僕は稀代の天才ドラマー富樫雅彦の数少ない弟子だ。
我が師匠は音色を大切にしていて、いつも自分の楽器を
長い時間をかけてチューニングしていたものだ。

とある事故があって、下半身の自由を終生なくしたが、
車いすに自分を安定させて、パーカッショニストとして
再生を遂げ、数々の実績を積み重ね、海外からも高い
評価を受けた。
後年、JJスピリッツというグループを組んで
不可能であろうと思われたスタンダードジャズにも
挑戦し、素晴らしいドラミングとスイング感を見せた。

ジャズと言えば左足でハイハットを2拍4拍に踏み
リズムの頭やフレーズの構成音としてバスドラムを
組み入れるのが確かにドラム界の常識となっているし、
とあるドラム専門誌のライターはジャズのスイング感や
グルーヴ感は左足のハイハットが司る・・・てな
事を書いている人もいるくらいだ。(噴飯)

我が師匠のオリジナルジャズにはすでに足がなく
右手と左手しか使えない状態でありながら、勿論
下半身が使えないため、身体全体のバランスをうまく
取りにくい状態ながら、そのスイング感は心を奪う。

現在の日本のドラマーで右と左足が使えて、下半身で
全体バランスがとれるドラマーであっても富樫雅彦ほどの
スイング感を醸し出すことは容易ではない。
つまりは腕の振り方、体重の乗せ方、そして
類い希なる音楽のセンス、1流であり続けた経験
そう言ったものの総合的な固まりこそがスイングする
ドラミングであると僕は確信する。

こういう事実に立脚すると、楽譜によるドラムの叩き方や
ルーディメンツ等の技術だけを教えている学校は
その音楽の源流は伝えていけないと言う事になる。
音楽って何?ドラムって何?合奏って何?スイングって何?
グルーヴって何?

いったい何を勉強すれば良いんだろう・・・・?
その答えに・・・・僕は答えられます。そして
その場所に至っています。
自分自身に技術という部分に置き換えれば、まだ道の途中、
しかし真理は遠からじ・・・かなり近づいています。