「帰れ」と言われて帰ったら大問題に | 続・猫と饒舌の日記

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文筆家・古谷経衡のオフィシャルブログです。
2017年3月より再開
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公式サイトは http://furuyatsunehira.com/

・(新刊発売情報所謂「イスラム国」からユーチューバーまでを鋭く切り、ネット社会に一石を投じる内容です。ネットの「炎上」は徹底的に無視せよ!2015年2月26日全国書店にて発売!

アマゾンランキング「情報社会」「ビジネスとIT」カテゴリーランキング1位獲得!


★書評頂戴しました→ビジネスブックマラソン
・読書メーターにおける本書の書評一覧

・『インターネットは、永遠にリアル社会を超えられない』
ディスカヴァー・トゥエンティーワン(2015年2月)


・キンドル版も発売されています(20%off)
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【イベント・講演情報】2015年3月18日、水曜日夜7時から(書泉グランデ7階・神保町)


ネットに渦巻く‘‘世論’’の正体とは何なのか。
現実と仮想を、アニメ・SFはどうとらえてきたのか、トークします。
最新刊「インターネットは永遠にリアル社会を超えられない」(ディスカヴァー・トゥエンティワン)の物販あり。入場は全て無料です。予約は必要ありません。18:30開場、19:00開演。是非お越しください。
書泉グランデ(
東京都千代田区神田神保町1丁目32)地下鉄神保町駅すぐ)地下鉄神保町駅すぐ)地下鉄神保町駅すぐ
・書泉グランデイベントページフライヤー詳細
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【イベント情報】2015年4月5日、日曜日夜7時から(下北沢本屋B&Bにて、内田良名古屋大学大学院准教授とトークイベント行います。

内田良×古谷経衡×Yahoo!ニュース個人編集部
ネット空間で建設的な議論は可能か~課題の発見と解決にむけて


リアルnewsHACK presented by Yahoo!ニュース
Yahoo!ニュース編集スタッフによるブログ「newsHACK」がプロデュースするトークイベントです。


   時間 19:00~21:00 (18:30開場)
    場所 本屋B&B 世田谷区北沢2-12-4 第2マツヤビル2F
    入場料 1500yen + 1 drink order

ご予約やイベントの詳細はこちらをご覧ください。

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【掲載情報】現在発売中「Getnavi」4月号特別付録「僕たちの未来は2015年だった」にインタビュー掲載

全国書店等でお買い求めください。
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 1996年頃だったと思いますが、私が中学1年の時のお話です。

 私の中学校は、なぜか異様に音楽に力を入れておりまして、毎年一回、全校クラス対抗で合唱コンクールというのを一大行事としてやることになっています。


 またぞろ「大地讃頌」とか、クラスごとにチョイスして、授業が終わったあと、日が暮れるまで、毎日のように、2時間、3時間と馬鹿の一つ覚えのように合唱の練習をする期間が、本番まで2ヶ月くらい続くのですから、たまったものではありません。


 特に運が悪いことに、私のクラスの担任の教諭が、たまたま音楽教師だったものですから、当然メンツがありますので、我がクラスが優勝せねばならぬと、余計に気合が入っていたのです。


 基本的に、私は性根がねじ曲がり、物事を斜めに構えてみる性分の人間ですから、とりわけ他者に強制されて何かを集団でやるという、団体行動というのが嫌で嫌で仕方がありませんでした。


 そしてこの傾向は確実に現在でも私の中にありまして、私はそのせいで近年も、あんな人や、こんな組織などと、結構、決定的な仲違いをしてしまっているのですが、その話はまあ後日、時間があれば別の場所でしますということで、本題に戻ります。


☆☆☆☆☆


 授業が終わったあとの放課後の合唱コンクールの練習など、会社員で言えばサービス残業みたいなもので、評定にも関与せず、全く意味のないものと私には映りましたから、一刻も早くこの地獄のような合唱コンクールの練習から逃れる方法はないかと常に思案しておりました。


 この合唱コンクールの練習を仕切る特別の指揮官、みたいな生徒が教師直々に選定されておりまして、というのは放課後には職員会議などがあり、教諭が付きっきりで練習とは行かないので、多くの部分は生徒による自主訓練に任されていたのです。


 教師の監視もないのに、自主的に大真面目に、身振り手振りでもって、大げさに口を開き、必死に歌を練習しているクラスメートたちを観て、「こいつらは何て権力者に従順なやつなんだろう、ひょっとしてみんな馬鹿なのではないか」と可笑しくなった私は、ゲラゲラ笑い転げて、同じく合唱コンクールに非協力的な小野寺君(仮名)と一緒になって、教室の隅で新世紀エヴァンゲリオンの話に花を咲かせていたのです。この年、エヴァンゲリオンがテレビ放映され、まさに社会現象になる直前の時期だったのです。


 クラスメートが、必死になって、自主的に合唱コンクールの訓練をしている横で、エヴァンゲリオンの「死海文書が云々」「ロンギヌスの槍が云々」「セフィロトの樹が云々」と激論を交している私達を観て、コンクールの練習を仕切る徳田さん(仮名)という女子級長が、我々に「そんなに練習がしたくないのならば、帰ったら」と言い放ったのです。勿論、嫌味です。


 しかし、その言葉を額面通り受け取った私と小野寺君は、級長による公的なお墨付きがもらえたと喜び勇んで、以降、放課後の合唱コンクールの訓練には、一切出席しなくなりました。


 ただし小野寺君の方は、私よりも社会性があったと見え、3日後くらいには直ぐに訓練に復帰したようですが、私だけが『たそがれ清兵衛』の如く、授業が終わると定時に家に帰り、合唱コンクールの訓練には一切参加しないという、姿勢を貫いていたのです。


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 そんな中、ある日、私は担任の教諭から職員室に呼び出しを食らいました。理由は、「女子級長の徳田が、泣きながら”古谷だけが練習に参加しない”と訴えてきている、これは一体どういうことなのか」という、尋問調のものでした。


 その頃には、「◯組の古谷という奴が、ただ一人、合唱コンクールの練習をネグレクトしている」と、他教室でも話題になるほど、大きな問題になっている、と聞かされたのです。


 私は堂々と、「級長自らが私に帰宅の許可を与えたのです、よって私の行為には正当性があります」と抗弁しました。勿論、通用するはずがありませんでした。


 嫌々、訓練に呼び戻された私は、仕方なく、練習に付き合ってやりました。徳田さんは、この一件以後、何かにつけて盗人でも視るような目つきで私を睨みつけてきたのを、今でも覚えております。


 我がクラスは、遺憾ながらコンクールで優勝はおろか、選外でした。私のせいでは決してないと思います。決して無いと思います。


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