●オリヴァー・ストーン 監督映画 ベスト10 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

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まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

オリヴァー・ストーン 監督映画 ベスト10



骨太の社会派映画を中心に、

常に強烈なメッセージ性を持った作品を送り込んでくるストーン監督。

その個性ゆえに、作品はいろいろと話題を呼ぶことが多いですが、

それだけに後に残る作品にもなっています。

そんなオリヴァー・ストーン監督作を10本選びました。



①JFK

ケネディ暗殺と言う実に微妙で重いテーマを真剣且つ重厚に、そして見応えあるものに仕上げており、ストーン監督の意欲が充分以上に伝わってくる社会派ミステリー。出演俳優も豪華。誰が真実を言っているのか、ケネディ問題について一石もニ石も投じるような衝撃的で論理的な内容は、観ているうちにどんどん惹きこまれて行きます。特に裁判が始まってからの場面は、ただ説明しているだけでも息を飲みます。そして最後に残るのは、巨大な権力の前にはいかに国民一人一人が無力であるかということ。実際のニュース映像も使用しているため、説得力も感じられます。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-JFK


②ニクソン

こちらも実在の合衆国大統領の作品(『ブッシュ』なんてのもありましたね)。ニクソンの内面にまで踏み込んで描いたまさに力作といえるでしょう。栄光と挫折を、単に嫌われ者の大統領としてだけではなく、人間ニクソンとして弱い部分も虚勢を切っている部分もそのまま映し出しているところがストーンらしい。

映画いろいろベスト10 + 似顔絵-ニクソン


③天と地

 戦争に運命を翻弄させる一人のベトナム女性の半生を、ベトナムと米国を舞台にした家族との関わりの中で描いていますが、根本にあるのはやはり戦争への悲痛な思い。次第に強く自立していく主人公をティー・リーが熱演しています。長い年月を時間内に納めているため、ハイテンポで目が離せない作品です。ただ、ベトナムでの会話がすべて英語というのはどうも、リアリティに欠けるかとは思いましたが。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-天と地


④ウォール街

とにかくゲッコーを演じたマイケル・ダグラスの圧倒的存在感が印象に残る作品。男同志の意地の張り合い、メンツにかけたマネーゲーム。観る者をついつい引き込ませていく力強さはストーン監督ならでは。

映画いろいろベスト10 + 似顔絵-ウォール街


⑤プラトーン

リアリティを追求した映像の中で、戦争の悲惨さ・非情さ・厳しさ、そして狂気を圧倒的な力でぐいぐいと伝えてくるストーン監督。ストーリー性よりもテーマ性を重視する中で、兵士たちの内なる思いが強烈に描かれていました。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-プラトーン


⑥エニイ・ギブン・サンデー

アメリカンフットボールの世界を描いたスポーツドラマ。迫力あるゲームのシーンは汗が飛び散ってきそうで、スローモーションがその迫力をより際立てている一方で、プロスポーツの世界の中での、現場とオーナーとの温度差、金、経営と選手の気持ちや生活といった問題がテーマとして扱われています。しかしその問題提起はそれほど重いメッセージの込められたものではなく、娯楽性の強い作品になっています。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-エニイギブンサンドー


⑦アレキサンダー

オリヴァー・ストーンらしい熱のこもった作品にはなっているが、ドラマの描き方としては平凡。アレキサンダーの生涯を順に追っていったという部分が大きく、焦点はぼやけがちになってしまいました。それでも3時間近い長尺をそれなりに飽きさせないで観させる力は感じられます。ただこの手の作品でいつも違和感を持ってしまうのは言葉の問題。英語を誰もが話している、アジアに行っても英語、山岳民族の妻も言葉に不自由なく会話が出来るといった部分はどうもひっかかってしまうのですが。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-アレキサンダー


⑧ウォール・ストリート

長い年月を経て作られた④の続編。しかしオリヴァー・ストーンらしからぬ、そして前作の印象ともかけ離れた「甘い」作品になってしまいました。チャーリー・シーンが登場した時は「おっ」と思ったものの、実はそこが最大の見せ場だったようで、金融界で戦う男同志のスリリングな緊張感といったものは、ほとんど消えてしまっていました。特にゲッコーの態度がまたくもって一貫性がなく、このラストはあまりに甘すぎるでしょ。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-ウォールストリート


74日に生まれて

トム・クルーズ演じる負傷した帰還兵を主人公に、ベトナム戦争に対する反戦映画。いいたいことは分かるのですが、映画としての盛り上がりはなく、いかにも現代の戦争映画という感じが逆に鼻につきました。


映画いろいろベスト10 + 似顔絵-7月4日に生まれて


⑩ワールド・トレード・センター

この映画を観てまず思ったのは随分優しい映画だなということです。監督がオリヴァー・ストーン、テーマが9.11テロとくれば、そこには社会的なメッセージが力強く込められているであろうと、決めつけていたのですが、あっさりと肩透かしを食らわされた思いです。ここにはテロ側の人間は描かれていませんし、政治的な場面も重視されていません。映し出されているのはニューヨークの市民、被害者と家族、そして救助のために手を貸そうとするものです。さらに中心で描かれているのは生存者であり、その家族であり、犠牲に亡くなられた人々やその家族については、最小限触れる程度に抑えられています。私が「優しい映画」だと感じた要因は、おそらくその生存者を中心に描いていることによるものでしょう。

映画いろいろベスト10 + 似顔絵-ワールドトレードセンター