●ハビエル・バルデム 出演映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

映画いろいろベスト10 + 似顔絵

まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

ハビエル・バルデム 出演映画 ベスト10

 

先日特集したペネロペ・クルスの旦那様です。

スペイン人特有の濃~い感じが、作品でも生きていますね。

 

1 誰もがそれを知っている

アスガー・ファルハディらしく、窮地に陥った人間の心理描写をスリリングに描いています。ひとつの誘拐事件から明るみにされる事実。しかしその事実というものは、邦題に現れているとおりというわけで、そのことがそもそも誘拐事件を起こしたということです。そしてこの監督の他の作品と同じように、結末も重苦しくすっきりしないもやのようなものを残して、エンドロールを迎えるのです。それぞれが複雑な思いを抱えつつも、迫られた二者択一の選択の中で選んだ結果がこれであり、自分たちの決断の積み重ねが、最悪の事態だけは免れたということなのです。警察を呼ぶか否か、真実を話すか否か、土地を売るか否か、その金を受け入れるか否か、犯行を続けるか否か…それでもそれぞれに何かを失いなが手にしたこの結末。犯行に加担した娘に気づき、そのことを夫に話そうとするシーンで映画は終わっていきますが、果たして別の秘密を抱えたこの夫婦、そしてそのことは「誰もがそれを知っている」ことになるのか否か、続きもまた気になるのでした。奥様ペネロペ・クルスの元カレの役でハビエル・バルデムは出演。

 

 

2 ハモンハモン

限られた人間関係の中で複雑に絡み合うどろどろの恋愛悲劇は、とにかくやるせない。自分の思い通りにさせたいがゆえに、息子の結婚を阻止しようとしたばかりに、息子を死に追いやってしまった浅はかな母親。裏も知らず誘われるままに恋人の母親が送り込んだ別の男にのめり込み、すがる恋人を冷たく突き放した女。いったいだれが悪いのか、とにかく救いようのないラストになんともいえない後味の悪さが残りました。この作品でもペネロペと共演したハビエル・バルデムは闘牛士を夢見る美少年の役。

 

 

3 コラテラル

プロの殺し屋と、たまたま巻き込まれてしまったタクシー運転手。スピード感と緊張感があり、2時間をだれることなく突っ走っていくのはサスペンス映画。トム・完全な悪役を演じたクルーズというのも珍しいです。その殺し屋の雇い主で麻薬組織のボスをハビエル・バルデムが演じています。

 

 

4 それでも恋するバルセロナ

またまたペネロペとの共演作です。これ、うまく邦題をつけたなと思います。男も女もみんな地に足がついていない感じがアレン映画みたいで、「ばかだなぁ」とどこかで馬鹿にしながらも、お気楽に楽しむことが出来ました。特にハビエル・バルデム演じる画家の適当なこと。自分の欲望と都合に合わせて、コロコロと態度を変え、好き放題。男として、ある面羨ましいのですが、修羅場を迎えるのも自業自得といったところでしょうか。それと同等に、女たちの方もまた皆馬鹿ですね。結婚しても気持ちがフラフラ、フラフラ。どこかで理性で抑えようとしながらも、自らの欲望には逆らえないという、いやはや。ほんとに、こいつらどうしようもないのですが、そこが愛らしくもあるわけで。まあ、好きにやってくださいという感じで。それにしてもエキセントリックなペネロペ、怖いですね。

 

 

5 海を飛ぶ夢

尊厳死を巡る一人の四肢障害者(ハビエル・バルデム)と廻りの人物たちの葛藤と人生観を描く社会性を持ったドラマ。はじめから展開は淡々と進み、死をなしとげる部分まで続きます。彼の周りに現れる、彼の死を手助けしようとする者、そっと見守り意志に任せようとする者、生きる素晴らしさを説き思い止まらせようとする者、それぞれの考えや立場がぶつかりながら、気持ちを変えながら事体は動いていく。寝たきりながら女性になぜかもてる主人公の寝たきりの男をバルデムが好演し、観るものに何が正解なのかを問いかけます。しかしこの作品では1つの考え方として示したに過ぎず、その答えは観るものに委ねられて終わる、そんなふうに受け止めました。

 

 

