ロン・ハワード 監督映画 ベスト10
幅広いジャンルの娯楽映画をそつなく作るイメージの監督です。
作家性というよりも大衆性に重きを置きながらも、
それでも賞に絡む作品もきちんと世に出してきますし、
一方で誰もが知る小説を元にした大作も
確実にこなしてくる、まさに職業映画監督。
彼の作品は安心して観ることができますね。
そんなロン・ハワードの監督作から10本。
①バックドラフト
アクションとサスペンスとドラマが程よく配合された娯楽作品として見応えのある映画でした。アクションシーンではまるで意志を持っているかのように人間に襲い掛かる火と消防士の対決が、サスペンスでは放火犯の真相を暴こうとするデ・ニーロの活躍と爽快なラストシーンが、そしてドラマでは男兄弟が対立しながらも最後に同じ消防士として通じ合う様子が、それぞれに山場があり、そつがありません。豪華なキャスティングもまた見所。
②遥かなる大地へ
トム・クルーズがかつての奥様ニコール・キッドマンと共演、19世紀末の農村を舞台にした恋愛劇です。気が強くも夢があるお嬢さんの役をキッドマンが演じています。さまざまな困難に襲われながらもそれを乗り越えていく二人をついつい応援したくなるような作品でした。
③フロスト×ニクソン
インタビューが始まってからのぐいぐい引き込んでいく力は、さすがにロン・ハワード。息の詰まるような駆け引きの中での緊張感には圧倒されました。決して面白いという類の映画ではありませんし、実際の出来事を無理に映画的な脚色をすることもなく、その点ではとっつきにくさはあるのですが、それでいてもニクソンとフロスト、そして彼らを取り巻くスタッフたちのピリピリした雰囲気は十分に伝わってきます。人生を賭けたといっても大げさではない男同士の心理合戦を堪能させていただきました。
④シンデレラマン
妻や子供を愛し、家族の生活のためには命を賭けて戦い抜く、その主人公には誰もが感情移入せずにいられません。展開にも無駄がなく、最後のクライマックスまでの盛り上げ方もそつがないです。ボクシング映画にはずれなしというところで、多くの人に訴えかける「良い」映画です。
⑤アポロ13
帰還へ向けての、機内・基地の人々ともども緊迫感と一体感がいいですね。宇宙開発に国家として力を注いでいた頃の熱気のようなものも伝ってきます。芸達者の俳優陣が揃い、ロン・ハワードらしい安定感ある作品になっています。
⑥天使と悪魔
2時間半という長さもほとんど苦痛に感じることなく、終盤の目まぐるしい展開にはワクワクもしましたし、まずは手堅くまとめてきたという印象です。結果娯楽サスペンス作品として素直に楽しむことができました。宗教が絡むと、特にわれわれ一般の日本人からすると難解になりがちなものですけど、その点でも比較的すんなりと消化することができました。
⑦ダ・ヴィンチコード
原作を読んでいないと理解しづらいところがある、かといって読んでいると意外な黒幕の存在も知っていることでミステリーの面白さは半減する。そういった意味ではどちらにも不親切な作品になってしまった。ラストを含め、ところどころシチュエーションや、場合によっては展開も少しずつ変えてあり、映画は映画として楽しむことは出来るのですが、ボリュームのある原作を2時間30分に無理に収めたため、どうしても歪みは現れてしまいます。
⑧ビューティフル・マインド
一人の変わり者の数学者の幻覚への悩みと妻との関わりを描いている作品。アカデミー賞を受賞した作品ではありますが、作品自体は地味です。ただ内面の葛藤を中心に描きながらも飽きさせない構成はロン・ハワードたるところ。
⑨僕が結婚を決めたワケ
この邦題を聞くと、完全にラブコメディだと思ってしまいます。確かに「ラブ」の要素もあるのですが、それ以上に男同志の友情の話という部分が強く、原題からしても、ややこの邦題はズレていたかもしれませんね。さて肝心の作品ですが、まずまずといったところでないでしょうか。ヴィンス・ヴォーン演じる主人公ロニーが悩みながらもどんどん暴走していく様子、そしてそれに周りが勘違いしていく様子、観ていてやきもきしながらも、くすっと笑ってしまったりと、テンポよい展開は飽きなかったです。
⑩エドTV
視聴率挽回のためにケーブルテレビ局が平凡な男の24時間を追うドキュメンタリー番組を始めたことから起こる騒動を描く風刺コメディです。視聴率のためならなんでもする、どの国でもこういった問題はあるのですね。