そんな緊張感の中で、両親や教師の揺れる心理状態が刻一刻として変化していく様子が伝わってきて、なかなかスリリングな展開。人が殺されるどころか、肉体的に傷つけられるわけでもないのですが、サスペンス映画のような緊張感にあふれて面白かったです。小さいころにとんでもない経験をしながらも、米国に来て養子にもらわれ、幸せな家庭の中で、模範的な高校生を演じ続けることへのプレッシャー、そして周囲が期待する模範生徒像から少しはずれた一面をみせただけで、実はとんでもない怪物ではないかと疑心暗鬼になっていく大人。次第に明らかになっていく姿は、周囲の期待に応えようと自覚的に模範生を演じる外面と、理不尽な責めには反発するし、恋人とはセックスもする普通の若者。そんな心理サスペンスを盛り上げるのは、オクタヴィア・スペンサー、ナオミ・ワッツ、ティム・ロスといったベテランキャストの演技です。特に母親役のナオミ・ワッツの息子を信じる信じないの間で揺れる様子が、いつもながらのオーバー気味な表情で、観ている側にも心の内が透けて見えるようでした。
3 21グラム
時間軸を時々わざとずらし、未来の様子をところどころ挟み込む凝ったつなぎ方をしていますが、それほど混乱することなく観られました。終始重い空気が流れる心理ドラマが展開されるのですが、3人の熱演により、飽きさせることなく最後まで物語の行方に引き付けられます。もっとも最後の終わり方は、わざと続きを観ている者に想像させるような形に持って行っていますが、ややすっきりしない物足りなさが残ってしまったのは残念。とはいいつつ3者それぞれが別の形で家族と別れていくのだが、その対比の描き方が興味深い作品でした。夫と娘を失ったヒロインをナオミ・ワッツが演じています。
4 J・エドガー
日本の一般人にとってはあまりなじみのない人物ではありますので、こうして映画で観て初めて知ることが多いです。強引な捜査、権力に物を言わせた言動や部下の選別、気に食わない相手への異常なほどの攻撃性、信頼する部下との愛情に近い異常な関係…ととにかくスキャンダラスな内容にびっくり。ただここまでイーストウッドが描くからには、何か訴えたいところがあるのでしょうが、それがいまひとつ分からない。ただ現在と回想部分とを行き来しながら、見応えのあるドラマにはなっていました。老け役のディカプリオもなかなか。ナオミ・ワッツはエドガーの秘書を演じています。
5 ヴィンセントが教えてくれたこと
ビル・マーレイのどこか気難しい個性を十分に生かした作品になっています。子供の面倒をあまり子供と関わりのなかった大人が面倒を見るという展開は数多あるものなのですが、お母さんが一人で頑張っている姿も伝わるし、少年の健気な姿も好感が持て、最後はしんみりとさせられました。勉強ばかりでなく、いいこと悪いこと含めて、社会とはどういうものなのか、体験させて教えることも、もしかして大切なことなのかもしれません。ナオミ・ワッツが売春婦役で出演。
6 インポッシブル
ナオミ・ワッツ主演作。津波に飲まれながらなんとか逃れようとするシーン、大けがを負いながらなんとか進んでいくシーン、観ていて知らず知らずのうちに力が入ってしまう場面です。実際の場面に可能な限り近づけようとしたリアルな演出には、いろんな思いを抱くこともあるかもしれませんが、作り手の思いの強さは感じることができました。津波に遭遇するという大災害を借りて、家族の絆の強さをクローズアップした映画として、観ている者を惹きこむ力のある映画だったと思います。ただ逆に言えば、一家族をクローズアップしている分、この大災害の全体像というものに踏み込むことが出来なかったのは残念なところですが、直接的な主題ではないところなので仕方ないかもしれません。この一家は結局全員無事でしたし、海外リゾートで休暇を過ごし、米国の仕組みの中でしっかり保険にも入っている、その意味では恵まれたケースとはいえるでしょう。
7 ドリームハウス
「霊に取りつかれた新居に越してきた一家の恐怖の出来事を描いた映画か」と、よくあるパターンの映画と思って観ていたら、突然思わぬ方向へ進みだしでびっくり。この作品は、事前にあまり情報を入れない方がきっと面白く観られるのではないでしょうか。後半、色んな事実が少しずつ明らかになるにつれて、隠された謎が見えてくるということで、よく組み立てられていると思います。見せ方としては、特にトリッキーであるわけではなく、映像的には正攻法。オカルトチックな部分でオチをつけるのではなく、あくまでも一種のミステリー映画として勝負しようとする姿勢に好感が持てました。ナオミ・ワッツは主人公一家のご近所さんですが、事件に巻き込まれていきます。
8 キング・コング
この手の映画にしては良く出来ています。不安に思っていた3時間という長さも、終わってみればそれほど長くも感じることなく、娯楽大作として充分楽しめる内容になっていました。映画は3部構成のような形。序盤は謎の島へ行くまでの人間ドラマを中心に静かな立ち上がり。中盤は森の中での、詐欺詐欺に襲ってくるキング・コングや様々な奇妙奇天烈な恐竜や不気味な生物とのサバイバル合戦。そして終盤は都会にやってきたキング・コングと人間の戦いの中でのナオミ・ワッツ演じる美女との心の通い合いと、分かりやすい構成にすることで、メリハリがついていました。特に中盤の森の中でのサバイバルシーンは「面白い」。助かったかと思えば、また別の不気味で凶暴な生物が現れ、少しずつ仲間を失っていく過程はスリルも味わえて飽きさせません。この手のモンスター映画は、脅かしや不気味さに頼り、ともすると大味・大雑把になりがちだが、元がきちんとした名作であるだけに、意外にも工夫された面白い作品に仕上がっていたと思います。
9 イースタン・プロミス
緊張感あふれるバイオレンス・サスペンス。こうした役はヴィゴ・モーテンセンにうってつけ。表面上冷静に見えながらも、内面に強い意志を持ち、いざという時に鋭い牙をむく男。風呂場でのシーンにそれを感じました。静かな闘志という沈着冷静さがとにかく怖い男というイメージを押し出し、常に張りつめた空気を作り出していました。フルチンでの格闘は凄い!ナオミ・ワッツがヒロインを務めています。
10 フェア・ゲーム
ショーン・ペンとナオミ・ワッツの糸が張りつめたような夫婦間の演技合戦に、観ている方にもピリピリした空気が伝わってくるようでした。実話に基づいているということで、映画的な演出や脚色は最低限にし、リアリティを重視した編集になっていた分、展開が大きく動き出すまではやや単調な印象もありました。しかしながら後半からはぐいぐいと惹きつけられていくように、二人の演技に引きずり込まれました。それとともに、国のために命がけで働いても、ちょっと不都合なことがあればすぐに見捨てられ、国は何も守ってくれない、そんなところを見ていると、いろいろ考えてしまうことも多かったです。
11 ダウン
12 娼婦ベロニカ
13 美しい絵の崩壊
14 ダイアナ
15 愛する人
16 雨の日は会えない、晴れた日は君を想う
17 ザ・リング
18 夫以外の選択肢
19 追憶の森
20 ザ・バンク 堕ちた巨像