6 007 スカイフォール

ダニエル・ボンドの堅実性がさらに確固たるものになったという印象です。世界を股に駆け巡り、かつては宇宙にまで飛んで行ったボンドですが、今回は足元に立ち戻っての正統派のアクションを披露。超人的な美技もなければ、ワールドワイドな国際性も影をひそめ、良く言えば本格的で硬派な作品に仕上がっています。しかし視点を変えると、別にボンドでなくても成り立つ話ですし、もっというと、スパイ映画という趣よりは、かつての上司への復讐に執着する男とのノーマルなサスペンス・アクションという感じ。ちょっと人物設定を変えれば、色んな状況で成り立ちそうな内容です。その意味では、作品としてはやや大人しい印象です。むしろボンドよりも、Mに過去最大の活躍の機会を与え、ジュディ・デンチに花道を飾らせてあげたというところが強いようにも思います。つまり、今作はジュディ・デンチがある意味主役ともいえるのかもしれません。サイバーテロリストの悪役でバルデムは出演。

 

7 宮廷画家ゴヤは見た

激動の時代を背景に、運命に翻弄される神父ロレンソ(ハビエル・バルデム)と、商人の娘イネス(ナタリー・ポートマン)の波乱に満ちた人生を、宮廷画家ゴヤの目を通して語られるという構図の作品です。時代が動くとともに、自らの立場も二転三転させていくロレンソを、バルデムが持ち前の個性を発揮することで、それぞれの時代のロレンソを演じ分けています。最初の神父時代は『ノーカントリー』を彷彿ようなねちっこい演技で、欲望を抑えきれずにエロ神父と化す様子がリアルに伝わってきますし、その次の大臣時代は、打って変わって自信満々の堂々としたロレンソを見せてくれます。そしてラストシーンでのロレンソ。それぞれの時代において裁判とロレンソの関係が彼の立場を如実に表しており、裁判に対し何の権限もなく行われようが行われまいがただ成り行きを見守るだけの時代、自らが死刑の判決を下す側にいる時代、逆に判決を下される側に立った時代と、それぞれ立場が移っていくのです。ロレンソという人物の思想も態度もそれに伴って大きく変化をしていくのですが、それを醸し出す雰囲気だけで演じ分けているところは、さすがにアカデミー賞も伊達ではないですね。

 

 

8 ノーカントリー

立ち上がりは期待させてくれます。いきなり人が殺され、さらに複数の死体が荒地に転がるシーンと続く序盤は、この先の展開を大いに期待させるものでした。しかしながら、追うものと追われるもの、その間に生まれる緊張感のようなものが徐々に高まっていくと思われた中盤からは、なぜか観ている私の気持ちはトーンダウン。退屈感さえ覚え、スクリーンに集中できない有様。コーエン兄弟作品だけに、ありきたりのサスペンス・スリラー映画なんかをつくるわけはなく、一癖も二癖もあるブラックでシニカルな犯罪ドラマになっていくのは分かってはいるものの、どうも単調に感じられてしまうのです。実はコーエン兄弟との相性は私あまりよくないのです。それでもハビエル・バルデム演じる連続殺人犯は、確かに圧倒的な存在感を見せていましたし、バルデム自身のなりきりぶりは見事なものであったといっていいでしょう。

 

 

9 コレラの時代の愛

これを究極の純愛映画と捉えるか、異常な偏愛映画と捉えるか、有名な純愛小説の名作が元とは言えど、こうして映像で見せられると、結構紙一重の際どいところではなかったかと感じました。或いは原作がやや大きすぎたのかもしれません。そういえばジョン・キューザックとケイト・ベッキンセールの『セレンディピティ』の中で鍵となる古本のタイトルが確か『コレラの時代の愛』だったのですよね。要するに他の恋愛映画のキーアイテムとして使われるほど、有名な恋愛小説ということなのですね。それにしてもハビエル・バルデム演じる主人公の執念は凄まじいですね。果たしてここまで一人の人を報われないままに愛し続けることが出来るものなのか、ある意味尊敬に値します。しかしその愛が、矛盾しているようですが、まっすぐで屈折しているのです。彼女を忘れるために他の女性と次々に関係を持ち続けて行き、それだけでなく人数を数えてそれを日記風に記していくという異常ぶり、それでいて彼女の夫が死んだその日に、これチャンスとばかりに押しかけるストーカー的な執着心。いやいや、たいした物です。

 

 

10  BEAUTIFUL ビューティフル 

ハビエル・バルデムは『海を飛ぶ夢』に続き病気の役です。末期がん宣告からの展開がうだうだした感じではありますが、その時間の経過の中で、誰にもそれを打ち明けられない主人公の心理を映し出しているようでもありました。家族を残して死んでいく辛さは伝わってきます。