僕のラジオ番組、内容は昭和歌謡です。
懐かしくも素晴らしい昭和の歌い手の血と汗と涙でつづられた
楽曲達が集う場所です。
番組中通常は密閉式のヘッドフォンをかけたままです。
すべての歌い手さんの歌をしっかりと聞く機会に恵まれてます。
触れ合った、又はすれ違った数々の思い出を交えながら
時には訃報を告げ、その人を悼み、すぐ後で作品をかけます。
もう生では聞く事の出来なくなった歌声をです。
先日もピアニストの深町純とシルヴィアの訃報を言いました。
深町とは彼がこの業界で頭角を現して来た頃からの知り合い
一時は一緒にバンドのような事もしていましたし、
レコーディングもしました。どこかの大学で教授をしている
んだと新幹線のホームであった時に言ってました。
気にもしていなかったけどあれが最後となりました。

シルヴィアとは暮らすジャンルが僕とは違うけれど
人間的には面白い奴でした。意外と近くに住んでいたことも
あって、一緒に飲みに行ってカラオケを歌った事もありました
もちろん例の「別れても好きな人』も歌ったりしました。
ロスインディオスをやめて、ソロになって、結婚をして、
母親になって、いろいろと苦労したようです。
とあるテレビ番組で再び接点が復活して、今度一緒に
ディナーショーを企画しようか的な話もありました。
「ギャラはひろさんが決めた値段でいいよ」でも
子供を預けなければならないのでベビーシッターの支払い
くらいはちょうだいねなんていう娘でした。

彼女とは実は一枚シングル盤を残しています。
いまだにCD化はされていませんが、とても素晴らしい曲
だと思います。僕が作詞作曲をした
A面が「ゼロ」B面が「火祭り」というシングルです。
シルヴィアも上手に歌っています。
先日アナログ盤の宝庫、NHKの浜松支局に行ったとき
探したのですが、そこにもありませんでした。
ラジオで彼女の訃報を知らせながら、ああ聞きたいなあ
ここで聞きたいなあ?と思いました。

残念だなあ、人は死ぬんだなあ、
何かを残すチャンスに恵まれた方達は幸せだと思います。
僕は人生不完全燃焼です。いくら歌っても、心を込めて
歌っても、それはレコードとして発売されるチャンスには
もう恵まれないのです。そんな社会ではないようです。
ある人が言ってくれました。昔のように歌のうまい歌手
だけがテレビやラジオに出演する時代は良かったと。

ありがとう。僕はその中に入っていますか?