☆10.19から22年 スタンドで観たロッテ-近鉄戦 | 映画いろいろベスト10 + 似顔絵

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まったくの独断で選んだ映画10作品。
ペイントでの似顔絵もやっています。

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およそこの映画ブログにはそぐわない話。




明日は20101019

22年前の19881019

日本中の野球ファンを惹きつけて話さなかった試合、

近鉄バファローズ-ロッテオリオンズのダブルヘッダー。

川崎球場。

テレビ、雑誌などでも名勝負のひとつとして、

いわゆる「10.19」としてたびたび取り上げられる試合。




子供の頃から近鉄ファンだった私。

当時東京で学生生活を謳歌中。

19881018日、ラジオで近鉄の勝利を聞き届ける。

これで翌日のダブルヘッダーで2試合とも勝てば優勝。

もしかして目の前で胴上げが見られるかも!

そんなチャンスはめったにない!

それにテレビ中継などないし、

これは川崎へ行くっきゃない!!!




翌日、「もし前夜に勝ったら一緒に行きましょう」と約束していた

サトー先輩とともに

試合開始時間に間に合うように川崎球場へ。




ところがいざ球場に着いてみると、

チケットを求める人たちの列が、球場の外へと連なり、

あたりの一区画をぐるっと取り巻いているのだ!

うむ、チケットは手に入るのだろうか。

ちょっと心配しながら列の最後尾についた私たち。




すでに試合開始時間が過ぎ、スタジアムからは歓声が聞こえる。

どちらの点が入ったのか?

「ロッテが2点先制したよ」

どことなく情報が伝わってくる。

前の列が少しずつ短くなり入場口に近づきながら、

やきもきしている私。




で、ようやく手に入れたチケットがこの写真のチケットというわけ。

このチケットを手に外野席に入ると、すでに試合は5回。

ちょうど席の目の前のところに鈴木選手のホームランボールが飛び込んでくる。

「やったー!1点差!

(もしかしてスポーツニュースに映るかも)




とにかく球場全体が今までに見たことのないような異様な雰囲気。

敵地川崎というのに、球場の8割がたが近鉄ファンなのだ。

いったいどこにこれだけの人たちがいたのだ!




延長戦がないダブルヘッダー第1試合、8回にようやく同点。

残すは91イニングのみ。

ここで終わりなのか!

2塁にランナーを置いて1アウトからヒットが出るが、

代走で出た選手が暴走でタッチアウト。

2アウト。

「バカヤロー!何やっているんだ」


怒号が聞こえるとともに、あきらめムードが漂い始めた時、

ベテラン梨田選手のタイムリー。

ランナーがホームへ滑り込む。

外野からホームベースは遠い。

アウト?セーフ?どっち?

中西コーチと滑り込んだ鈴木選手が抱き合っている。

これはセーフか、セーフだ。

近鉄勝ち越し!

もうスタンドは大騒ぎ。

みんなも私も立ち上がり大拍手。




その裏2死満塁のピンチをしのいで勝利した近鉄軍。

間をおかずに2試合目。




吹石、真喜志、そしてブライアントがホームランを放ち、

勝利のムードが球場全体を包む。


守備につく選手一人ひとりにコールが響く。

「ふーきいし、ふーくきいし」

「ぶらあいんとー、ぶらいあんとー」

大きく手を振ってくれる選手、

笑顔で答えてくれる選手。

「あーらーい、あーらーい」

新井選手は控えめにちょこっと帽子をとる。

これも新井選手らしい。


胴上げを目の前で見られる瞬間が刻一刻と近づく。

これだけ球場全体が一体となって試合に入り込んでいるゲームは、

後にも先にもこの時だけだった。




しかし、絶頂の喜びに向かって盛り上がったのはここまで。

高沢選手のホームランとともにそれが悲鳴に変わり、

有藤監督の抗議が怒りを呼び、

そして10回裏の消化イニングは悲壮感に包まれた。




守備についているナインを尻目に、

川崎から練馬に帰らないといけない私は、

最終電車の都合で、

試合終了を見届けることができずに球場を後にする。


でも、ナインには申し訳なかったが、

虚しさを抱えたままスタンドに座り続けるのが

耐えられなかったというのが正直なところだったのかもしれない。




この試合が急遽全国へ生中継されたのを知ったのは、

次の日になってからだった。





今でも語り草になっているこの試合を、

スタンドで生で観られたというのは、

今でも私の大きな思い出になっている。









翌年、西武球場で優勝をかけたダブルヘッダーが行われた。

住んでいた練馬からは、川崎よりも西武球場の方が近い。

しかしまた同じ虚しさを味わうのは嫌だ、

私が観に行くとまた同じ目にあうかもと、

その年はテレビからブライアントの4発を見守っていた。






10.19

ブライアントの4発。

江夏の21球。

「ロッテより弱い巨人」で日本シリーズ逆転負け。

北川の代打満塁逆転サヨナラお釣なし優勝決定ホームラン。




数々の名勝負を見せてくれたその球団は今ない。